総合格闘技のプロから学んだ「強くなるには、努力は必要ない」というお話
(本日のお話 3969字/読了時間5分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、『ATD(人材開発機構)の、
2019ジャパンカンファレンスに参加してまいりました。
人材開発における最新のトレンドや事例を聞くイベント。
今年の人材開発の大きなテーマは、
「ラーニングテクノロジー」ですね。
通信の精度がより高まった近い将来、
一堂に会して集まる集合研修は、
古い時代のものになることも想像できます。
ゆえに、
”時代に合わせた教育のあり方”
を探っていく必要があるな、と感じた次第。
(人事の皆さま、また共有させてください)
また夜は、総合格闘技のジムで、
プライベートレッスンを受講。
その後、英語の勉強でした。
*
さて、本日の話です。
早速ですが、本日のテーマは、
【総合格闘技のプロから学んだ「強くなるには、努力は必要ない」というお話】。
です。
それでは、どうぞ。
■昨夜、飯田橋にある
「TRI・H・STUDIO」
https://tri-hstudio.com/about.html#intro
という格闘技スポーツジムで、
ジムの代表で、
総合格闘技のプロでもある先生に、
格闘技の個別レッスンを受けてきました。
なぜまたそんなところに、、、?
と思われるかもしれませんが、というのも、
私(紀藤)が月に1度やっている極真カラテにおいて、
あまりにも怪我の頻度が多すぎる、
(脱臼2回、打撲は毎回 涙)
というのが理由です。
技術や防御覚えて、
上手に戦えるようになりたい、強くなりたい、
そんな切実な思いから門を叩いたのでした。
■、、、ということで、
1年前にふとしたきっかけで、
レッスンに参加した縁があった、
プロ格闘家の先生のもとへ。
「先生、お久しぶりです」。
そんな挨拶から始まり、
いらっしゃるジムの濱村先生に、
かくかくしかじかと言うことで、
上記の空手において、もう一段強くなりたい
(=というか、怪我をしないくらい己を高めたい)
という話を、
空手の記録動画とともに見せて、
色々と意見を仰いだのでした。
濱村先生が動画を見て曰く、
「いやー、いい動画見せてもらいましたね。
これでお酒が3杯は飲めます。
これだけ尖った道場なかなかないですよね。
予定調和じゃないのが、イイ!」
とのこと。
■少し余談ですが、面白い話なので、
”格闘技界の歴史”の話を少々。
昔はそもそも「格闘」という位なので、
正直、何でもありの世界が「格闘技」だったそうです。
しかしながら、
そうすると練習中も怪我が絶えなくなったり、
イタイのは嫌だし、入門者も減ってしまうため
(当然ながら、そんな痛々しいところに、
喜び勇んでくる人は多くないので、、、)
だんだんと、
多数派に支持されるフィットネス的な要素のジムや、
予定調和的な組手を行う格闘技のジムが増えていった、
とのこと。
昔は「ある先生のもとに集った有志たち」が、
ほぼルールなし、何でもありで武芸に勇んでいた、
そういった道場がいくつかあったそうです。
そして先生曰く、
「それらの中の数少ない生き残り、
希少な道場ですね。いやー、イイですね」
とのこと。
なるほど、だから空手では怪我が絶えないのか、、、
と妙に納得しましたが、どうにもなりません。
強くなるしか、ないのです。
(やめればいいじゃん、とよく言われますが、
「強くなること」というのは、
自分(紀藤)が向き合っていきたい1つのテーマ。
そして仕事に通ずる、学びにもなります)
■話を戻します。
そんな中、昨晩、
プロ格闘家としても活躍している先生から、
諸々のレッスンを受けました。
先生が、私が組手をしている動画を見て、
アドバイスをくれます。
「相手が突っ込んでくるタイプの場合、
対処できる方としては2つしかありませんね。
1つは、”腹を決めて、相手のペースに合わせて拳と拳で打ち合う”こと。
ただこれは、言葉通り、
お互いにダメージを受ける確率が高いです。
ゆえに、怪我をしないと言う意味では、
まず最初に、別のパターンから行うことをお勧めします。」
「その2つ目ですが、”相手を制圧する”事です。
相手との距離が、
中途半端なところで打たせてしまっているから、
相手のペースになってしまうと見えました。
相手が攻めてきたときに、
一気に組み付いて、距離をゼロにします。
そうすると必ず足がどこかで交差します。
その組み方によって、
”相手のバランスを崩す方法”が、
2パターンあります。これを覚えてください。
1つ目は、外側に足をかける、
こういうやり方で、、、、
2つ目は、内側に崩すこういう方法で、、、」
と論理的に、
「相手の動きに対して、
どのように立ち回るのが定石なのか」
を私に技をかけながら、
端的に教えてくれます。
空手の学びとは、
また違う「崩しの技術」。
そんな方法があったのか。
それは知らなかった、、、。
という、
「!!」
が胸の中に拡がります。
■そして先生は更に続けます。
「もう一つ。
ジャブと、ローキックを出すときに、
あまりにも「ジャブを当てよう」としすぎています。
ゆえに、ローキックも決まらないし、
そもそも打つ間合いを変えたほうがよい。
まずは、ジャブの意識を変えることです。
当てずに、相手にジャブをさばかせます。
そうすると、必ず上半身に意識が行き、
そして実際にパンチをさばかせると、
ほぼ下半身で踏ん張ることになる。
本当に軽い気持ちでジャブ、
そして足をまっすぐノーモーションでローキックを出す。
