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2070号 2019年10月21日

「相手の物語」を理解すれば、少しだけ相手に優しくなれるもの

(本日のお話 2534字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。

昨日日曜日は、
終日コーチングのワークショップ(受講する方)でした。

また夜からは、研修の企画、作成。

夜、ラグビー日本対南アフリカ戦。

、、、をみたかったのですが、
我が家にはテレビがないため、
J-SPORTSを契約し、インターネットで見て、
にわかラグビーファンを演じておりました。

テレビがないと、こういうイベントの時にもどかしいです(汗)



さて、本日のお話です。

コーチングで、いろいろな方と対話を進める中で、
とても大切だなと感じていることがあります。

それは、

”「相手の物語」の存在を前提として対峙をする”

ということ。

本日はこのことについての気づきを
皆様にご共有させていただきたいと思います。

タイトルは、


【「相手の物語」を理解すれば、少しだけ相手に優しくなれるもの】


それでは、どうぞ。


■誰かの相談に乗ったりしているとき、

「迷ってないで、まず動くことが大事でしょ」
「なにか恐れているんじゃない?」

などとと無遠慮に言ったものの、

その後、対話を進める中で新たな事実を発見し、
ハッとさせられる、ということが何度かあります。

それは、コーチとして関わるときも、
また、個人的な相談のときもそうです。



例えば、過去あったあるあるの話だと、
(プライバシーのため一部変更して伝えますが)

「仕事に集中できない。やる気が起きない。
 別に成果が出ずとも、給料が上がらなくともいい。
 評価がされずとも、このままでも良い」

と冷めた目で語るあるサラリーマンの方。

話をしながら、

そのままでいいのだろうか、
本当に後悔はないのだろうか、
この方はこれから大丈夫だろうか、、、

などと、密かに心配になりつつ、
話を聞いていたことがありました。

しかし、話を進めると新たなことがわかりました。
その方が最後にポロリと話をした内容は、


「家族が今、離散危機にある。
 母が日々、感情的に不安定になっていて、
 毎日話を聞かざるを得ない」

という、足元の深い問題があった。

本人にとって母は大事な存在で、
仕事がどうとか、それどころではないと思っている、

とか。


■はたまた、別の方では、

「自分は自信がない、価値があると思えない。
 だから怖くて、何かやろうとか思えないんです」

と語る背景を聞くと、

「子供時代、友達から孤立した。
 深く傷ついたし、役に立つスキルがないと、
 価値がないと思ってしまう。
 だから人と関わるのがこわい」

という大変根深い問題があったり、、、。


あるいは、何かの記事で読んだのですが、
ある有名アイドルプロデューサーの話によると、

「自分がなぜアイドルプロデューサーになったかと
 ”学生時代に全くモテなかったから”。

 カワイイ子に囲まれたくて、そして見返したくて、
 反骨精神によりこの仕事をして成功した」

と語っている話を、ラジオか何かで聞いたのでした。

すなわち、このプロデューサーの仕事への情熱は、
学生時代に刻まれたコンプレックスを原動力として生まれている、

という話です。


、、、人とは、誠に深き存在かな、という話。

よく言われるように、

「見えている言動は、氷山の一角でしかない」

ということです。


■対人関係や、組織内の問題解決の手法に、

『ナラティブ・アプローチ』

という手法があります。

ナラティブとは、「物語」を意味します。

そして

”全ての人には「物語がある」”

ということを理解して、
相手と自分の違い、すなわち溝を埋めていきましょう、

という手法が、ナラティブアプローチです。


「物語がある」と言うと、
少し抽象度が高いかもしれません。

もっとシンプルに言えば、その人の人生に、
「数々の経験・体験・背景」が存在している、

ということ。


例えば、

両親との関係、
幼少期の記憶
小学校時代の思い出、
中学校どんな友人関係だったか、
傷ついた記憶、恋愛、コンプレックス、
高校生活、大学の成功体験・失敗体験、
就職、友人との関わり、仕事での経験、
趣味、読んできた本、見てきた映画、
持っている知識、専門性、
上司との関係性、本人の資質、性格、感性、
現状の介護問題、家族問題、健康問題、、、

、、、というような

過去、現在、未来における「物語」が必ず誰もにある、

ということです。

その「物語」を聞くと、

「今そのように悩んだり、つい行動してしまうのも、
 わかるような気がする」

とか、

「そう思うのも仕方ないかもしれない」

と少しだけ相手に歩み寄ることができるような気がするのです。


■表面的な行動だけ見ていると、

・もっとがんばって仕事しろよ、とか、
・そんなウジウジしてないで自信出そうぜ、とか
・そんなに理論武装せずに、もっと相手の感情に寄り添ってよ、とか
・愚痴ばっかり言わずに、前向きに仕事しましょうよ、

等々と思ってしまうもの。

(と、私がよく思っているのですが、、、汗)

でも、その人の価値観、
これまで出会ってきた人々や、
出来事、経験などを見ていくと、

「なんとなくわかる気がするな」

、、、と思えたりするのです。


人と言うのは、確かに違った生き物です。

でも、人は人。一方、
本質的には変わらないものだと思います。

すなわち、その人の環境、
取り巻いてきた関係性の中で必然的にその人ができてきた、

とも思える側面も確かにある。


ゆえに、表面的に見えていることではなく、
その人の見えない背景を知ること、


【「相手の物語」を理解すれば、少しだけ相手に優しくなれるもの】


そんなことにつながるのではなかろうか、
そのように思う次第。


気になる人、気がかりな人がいたら、
その人の「物語」に思いを馳せてみること。

すると、結果的に、
自分が楽になれるのかもしれませんね。


最後までお目通し頂き、ありがとうございました。
本日も皆様にとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>

人はその好むところをもって、真実とするなり。
デモステネス(古代ギリシャの弁論家/BC384-322)

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