今週の一冊『リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス』
(本日のお話 3668字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、久しぶりに
髪を切りに美容室へ。
またその後は
You Tubeの動画撮影に向けた
打ち合わせなどでした。
緊張しますが、ぼちぼちと
You Tubeプロジェクトも
始めて行きたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、お勧めの一冊を
ご紹介する、今週の一冊のコーナー。
今週の一冊は、
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『リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス』
有冬典子 (著), 加藤洋平 (監修)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07NDDBKT4/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_UGkoFbCRY5Y9F
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です。
■来ました。
物凄く読みやすく、
かつ本質的な話が書かれている名著。
私も様々な本を読みますが、
この本は、難しくなく、スラスラ読めて、
でも大切なことが心にすっと入ってくる
素晴らしい一冊でございます。
■さて、そんな今週の一冊、
『リーダーシップに出会う瞬間
成人発達理論による自己成長のプロセス』
有冬典子 (著), 加藤洋平 (監修)
ですが、どのような本なのか?
、、、キーワードは、
「成人発達理論」
という言葉です。
■人材開発に関わられている方であれば
「成人発達理論」
という言葉、聞かれたことがある方も、
いらっしゃるかも知れません。
(そうではない方は、
おそらく聞いたことがないのでは、
と思います。ややマニアックなので)
この、「成人発達理論」とは、
ハーバード大教育大学院教授で
組織心理学者のロバート・キーガン氏が牽引する、
”大人の成長”
を研修した理論です。
要約をすると、
以下のような内容です。
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「成人発達理論」とは・・・
人間の成人以降の成長・発達に焦点をあてた心理学の理論。
人間の知識やスキルを司る「知性」や「意識」が、
成人以降も生涯をかけて成長・発達していくことを前提とし、
人間の成長・発達のプロセスとメカニズムを研究し
理論化したのが「成人発達理論」である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
とのこと。
■脳科学的に、子供は「成長」する。
しかし、大きくなった後に、
「大人は成長」するのだろうか?
いや、大人になったら
心は成長しないのでは?
、、、このような考えが
1980年以前は考えられていたそう。
しかし、この「成人発達理論」の研究により、
”人はおとなになっても、生涯、成長し続ける”
ということが明らかになってきました。
特に、体は成長しなくても、
「知性」「意識」という
心の面で成長をし続ける、ということ。
■確かに、皆さまも
ご自身の経験から、きっと
心当たりがあるかと思います。
・仕事で多くの利害を調整し進める、
大変なプロジェクトを経験した。
・同僚や上司と、時にぶつかり合い、
時に歩み寄り、色んな人の気持ちを知った。
・自信がない中でも、敢えて
意見主張し、リーダーとして
自ら渦を巻く経験を得た。
、、、というように。
大きい小さいは
人それぞれだったとしても、
”今までの殻を破った”
と感じた瞬間、
・何か違う自分になった、
・質的に自分が変化した、
というような変化感を覚えたこと、
ある方もいらっしゃるのではにないか、
と思います。
■そう、その体験こそが、
まさしく
「成人発達理論」
の変化の瞬間。
タイミングは人それぞれで
かならず発達しなければいけない、
というものでもないですが、
人はそんな成長のプロセスを
歩むことができる存在である、
ということは確かなのです。
■では、その、
「成人発達理論」の成長プロセスとは、
一体どのようなものなのでしょうか?
