「バーナム効果」から考える、正しい自己分析テストの使い方
(本日のお話 2858字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
さて皆様、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしょうか。
家の中で、外に出ることが少なくなると、
必然的にやることが決まってくるかもしれませんね。
私は、走ったり、本を読んだり、
人材育成を考えることしか趣味がないため(汗)、
昨日もランニングと読書でございました。。
*
さて、早速ですが本日のお話です。
先日読んでいた本を読みながら、
「性格テスト」についての面白いお話がありましたので、
皆様に少しご共有させていただきたいと思います。
タイトルは、
【「バーナム効果」から考える、正しい自己分析テストの使い方】
それでは、どうぞ。
■皆様もきっと
「性格テスト」とか「自己分析テスト」
と呼ばれるものをやったことがあるかと思います。
・血液型診断、
・動物占い、
・四柱推命
・エニアグラム(ギリシャ哲学由来の気質テスト)
から
・MBTI(ユングのタイプ論)、
・VIA(ミシガン大学の強みテスト)
・ストレングスファインダー(米ギャラップの強みテスト)
・ソーシャルスタイル理論
・DNA診断
など、非科学的なものから
科学的な研究結果から反映されたものを含め、
「自分を知るためのテスト」は実にたくさんあります。
■その信憑性も、好き嫌いも様々です。
ただ言える事は、
これだけたくさんあるということは、
やっぱり皆、自分のことには興味があるんですよね。
血液型4パターン、
星占いの12パターンなどは、
「そんなざっくりした分け方で
人の運命は決まるものか!」
と私は思ってしまいますが、
でもやっぱり未だに大人気です。
■そんな中、先日読んだとある書籍の中に、
「性格テスト」にまつわる、ある研究の
面白い話が紹介されていました。
(以下、引用いたします)
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1948年、米国の心理学者バートラム・ フォアラーは
彼が「サブジェクティブ・ヴァリデーション(主観的な評価)」
と呼ぶものについての研究結果を発表した。
彼は自分の学生を対象に、彼らの性格について心理テストをした。
そしてその分析結果と称して、学生個人の評価を与えたが、
フォアラーは被験者全員にまるっきり同じ内容のプロファイルを与えたのだ。
それは新聞の星占い欄からコピーしたものだった。
これは実際には誰でも当てはまるような曖昧な記述を、
自分だけに当てはまる性格なものと捉えてしまう一種の洗脳、
心理学的現象の実験だった。
これが後に「バーナム効果」と呼ばれるようになった。
フォロワーが学生たちに示したのは、以下のプロファイルだ。
*
・あなたは人から好かれたいと言う思いはとても強い。
その一方で、自分をシビアに見る傾向があります。
・あなたは類まれな受容力を持っているのに、それを生かしていません。
・あなたには性格的に弱い面がありますが、それらの埋め合わせをすることができます。
・外面では自分を律し自制的だが、内心ではくよくよしたり不安定になる傾向があります。
・時々あなたは自分が正しい判断や行動をしたかどうかひどく自信をなくし時があります。
・あなたはある程度の変化と多様性を好み、束縛や限界に直面したときは不満を抱きます。
・あなたは独自の考えを持っていることを誇りにしていて、
納得できる根拠なしに他人の意見を受け入れません。
・あなたは他者に自分をさらけ出しすぎるのは賢明ではないと気づいています。
・あなたは外交的で社交的で愛想が良くなる時もありますが、
一方で内向的で用心深く、打ち解けない時もあります。
・あなたの願望のいくつかは非現実的なものです。
・あなたにとって「安全」が人生での大きなゴールの1つです。
*
評価を見た被験者の学生たちは
正確度を0から5の段階で表すように言われた。
つまり、分析結果が自分に本当に合っているかどうかを聞かれた。
0は「全く合っていない」と言う意味で、5は「とても合っている」と言う意味だ。
平均スコアは4.26だった。
以来、この実験はあらゆる類のグループで繰り返し行われているが、
平均スコアはやはり4.2周辺である。
(※引用:ケン・ロビンソン,『才能を磨く 〜自分の素質の活かし方、殺し方〜』)
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■みんな、「これがあなたです」と診断結果として出されると、
