メールマガジン バックナンバー

33号 2013年4月17日

「トリムタブ」になった格安航空機のお兄さん

■おはようございます。紀藤です。

昨日は韓国フルマラソンのエピソードをお伝えいたしましたが、
メールをお送りしている皆さまの中で、
同じように走られている方もいらっしゃり、嬉しい共有などを頂きました。

些細なことでもメッセージや、ご感想、ご共有などを頂けると、
私自身大変刺激になります。
この場を借りて改めて、御礼申し上げます。
ありがとうございます!

■さて本日も、韓国の旅路での気付きを共有致します。

私はLCC(格安航空)で韓国・釜山に往復でいったのですが、
(なんと往復チケットで1万6000円でした 驚)
その復路の乗務員のお兄さんから、感銘を受けた出来事がありました。

乗務員のお兄さんは、恐らく年齢は30歳位でしょうか。
髪の毛は金髪で、髪型はかなり個性的なソフトモヒカンのようなスタイル。
日本語も英語も流暢で、恐らく韓国の方だと思います。

パッと見でも、日本の航空会社の乗務員とは違ったスタイルでした。
若いようでしたが役職は「チーフ」として、
他4名のCAの女性スタッフを束ねているように見えました。


■乗客が席につき、飛行機が動き始めました。

そして、よくある「フライトの注意点」が
チーフのお兄さんより読み始められました。

「ようこそ、皆様。
 私たちの航空機をお選びいただき、誠にありがとうございます。
 今回の空の旅は、一風変わった私たち4名が皆様の御供いたします。

 まず、後方をご覧ください。
 彼女は〇〇さん。見た目はキレイなのですが、
 休日は一人でビールを飲むのが大好きです。
 その際のおつまみは「さきイカ」派です。

 真ん中に控えるのは、九州出身の△△さん。
 性格は九州男児のような、とても頼もしい彼女です。
 頼られると喜ぶので、お困りの際はどしどしお声かけください。」


■何か今までの飛行機と違うぞ・・・と、
 普通と大分違った様子を帯びてきました。
 皆、クスクス笑っています。
 でも、何となく暖かい雰囲気です。

「・・・(中略)

 お気に入りの乗務員がいらっしゃった際は、
 ぜひその者を名指しでご指名ください。喜んで参ります。
 
 ただ、「直接声をかけるのは恥ずかしい・・・」
 そんな方のために朗報があります。
 
 頭上をご覧くださいませ。
 「乗務員呼び出しボタン」がございます。

 ちょうどお気に入りの乗務員が通ったタイミングで、
 さりげなく押して頂ければ、最寄りの乗務員が飛んでまいります。
 
 このような一風変わった乗務員ですが、
 皆さまの快適な旅のために精一杯、力を尽くしてまいります。
 ぜひ広い心で見守って頂ければ幸いです。
 
 それでは、約2時間の空の旅を楽しんで下さい。
 よろしくお願いいたします。」


■一通り、チーフのお兄さんが話し終わると、拍手がおこりました。
飛行機に乗っていて、乗務員のお話で拍手がおこるのを聞くのは初めてです。

そして、2時間後、降りる前のアナウンスで、
次のような内容を、チーフのお兄さんは話しました。

「皆さま、お疲れ様でした。
 フライトはいかがでしたでしょうか。
 
 さて、私共は到着から1時間後、折り返しソウルへ向けて、
 新しいお客様をお迎えして飛び立ちます。

 そこでお願いがございます。

 前の座席のシート、または足元にあるゴミはそのままにせず、
 入口付近におります乗務員にお渡し頂けませんでしょうか。
 
 もしそうしていただけるのであれば、私共は大変嬉しいです。
 最後までありがとうございました。」

周りを見渡したところ、皆ゴミを拾って、
入口の乗務員のお姉さんに渡しているようでした。


■これを聞いて、『トリムタブ』というキーワードを思い出しました。

※トリムタブとは、
 船舶工学の専門用語で、「小さな舵」を意味します。
 とても小さな舵が少し動くことで、
 大きな流れの変化を作り、それが巨大な船舶を動かします。

 その意を受けて、コヴィー博士は、
 一人の起こした小さなことが、大きな影響を与えることを
 「トリムタブになる」と言っています。


■往路も同じ会社の飛行機に乗りましたが、
このようなサービスは、帰りの飛行機だけでした。

こうした「一風変わった」サービスが、誰が発案なのかはわかりません。

しかし、楽しそうに、気持ちを込めて呼んでいる姿を見ると、
きっとチーフのお兄さん自身が、自ら考えて行動したように思えます。

恐らく、出発前と帰りの一言は「小さなこと」かもしれません。
普通にやっていても、乗客は特に不満はないと思います。
むしろ、今までのやり方を変えることは
「勇気」が必要と言えるかもしれません。

そんな中で、「楽しいフライトを提供したい」という思いで、
このようなコミカルで、拍手が起こるような親しみが起こるトークを考えた人は、
小さな工夫から、お客様の新鮮な体験と、拍手いう感動、
(そしてお客さんが自らゴミを片づける関係)という結果を生み出しました。

そして、この事実を私のような人が口コミで伝えたら、
顧客満足度が上がり、大きく利益があがるかもしれません。
または、新しいサービスの基準になり、航空業界のイノベーションに繋がるかもしれません。
(このあたりは、私の勝手なイメージですが、可能性はあるかもしれません)

そうなる可能性を秘めたお兄さんの行動は、
『トリムタブ』になった、と言えるのではないでしょうか。


■こうしたチャンスは、私たちの仕事・私生活においても多々あるように感じます。

7つの習慣において、
「第一の習慣 主体性を発揮する」でも語られるように、
自分が影響を与えられる「影響の輪」に集中することで、
大きなプラスの影響を作り出していけたら素晴らしいですね。
(私も一日ひとつ、頑張りたいと思います)

皆さまのご参考になれば幸いです。


今日も皆さまにとって良い一日になりますように。

【本日の名言】 あなたの持てるものの中から、
あなたのいる場所で、
あなたのできることをせよ。

             セオドア・ルーズベルト 

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