著書によると、
以下のように大人は意識面において、
成長を遂げていく、と語ります。
以下、その成長と発展を、
簡単にまとめてみました。
■まず最初は、
【レベル1,利己的段階】(エゴリーダー)
です。
この段階の人は、
他者は
「自分の欲求を満たすための手段・道具である」
と考えています。
ゆえに「あの人は使える、使えない」という言葉を使ったり、
味方か敵か、役に立つか立たないか、で人を見たり。
一方、この段階では
「自分の思いを押し通す力」
「はっきりと意見を言うこと」
「譲らない強い意志を養う」
という力が養われるといいます。
*
要は、”自分のことだけ”という状態ですね。
そのために、周りが傷つこうがなにしようが、
気にしない、という状況でしょう。
周囲との同調を大事にする
日本の大企業などには少ないかもですが、
しばしば目にします。
■そして1つレベルが上がって、次の段階。
【レベル2、他者依存段階】(八方美人)
です。
他者は「自己イメージを形成するために必要なもの」と考えている。
集団や組織に従属することが主な欲求である。
ゆえに、
「私は人にどう見られているのだろう?」
「決まりを守らなければ」
「みんなに迷惑をかけてはいけない」
という思考が主に働いています。
一方、この段階では、
「他人の気持ちを推察する力」
「空気を読む力」
「角が立たない立ち居振る舞いや言葉の使い方」
の力が養われる、といいます。
なんとなくですが、この段階の方が、
一番多いような気がします。
自分の意見を言い過ぎるのもイマイチですが、
同時に、この「他者依存」段階が強すぎて、
本当は欲があるのに自分の意見を出すこと自体、
怖がること、実に多いように思います。
なんとなくですが、
ここの段階の大人が一般的な組織では
一番多いんじゃないかな、
と思います。
■そして、もう1つレベルが上がります。
【レベル3,自己主張段階】(コアリーダー)
です。
この段階では、
「自己の独自の価値観を求める」
ことが始まります。
そして、他者は協力者や仲間である、
という見方で接します。
ゆえに、
「私は私の信じる道をゆく!」
「理想とする生き方や社会がある」
「私の信念は絶対譲れない!」
という強い意志を示します。
ここでは、
独自の価値体系を構築する
考えを言語化する力
巻き込み力
向上心
などの力を養っていきます。
ゆえに、「芯がある人」という
イメージでしょう。
■そして最後の段階、
【レベル4,相互発達段階】(超コアリーダー)
です。
はい、コアリーダーを超えて、
「超コア」リーダーになりました。
レベル3のコアリーダーが、
自分の信じる価値観、道を突き進んでなお、
それを手放し多様な状態。
「全ての価値観は素晴らしい」
「全て正しい」
「自分と他者は一体である」
というような全体の中での自分を捉え、
他者の成長を”真から”喜べる、
そんな状態です。
ここでは、
・個と全体の双方の可能性を
最大限に引き出す力
・その瞬間瞬間、共にいる力
・新しい自己への好奇心
などの力が養われます。
たまに出会う、
「この人、本当に自分の
全てを受けていれてくれそうだ」
Beingレベルでの器の大きさを
感じさせてくれるような人、
が私の中のレベル4の方のイメージです。
■、、、と
レベル1〜レベル4まで
ズラズラっとご紹介いたしましたが、
皆さまは、ご自身に当てはめてみて
どのように感じられますでしょうか?
おそらく、
厳密に「ここ」というよりも、
レベル2と3の間、とか
状況によって行ったり来たり、
を繰り返しながら
少しずつ螺旋階段を登るように
成長していくものかと思います。
■ただ、このレベルを上に上がるほど、
”視点が増えていく”
(自分、相手、全体と
見える世界が変わっていく)
といい、考える深さも広さも、
拡大していきます。
そして、それが
【大人の成長である】
というのでした。
■ちなみに、これは、
「何でもかんでも成長すればよい」
というわけではありません。
その人に来るべきタイミングが来たら、
自ずと向き合うような状態になるもの。
だから、今回の「成人発達理論」の話を、
私がメルマガで熱く語っても、
興味がない方はないはず。
そしてそれでよいのです。
ただ、もし何か感じるものがあるのであれば
それは自分が次のステージに向き合いたい
自分を変容させていきたい、
そんなタイミングにきているのでしょう。
■、、、とつい
「成人発達理論」
の話を詳しくしてしまいましたが、
今回ご紹介している一冊は、
ある女性が成長していく物語を、
成人発達理論にのせて小説風に追体験できる、
そんな一冊になっています。
某大手食品会社で、
女性管理職を登用しようという中で、
将来の課長候補として
選ばれた30歳の女性。
社内のお局的な50歳の女性課長。
40歳手前の
成人発達理論を教えてくれた
他部署の女性課長。
そして仕事の中で出会うトラブル。
人間関係に軋轢。
パワハラまがいの言動。
、、、
そんな中で悩みながら、
自分を見つめて歩む成長譚が、
「大人の成長ってこういうことなんだ」
と思わせてくれる名著です。
*
以下、著書の紹介です。
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<成人発達理論をもとに、
潜在的なリーダーシップを開発するための本>
女性リーダーに抜擢された30歳の女性社員が主人公。
メンターの先輩女性や思慮深い相談相手の同僚、
上司らに支えられながら、自分の信念に立って
自分らしいリーダーシップとは何かに気づき、
人間性豊かに成長するプロセスが、誰もがどこかで
経験する、共感的なストーリーでわかります。
成長のプロセスは、ハーバード大学教育大学院などで
研究が進む「成人発達理論」をベースにしています。
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本の中で紹介される比喩やエピソード、
言葉なども、非常にわかりやすいのも魅力。
わかりやすいのに薄っぺらくない、
素晴らしい本だと思いました。
おすすめです。
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<今週の一冊>
『リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス』
有冬典子 (著), 加藤洋平 (監修)
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