「あたってるー!」と思ってしまうという、アレです。
どうやら『バーナム効果』というそうです。
、、、まあ、なんとなく想像できますよね。
皆様も、いろいろと性格テストや、
心理テストを受けられている方であれば、
同じ感覚をもたれた事はあるかもしれません。
■『バーナム効果』は、1947年の実験ですので、今から70年以上前。
それから色々と心理学始め、研究や実験が進んできましたから、
「占い」→「性格テスト」→「自己分析テスト」
と信憑性も高まっていき、
精度の高い「自己分析テスト」も
現代ではかなり増えてきたと思います。
(占いと自己分析は違うものです)
■しかしながら、自己分析テストにも、
まだこの『バーナム効果』のような作用はあるのでしょう。
例えば、私自身、
・ストレングスファインダー
・VIA
・MBTI
・ソーシャルスタイルテスト
・遺伝子検査
・その他のタイプ別診断
などの様々な比較的信頼性が高く
学者による研究も重ねられた自己分析テストや
遺伝子検査まで受けてみました。
多くは、テスト間で一致する結果が多く、
「骨格としての自分の才能の傾向は絞られる」と感じます。
しかし微細な部分を見ていくと(=すなわち枝葉の部分)
「全く一致」とはやはりならないものです。
■例えば
遺伝子検査では、
「あなたは繊細で、内向的で、臆病なタイプ」と言われ、
ストレングスファインダーでは、
「活動的、社交的、ポジティブな傾向が強い」と言われ、
エニアグラムでは、
「自己主張が強い、熱中して、時に完璧主義になる」と
されます。
確かに、どれも当てはまる気がする。
でも、そのまま読んで、
自分に当てはまるものは「ない」のです。
■人は複雑な生き物で、
状況によって、「自分」も変わってきます。
・波に乗っている時の自分、落ち込んでいる時の自分、
は微妙に違うし、
・仕事をしているときの自分、家庭内での自分、
も微妙に違うし、
・平常時の自分、ストレスがかかった時の自分、
もやっぱり違う。
どこかに「重心」を持ちつつ、
人間関係や、置かれた状況、環境に応じて、
様々な顔が出てくるものです。
基本カラーは同じでも、
移ろいゆく”虹”の色の変化のように、
あるいは”オーロラ”のゆらぎように、
多様な自分が顔を出してくる、
というのが「自分像」ではないかと思います。
■そして、「自己分析」において大切なことは、
『(状況の変化に連動した)
より多面的な自分に対して、自覚的になる』
ことであり、そんな微細な自分像をつかめたとしたら、
自分をコントロールする上で役に立つのであろう、と思うのです。
■、、、と「バーナム効果」を考え、
様々な「自己分析テスト」を統合して、
「どのように自己分析テストを活用すればいいか?」
について、ポイントが3つあると考えました。
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【「バーナム効果」から考える、正しい自己分析テストの使い方】
1、テストは、自分の才能、興味、感情や人間関係のパターンについて
あくまで知る材料にすぎない、という前提で受ける
2、ゆえに、テストには、
”願望でなく”、今の自分の状態を正直に回答する
3、回答結果は鵜呑みにしない。
「どこが当てはまっていて、どこが当てはまっていないか?」について
必ず”自己分析”をする
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ことかと。
■様々な自己分析のテストを受け、
その微細な違った結果を見つめることは
自分を知る、大変よい機会になると思います。
自分を多面的に見つめることで、
『(状況の変化に連動した)
より多面的な自分に対して、自覚的になる』
はず。
■自分の道を定めるためには、
「自分を知ること」から始まります。
過去を見つめ、今を見つめるから、
進みたい方向が、より精緻に見えてくると思います。
ゆえに「自分とは何か?」についての問いを、
継続的に持ち続けることで、
”「自分らしい自分」とは何で、どこを目指しているのか?”
という自己探求の道なき道が、
見えてくるものであろう、
そのように思っている次第です。
結論、
「自己分析を受ける+自分に問い判断する、をセットにすることが大事!」
というお話でした。
ご参考までに。
本日もお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
正直に自分の無知を認めることが大切だ。
そうすれば、必ず熱心に教えてくれる人が現れる。
ウォルト・ディズニー(1901-1966)
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