これだけで、今まで当たらなかった技も、
決まるようになります」
とのこと。
実際、これもやると、本当にそう。
でも、プロに論理的に「知識」として、
かつ、実際に自分を巻き込んで「体験」として聞くと、
全く腹落ち感が違ってきます。
「!!」
が拡がります。
その他にも、
・右ストレート効果的に当てるための方法
・組み合ったときに相手を制圧する姿勢
・ローキックで、自分の足が痛まずに、上手にヒットさせる方法
等々、色々な技術を、
「!!」を伴って教えていただきました。
■私とほぼ同い年ながら、
格闘技の道に20年近くのプロの話は、
ものすごく説得力があります。
かつ、このジムの濱村先生。
言語化能力がたいへん高くいらっしゃり
「状況分析と、それに対応する技術を、瞬時に言葉にして説明できる」
という能力をお持ちで、感動すら覚えました。
■そんなこんなで、
あっという間に1時間が終わり、
最後に私が感想を含めて、口を開きました。
「いやー、勉強になりました。
でも、こういった事は結局、”反復練習”するしか、
身に付けることはできないんですよね。。。練習します!」
すると、先生から、
思いをかけない返答が来ました。
それは、
「いや、練習が必要でもないですよ。今日の話は、
『知っているか知っていないか、ただそれだけのこと』
ですからね。
だって、先程、理論を教えたら、
すぐにできたじゃないですか。
知ってるだけで、できますよ!」
とのこと。
その言葉を聞いて、
確かにそうだよな、そういうこともあるよな、と思ったのです。
そして、その話は(話が飛ぶようですが)
自分が軸足を置いている「教育」の話にもつながる、
と気づきを得たのです。
■「知っただけでできるようになることもある」。
これは、確かに事実です。
例えば、私が扱っている”営業研修”では、
「お客様に課題のヒアリングをする」ときに、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1,他には?
2,具体的には?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という、2つの「王道の質問」を上手に混ぜていくだけで、
課題のヒアリングが広がり、深まり、
全体を網羅的に把握することができる、
といいます。
言い方には工夫が必要ですが、
実際その通り。
知ると、できるのです。
*
あるいは、今流行の「1on1」とか「コーチング」の技法もそう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・今日はどんなことをテーマにしたいですか?
・その質問は、あなたにとってどんな意味があるんですか?
・ここまで話して、どうでしたか
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という「王道の質問」がコーチングの世界にも存在します。
そしてそれは、ほとんどの場合、
「知ってさえいれば」機能するものです。
■つまり、上述の「王道の質問」も、
「格闘技の技術」も
『知っているか、知らないかの差でしかない』
ものがあるのです。
もちろん、それがエレガントに、
上手に使えるようになるためには、
反復練習があったに越した事はありませんが、
できる、できないの間にある
「大きな段差」と言うのは、やはり
『知っているか、知らないかの差』
の中にこそ、あるわけです。
■ゆえに、
「自分がこの分野で能力を高めていきたい」
と考えたとき。
最初に私たちが門を叩くべきところは、
その分野の智慧の泉にアクセスできる、
「その道での”突き抜けた人”」
「その道で”何を聞いても答えられる一流の人”」
となるのでしょう。
そして、その人を見つけたら、
その分野における
「普通の人が何年もかけてたどり着くであろう、気づきや技術」
について、徹底的に師事を受けるのです。
いや、それは秘伝だからお主には教えられない、、、
と言われたらそれまでですが、
実は聞けば、結構教えてくれるもの。
そうして、最初のスタートからぐっと飛躍させ、
分野における成長感、楽しさ、喜び、達成感などを味わい続ける。
それが、熟達・変容のための、
賢い戦略ではなかろうか、
私はそのように思います。
■あらゆることを習慣化(自分のもの)にするためには
2つの方法がある、と言われています。
1つ目は、
「繰り返し」。
もう1つは、
『インパクト』
です。
そしてこの『インパクト』とは、
「こんなやり方があったのか!!」
と言う一瞬の体験、
「!!」
が頭の上に浮かぶとき、
いわゆる「アハ体験」をしたときに、
一気に変容が起こることもあります。
そしてその「インパクト」をもたらしうるものは、
「その道の一流の方の助言」
でしょう。
そのことを理解した上で、
「師の必要性」を理解し、
「師に教えを乞いにいく」
この価値を、改めて考えてみる事が大事なのであろう、
そのように思う次第です。
皆様は、自分が趣味としていること、
あるいは、軸足をおいている分野において、
師匠と呼べる人はいますか?
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<本日の名言>
真理の大海は、すべてのものが未発見のまま、
私の前に横たわっている。
アイザック・ニュートン(イギリスの自然哲学者/1642-1727)
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