夏目漱石の講話から学ぶ、激変の世の中でサバイバルする方法
(本日のお話 3016字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
また、夜は久しぶりに6キロのランニング。
そしてムエタイのジムにて汗を流してきました。
やはり運動すると、気分が晴れますね。
最近めっきり運動できず、
体重が6キロも増えておりました、少しずつ減らして、
久しぶりの3月のフルマラソンに備えたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
先週参加してきた、「古典」を学ぶ、
日本アスペン研究所というリベラルアーツを学べる場所があります。
この、ヤング・エグゼクティブコース
http://www.aspeninstitute.jp/seminar/young_executive/
なるものに参加してきました。
ここに参加して、今まで触れてこなかった、
「過去の偉人」に触れ、
色々と考えさせられることが多くありましたので、
今日はその振り返りも含め、
皆様に「古典」からの学びをご共有させていただきたいと思います。
タイトルは、
【夏目漱石の講話から学ぶ、激変の世の中でサバイバルする方法】。
それでは、どうぞ。
■誰もが聞いたことがある「夏目漱石」という人物。
『吾輩は猫である』
『草枕』
『こころ』
など、多くの文学作品を残しました。
彼は、1867年、
まさしく「明治維新」の真っ只中に生まれ、
江戸から明治に切り替わるそのときに、
幼少期、青年期を過ごしました。
*
時は、産業革命が更に加速した世界。
西洋社会が世界中の国を「植民地」にしまくっていました。
アヘン戦争で、中国がボロボロにされ、
このままでは日本も植民地にされてしまう、、、
そんな流れを察知し、
日本は「開国」→「明治維新」、
そして、その後の「富国強兵」へと進みます。
■結果、日本は驚くべき進化を遂げました。
たった40年で、
和服で刀と提灯の日本人が、
当時、世界最強と言われた
ロシアのバルチック艦隊を破ったのです。
かろうじてではありますが、
「日露戦争(1904-5)」
に奇跡的に勝利した。
これは、ロシアという大国を、
アジアの小国・日本が倒した、ということで、
”アジアの奇跡”とも呼ばれるのです。
*
日本人は思います。
「日本は文明化に成功した」
「日本は西欧化できた」
、、、と。
自信を持ち始めた日本人。
しかし、そこに違和感を覚えた漱石は、
当時、新聞社の社員として、
【現代日本の開化】
というテーマで、各地を講演して回るのでした。
■さて、そんな講演で、
夏目漱石が何を言ったのか。
それは、こんな話でした。
(以下、『漱石文明論集』より引用です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「我々のやっていることは内発的でない、外発的である。
これを一言にしていえば現代日本の開化は、
皮相上滑りの開化であるという事に帰着するのである。
(中略)
西洋が百年かかってようやく今日に発展した開化を
日本人が十年に年季をつづめて、しかも空虚のそしりを免れるように
誰が見ても内発的であると認めるような推移をやろうとすれば、
これまた由々しき結果に陥るのであります。
百年の経験を十年で上滑りもせずやり遂げようとするならば、
年限が十分の一に縮まるだけ、
わが活力は十倍に増やさなければならんのは
算術の初歩を心得たものさえ容易く首肯(しゅこう)する所である」
※引用:『漱石文明論集(岩波文庫)』
https://www.amazon.co.jp/dp/4003111109/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_b4qqCbNDJRC83
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
、、、と。
■要は、
「日本が文明開化で急に成長しているのは、
西洋が強い&圧力があるから」
すなわち、
”外発的な変化”
であるというのです。
そして、それは上滑り、
すなわち「表面的」ではないか、、、と。
「本物の地力」にしようとするなら、
西洋が100年かかったことを、
10年で自分たちのものにしようとするなら、
”10倍の努力が必要である”
わけだし、
”同時にそれは、大変な精神的な疲労をもたらすので、
大変な選択肢でもある”
と語るのでした。
■そして同時に、このようなことも言います。
本当に「自分の地力」をつけるには、
外発的な力ではなく、
1,内発的に変化すること(自分たちで気づいて、自分で変わる)
2,きちんと時間をかけて、少しずつ変化していくこと
ことである、と。
しかし、同時に悩ましい。
自分のペースで確実に「地力」をつけていこう。
そうしていられたら、確かによい。
でも「世界」は、ものすごい勢いで変化している。
自分たち「日本」が強くならなければ、
取って喰われてしまう(=植民地化される)可能性もある。
「内発的」に成長したい。
でも圧倒的な「外発的」な力それを許さない。。。
この間に揺れて悩ましいが、
それでも、その状況を認識して、
力をつけないといけない、
そのようなメッセージを、
当時の日本、1907年の日露戦争に勝って自信をつけていた日本に、
漱石が講演で伝えた、そんなお話です。
■そして、この話を読みながら、
”現代の私達にも通ずる話である”、
そのように感じたのです。
それは2つの意味で、そう思うのです。
まず1つ目。
それは、
【成長とは、基本「自分から起こすもの」であるべし】(=内発の力)
ということ。
周りがいくら言おうが、
外からの力で成長を遂げたように見えても、
それは”表面的”です。
自分にとって本当に必要だと思って、
自分から進んで学ぼうと思い、
そして自分たちの創意工夫で、
”相応の時間をかけ、内発的に変化する”
ことがなければ、それは本物とは言えない。
これは、私達の「個人個人のキャリア」でも
全く同じことが言えるのではなかろうか、と思います。
誰かや周りの情報を見て、
「今はこれが必要そうだから」
「これこれ勉強しておいて」
とせっつかれてやった「経験」は、
なかなか入ってくるものではないし、
己に定着することもないでしょう。
自分が本当に必要であると自ら気づき、
そして歩んだ先に「地力」が高まるものなのです。
■そして、2つ目。
「自分から変わる」といいつつも、
【「環境の変化で変わらざるをえなくなること」があると、知ること】
(=外発の力の影響)
このことも、同時に見過ごすことはできません。
内発的に、自分のペースでいきたい、
それが理想的なのはその通り。
しかし、現代の世の中、
変化は100年前以上に尋常ではありません。
今、AIにより
「10年後に、50%の仕事がなくなる」
と言われています。
これは見方によっては、
黒船来航以上の「恐るべき環境の変化」です。
”環境の変化によって、
私達自身が変わらざるをえなくなる”
これはいつの時代も、そうです。
*
別に、変わらなくとも、
生きていくことはできるかもしれない。
しかし、己で視野を広く持ち、
「自らの人生のオールを自らの手で持つ」ためには、
選択権をもつには、
『環境に合わせて、自らも変わり続ける』
ことも、同時に大切になるのでしょう。
■世界は劇的なペースで変わり続けます。
世界はつながっています。
Google、Amazonがビジネスの環境を変えたら、
日本もそれに呼応するように、変化を余儀なくされます。
そして当然、その流れで、
私達の会社・組織も、生き残るために
「変化」を求められる。
その中で、
「私だけがそのままでいい」
わけがないのは、
厳しいですが現実なのです。
来たるべき変化の中、
『(内発的に)自分はどうなっていきたいのか』 そして、
『(外発的に)自分はどう変わることを求められているのか』
そんな2つの力を感じながら自らの人生を描くことが、
110年前、漱石が語ったと同じように、
今の私達にも必要なのだろうな、
そしてそれこそが、
【夏目漱石の講話から学ぶ、激変の世の中でサバイバルする方法】
なのかもしれない、
そんなことを思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今週も皆様にとってよい1日となりますように。
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<本日の名言>
自分の運命は自分でコントロールすべきだ。
さもないと、誰かにコントロールされてしまう。
ジャック・ウェルチ
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