今週の一冊『実験思考 世の中、すべては実験』
(本日のお話 2478字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、朝から『7つの習慣』研修の実施立ち会い。
その後、コーチング研修(受ける方)でした。
最近、研修を実施する&受講するのオンパレード。
ちょっとリミットいっぱいになって来つつありますが、
お盆までは駆け抜けたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、オススメの一冊をご紹介する、
今週の一冊のコーナー。
今週の一冊は、
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『実験思考 世の中、すべては実験』
(著:光本勇介)
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です。
■『実験思考』。
この本の出版自体が、
「実験である」一冊であり、
ゆえに、非常に説得力に満ちた一冊です。
通常のビジネス書であれば、
1500円程度するものを、
この本は、「390円」で販売しています。
これは「本の印刷代の原価」そのままの金額であり、
そして、印刷が必要ない電子書籍Kindleに関しては
なんと「0円で買える(もらえる)」という本。
内容は通常のビジネス書通り、
(否、著者の体験や先見性から考えるとそれ以上の)
非常に有益な内容です。
■ちなみに、
この本の出版がどのような「実験」かというと、
「”価格を読者に委ねる”ことをしたら、
果たしていくら支払ってもらえるのか?」
「定価で書籍を売るよりも、儲かるのだろうか?」
という、
(自分が出版の約2000万円のリスクをとって行った)
一種の社会実験なのです。
、、、そして、その実験の結果。
・支払総額: 1億24万円
・支払い人数: 2259人
・1人あたりの支払い額: 44,374円
(なんと一人で1000万円支払われた方も、、、)
という結果になり、1.5ヶ月で1億達成、
原価としてのリスク約2000万円は1日で回収できた、
となったのでした。
■もう、この設定の時点で、
そして実行に移すだけでかなりクレイジー。
そして、この著者の光本氏は、
このことだけでなく、学生時代からその先見性で、
あらゆる「クレイジー」と言われる活動をします。
まだシェアカーのサービスが始まる前から、
カーシェアのビジネスを立ち上げる。
(しかし、先を行き過ぎていて流行らなかった)
インターネット黎明期の頃から、
今のクラウドワークスのようなサービスを作る。
多数の翻訳者に仕事を割り振って、「翻訳サービス」を展開する。
いわば、
「時代の流れを読み、アイデアをビジネスにする天才」
といって過言ではない方なのだろうな、
そう思わされる人物だな、と思ったのでした。
■この本を読んで面白いのは、
「では、そのようなアイデアを次々に生み出す人は、
普段どんな生活をして、何に意識を向けているのか?」
ということが、具体的に覗き見できるところ。
かつ、それらの人が、
「これからの先の時代は、どうなると予測しているのか?」
についても、わかりやすく平易な表現で、
語りかけるように書かれているところが魅力です。
これからの時代を創る人物、というのは、
その頭の中身を覗き見る機会もないもの。
しかし、この本では、その頭の中身を、
余すところなく私のような一般人にも伝えてくれています。
■詳細は是非本書を読んでいただければと思いますが、
光本氏いわく、アイデアの源とは、
「これ不便だなあ…」
という、日常生活に潜む出来事をを、
ひたすらアンテナ高く探していくことである、
といいます。
*
例えば、医療の現場。
・病院はなんであんなに混んでいるの?
・休日の緊急外来は、なぜあんなにまたないといけないの?
・なぜ(月)~(金)営業の病院ばかりなの?
だったら、「(日)~(木)営業の病院」があったら、
流行るのではなかろうか?
という「不便なこと」への疑問がわく。
そしてそこには同時に「ビジネスチャンス」がある。
*
あるいはAIでの病気治療が流行っているという現状。
とはいっても、「人の目での診療」がいい、という需要があるはず。
かつ、医療の現場では、
若手の医者は給与が低いと聞く。
アルバイトをする医師もいるらしい。
ではでは、若手の医師が、
希望者のレントゲン画像をアプリでチェック、
「健全」or「注意が必要」を答えて、500円支払われるアプリを作ったらどうか。
患者は1万円の予算で20人の医師からの、
健康診断のチェックが行ってもらえる。
これはきっと、需要があるだろう。
、、、そしてそれは、
「日常の観察」から生まれるのです。
■つまり、
『日常に潜む「なぜ?」を追求すること』
そのために、できるだけ忙しくせず、
運動して、考えて、メモをとって、ウロウロする時間をつくること。
そういった「何もしていないけど何かを見つける時間」、
もしかすると、それこそが、無から有を生み出す、
「未来の知的な仕事」
ではなかろうか、そんなことを思ったのでした。
■よく企業の現場で、
やれイノベーションだ、やれ新規事業の立ち上げだ、
と言われていると感じます。
しかし同時に、そういった部署や立場にいる人が、
意外と外に出ずに、いつも社内にいる、という場合も、
往々にしてあるように感じます。
でも、この本で語られるように、
”「新しいアイデア」などというものは、
職場と家の往復をしている頭で生まれるものではない”
のだと思います。
日常の観察、知らないことへの好奇心、
人間心理への飽くなき探究心…
そのような土台となる思考と行動があり、
それらを常に365日動かしているからこそ、
見えてくるものが「新しいアイデア」なのだろう、、、
私自身、自戒を込めてですが、そう思うのです。
■光本氏いわく、
「人間はめんどくさがりだから、
ほとんどの人は”思考停止”になっていく」
といいます。
便利なアプリに身を委ね、
ランチ先も提案してくれて、
今日食べる食事も提案してくれる、
そんな究極に便利な世界に身を委ねる人が、
過半数になる世界がやってくるだろう。
そしてそんな中では「エンタメ」が力を持ち、
かつ、所有する側と、所有しない側が
より明確にわかれていくだろう…
、、、そんな未来予測もしています。
そんな中、自分はどうしていきたいのか?
正解はありませんが、これからの先の未来を考える上で、
少し先のリアルな状態を見ているような、
そんなイメージを持つことができる一冊。
これからの世の中を想像する上でも、
非常によい刺激になる一冊かと思います。
書籍は安いですし、電子版はタダですし
値段以上の実りを、間違いなく得られるはずです。
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<今週の一冊>
『実験思考 世の中、すべては実験』(著:光本勇介)
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