今週の一冊 『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』
(本日のお話 3354字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、
月1回で参加している勉強会への参加。
間に1件のアポイントを挟んで
夜からはドラッカーマネジメントの勉強会の参加。
勉強会だらけの一日でございました。
思考を整理する良い時間になりました。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は
お勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
==================================
『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』
ピョートル・フェリクス・グジバチ(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4023317284/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_avB5Eb12MZ7VD via @amazonJP
==================================
です。
■リモートワークが
一般的になった今、
「マネージャーの役割とは一体何か?」
が見直されているようです。
自分自身が明確な担当業務を持たず
戦略をチームに落としていく管理職が
これまでチームに
何を生み出してきたのか
その存在によって
本当に価値を生み出していたのか
改めて問われている、
そんなディスカッションが
NewsPicksのWeekly OCHIAIにて
語られていたような。
(「そんな管理職、不要っすよ!」みたいに
言われていたような気が、、、、)
■ちなみに、
リモートになって顕になった
”よろしくない管理職”には2種類ある、
といったゲストの話が
非常に興味を持ちました。
それは、
1,メンバーのことが信頼しきれず
今日は何やったの?ちゃんと働いているのか?
とマイクロマネジメント化する管理職
2,「どうぞ勝手にやって」とタスクだけ投げて
メンバーを完全放置になるパターン
この2パターンが
実は結構あるのでは、、、
という話です。
きっと組織内のどこそこで
起こっているのかもしれません。。。
■昨日私が参加した
ドラッカーの勉強会でも、
「マネジメントは”管理職”と訳されるが、実は違う。
ドラッカーの言うマネジメントの中で
「管理(=コントロール)」とは
マネージャーの役割のごく一部に過ぎない。
”管理職”というのは厳密には
誤解を招く訳ではないか」
という話が出ていました。
■また1on1、コーチング
色々なマネジメントの考えも出てきて、
管理型のマネジメントの強みも見直され、
かつ、このリモートワークの流れ。
ますますマネージャーの役割は
考えさせられているように見えます。
では、そんな中で
「マネージャー(管理職)の役割とは
一体何なのか?」
このことは気になるテーマでは
ないでしょうか?
■、、、と前置きが
長くなってしまいました。
上記の話に、興味・関心、共感
あるいは疑問をお持ちの方にオススメしたいのが
まさしく、今日ご紹介する一冊です。
『世界最高のチーム
グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』。
この本はGoogleの人事責任者であった
ピョートル氏が書いた
”成果を上げるチームの作り方”
をまとめた本です。
結論、
・めちゃくちゃわかりやすく読みやすい
・マネージャーの役割の全体像が理解できる
という意味で、
大変おすすめの本です。
平易な言葉、本も短い、データもある、
具体的なアクションも明確なので、
2時間位で読めて、お得。
■ではこの本、具体的に
何が書かれているのでしょうか?
少し見ていきましょう。
*
さて、著書のピョードル氏は
Googleの人事をしていた方なので、
Googleの優秀な働き方を参考に
私達に情報を伝えてくれています。
まず当たり前ですが、
Googleは超優秀な人たちの集団。
しかし、ピョートル氏曰く、
『Google の一番の魅力とは
チームを大事にするところである』
と語ります。
頭がいい人が集まっているから
Googleはすごいのではなく、
(もちろんそれはありますが)
何よりもその人達の才能を最大化させるための
チームづくりのアプローチがすごい、
というわけ。
■かつ「さすがGoogle!」です。
良いチームを作るための
マネージャーの役割についても
抽象的な、ざっくりした話ではなく、
・定量的な調査・分析が必須
・”事実やエビデンスベース”に落として
・根本まで因数分解して、再現性がある
レベルまで落とし込んで
「成果を上げるマネージャーの役割」を定義づけるのです。
それもそのはず、
Google のカルチャーは
そもそもエンジニアリングの会社で
博士号を持っている社員の割合はNASA よりも多い
そんな会社ですから、
雰囲気や根性論は許されません。
■そんな背景で
「マネージャーの役割や仕事」に関する
1万人の大規模社内調査を行いました。
まず最初に行われたのが
『Project oxygen(2009年)』。
(プロジェクト・オキシジェン=酸素)
このプロジェクトでわかったことは
【マネージャーの言動が、
チームのパフォーマンスに最も関係している】
ということでした。
そして、
”優秀なマネージャーは8つの特徴がある”
ことが判明します。
(以下内容です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<優秀なマネージャーの8つの特徴> byプロジェクト・オキシジェン
1,よいコーチである
2,チームを勢い付けて、マイクロマネジメント(チームメンバーに対する過度の監督・干渉)はしない
3,チームメンバーが健康に過ごすこと、成果を上げることに強い関心を持っている
4,生産的で成果主義である
5,チーム内の良き聞き手であり、メンバーと活発にコミュニケーションしている
6,メンバーのキャリアを形成を手助けしている
7,チームのためのはっきりしたビジョンや戦略を持っている
8,チームメンバーにアドバイスできる専門的技術知識を持っている
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして特にマネージャーにとって
一番大事なのは「1、よいコーチである」とのこと。
■そして続く2012年。
「生産性の高いチームの特性」
を明らかにするため、
『プロジェクト・アリストテレス』が発足しました。
エンジニアリングの115チームとセールスの65チームを対象に
生産性の高いチームと生産性の低いチームを比べて
どんな違いがあるのかを調査・分析する、というもの。
結果、わかったこと。
それは、「生産性の高いチーム」とは
5つの特徴を持つことがわかったのです。
(以下内容です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<生産性の高いチームがもつ5つの特徴> byプロジェクト・アリストテレス
1,チームの「心理的安全性」が高いこと
2,チームに対する「信頼性」が高いこと
3,チームの「構造が明瞭」であること
4,チームの仕事に「意味」を見出していること
5,チームの仕事が社会に対して「影響」をもたらすと考えていること
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■さて、この
プロジェクトオキシジェンと
プロジェクト・アリストテレスをみて、
どのようにお感じでしょうか?
私はこの話を見て、
とあるエピソードを思い出しました。
■それは、
しばしば研修に携わっている中で、
たまに人事や参加される管理職から
聞こえてくるコメントです。
最近は聞こえなくなりましたが
数年前までは本当に頻繁に聞いていました。
「メンバー自身の
ミッションや何を学びたいのかまで
面倒を見るのが会社の仕事なのか?」
「そういった自己啓発みたいなものは
会社ではなく、本人が考えるものではないか?」
という話。
■確かに、一理あるかもしれません。
給料をもらい、
仕事という”外的な役割”を軸に、
組織に集まっているのだから
「成果を上げる機能」のみ、
マネジメントすればいいんじゃない?
という、その人の人間性や
深い部分に踏み込むのが苦手だったり、
そのあたりを面倒くさいと考える方に
なんだか多いように見えます。
■ただ、もしその
「機能としてのメンバー」にのみ
フォーカスしていたら、先はありません。
『経営とは何をすべきか』
(著:ゲイリー・ハメル氏)
で語られる「能力のピラミッド」において
レベル1 従順
レベル2 勤勉
レベル3 専門性
という
「与えられた仕事や役割の枠」だけで
仕事をするまではいけるでしょう。
しかし、
レベル4 主体性
レベル5 創造性
レベル6 情熱
という更に上の段階まで
突破していくためには
「機能としての人」で見ても
決して突き抜けることはできない。
限界があるのです。
上述の、同書の中でこのように語られています。
”企業が繁栄するかどうかは、
あらゆる階層の社員の主体性、
想像力、情熱を引き出せるかにかかっている。
そしてそのためには、全員が自分の仕事、
勤務先やその使命と精神面で
強く繋がっていることが欠かせない”
、、、と。
■「人間」というのは
時にめんどくさいです。
家庭の状況や健康
趣味、将来の不安、、、
生身の生き物が関わり、
やりがいやそれに伴い
パフォーマンスも上がり下がりする。
Googleで働けるような
自立した社員ばかりではないほうが
むしろ普通の会社は多いのでしょう。
ゆえに,
・規律を守る
・成果を出せない社員に対して責任をもたせる
・成果へのコミットを果たす
等の当たり前を徹底させるところから始まり、
(これだけでも大変)
その上で、
・よいコーチである
・チームの信頼性を高める
・ビジョン/戦略を示す
と更にレベルの高いことも求める。
一体どこまでやればよいのか、、、
というマネージャーの気持ちも分かります。
むしろ職人芸ともいえるレベルなのかもしれません。
■しかしながら幸いにも、
今回のご紹介した本のように
「マネージャーが持つべき役割」
が組織開発、人材開発の知見が
公開されることで、明確にされてきています。
ゆえにこのような著書を通じて
・今のマネージャーとして
自分自身に足りないものは何なのか
・自社のマネージャーに
足りないものは何なのか
について、
足りないピースを考えるように
自覚的になるヒント得られるはず。
■ もちろん、実践をするためには
数多のチャレンジが必要でしょう。
しかしまず全体像を見る上で
非常に読みやすく
噛み砕いて伝えてくれている良書です。
マネジメントに携わる方で
ご興味がある方はぜひ。
お役に立つはずです。
==================================
<今週の一冊>
『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』
ピョートル・フェリクス・グジバチ(著)
==================================