メールマガジン バックナンバー

2311号 2020年6月18日

対面とリモートの感覚の違いを考える(後編)

(本日のお話 3180字/読了時間5分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日ですが、終日
研修プログラムの作成。

自宅に

ホワイトボード、
撮影用ライト、
三脚2台(カメラ用、ライト用)
反射板、

という動画撮影セットを購入し、
自宅にて研修フォローの動画の準備など。

今後、どんどんリモートでの
研修が増えていくということを見越して
どんどん仕込んで行きたいと思います。

また、夜は
システムコーチングの勉強会。



さて、昨日ですが、
「対面とリモートの感覚の違いを考える」
ということで、メルマガをお届けいたしました。

今日も続けます。

タイトルは

【対面とリモートの感覚の違いを考える(後編)】

それでは、どうぞ。

■昨日のお話は
「対面とリモートの違い」を
考えた時に、

『対面は、”動物的なエネルギー”が詰まっている』

とお伝えいたしました。

会わないとわからない

ツヤ、ハリなどの視覚イメージ
発言したときの空気感
人が集まってきたときの微細な雰囲気の揺れ

など、

五感を通じた
”微細な感覚のセンサー”は
人と人が向き合うことで発動するもの。

対面には、
緊張感、ある種の怖さ、
エネルギーの消費があり、

だからこそ、

その空間にはインパクトがもたらされ
空間と記憶を紐付けて記憶できるのでは

というお話でした。

■一方、
「リモート」での対話の特徴には
どのようなものがあるのでしょうか?

それは、

『ランクが見えなくなる
&身体的な恐れが軽減される』

ことかと考えております。



まず、

「身体的な恐れが軽減される」

から。

例えば、

研修においても、
多数の参加者は、

「人前で発言をすることに
躊躇する」

ものです。

人前で話す緊張感は、
対面でもZOOMでも
等しくあるものと思いますが、

その”重さ”が
違ってくると感じます。

例えば、

リアルな150人の会議で
手を挙げる場合の緊張感と、

ZOOMの150人の会議で
手を挙げる場合の緊張感は、

やはり違うと思うのです。

(ZOOMだと、
実際見えているのは1画面25人です)

その”緊張感や圧力”は
全然違ってくるものがありそう。

■あるいは、
”1対1”の対話の場を
リモートと対面で比べても
そうでしょう。

私自身リモートで
コーチングや、
コンサルティングをやっていて、
思うことがあります。

それは、

相手の感情の揺れが、
五感を通じて伝わって来づらいので

”率直な意見を、言いやすくなる”

というリモートでの特徴。

■対面の相手に、
ストレートに物事を言うのは、
躊躇します。

それは、

相手に対して「対面」で
グサリと刺しうる言葉伝えると、

予想以上に影響があり、
相手の動揺、衝撃、時に反撃の可能性が
無きにしもあらずだから。

抑えよう、抑えよう、
セーブして伝えよう、と思っても、

対面の場だと、
お互いの感度が高まっているがゆえ、

・毛穴が開く感じ
・顔が紅潮する感じ
・息を一瞬吸い込んだ感じ
・目が鋭くなった感じ

を敏感に察知し、

その生まれた緊張感に
自分自身も影響を受けるのです。

■ですが、物理的空間を
共有しない「リモート」では

視覚・聴覚・触覚等の感度によって
キャッチする感覚的な情報が
ぐぐっと落ちるイメージです。

個人的な感覚としては

”対面:リモート = 100:50〜70”

の感度のレベルでしょうか。

このレベルは、人により
変わると思いますが、

総じてリモートでは、

『”身体的な恐れ”が軽減され
率直に物事が言いやすくなる』

という影響がある、
と考えています。

■そして次ですが、
リモートにより、

『ランクが見えなくなる』

ことについて。



例えば、

オンライン会議システムのZOOMでは、
(当たり前ですが)全参加者が等しく
同じマス目に、同じサイズで表示されます。

社長でも
部長でも
課長でも
一般社員でも

皆等しく
同じサイズのマス目に収められる。

そこに
”物理的な序列”は
ありません。

例えば、

社長だけ金ピカのフレームで囲われる、とか
社長だけフレームのサイズが大きい
社長が一番目立つ左上にいる

ことはないのです。

■ただ、

これはある企業の役員の方から
聞いたお話ですが。

ピラミッド型の構造を持つ
典型的な日本の大企業のおいて

「等しく皆が並ぶリモート会議では
違和感がある」

と言う話を聞きました。

特に対面では、

特にピラミッド型、終身雇用
年功序列の典型的な日本の大企業では、

”ランクと、空間的な位置”

に相関関係がある、と言う話。

会議でも皆が揃った後に、
最後におもむろに一番偉い社長が登場する。

そして座る場所は、全体が見渡せる位置。
社長に向かって「右」に座るものはいない、

という空間的な位置に基づく
ランクの表出。

(偉い人は一番右に座るしきたり。
「右に出る者がいない」という故事からきている。

※参考:「右に出るものがいない」
実力において勝る者がいないさま。
古来、偉い立場の者から見て右側に立つ者(本人たちから見れば左側)のほうが
より優れた者という決まりがあったために、この表現が生まれたとされる。

実際に、左大臣は天皇から見て右側にいたものの、
右大臣より立場が上だったとされている。

−実用日本語表現辞典より)

これらは、
伝統的なしきたりのように、
組織を覆っていたルールであった、

それがリモートでは
なくなりました。

■あるいは、

”ランクと、物理的なモノ”

にも相関関係があります。

例えば、

自分が出世するたびに
少しずつハンコの直径が
大きくなってゆく。

あるいは、

昇進すると
椅子に肘置きが付き、

更に昇進すると
クッション性が優れた椅子になり

更に昇進すると
革張りの椅子になる

というように。

しかし、リモートでは
これらもなくなります。

■日本の伝統的な企業において
組織の見えない共有ルールとして
存在していた

”ランクと空間的な位置”

”ランクと物理的なモノ”

は排除されていく。

そうすると、

『ランクが見えなくなる』

流れが加速していき、
立場や役職にバイアスがかかった

「何を言うかではなく、
誰が言うか」

という風潮ではなく

立場関係なく、
その発言内容やアイデアが評価される

「誰が言うかではなく、
何を言うか」

という流れになるのでは、

と思うわけです。

■ということで、
ここまでのお話で

特に対話(面談・研修)における

「対面とリモートの感覚の違い」

をまとめて整理してみると、
以下のようになるかと思いました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「対面の特徴」

動物的なエネルギー”が詰まっており、
五感を通じた感性のアンテナが自然と発動される。

しかし視覚・聴覚・触覚を通じた
情報量が多いため疲れる。
しかし、インパクトや記憶に残る場になる。

深い対話や、感情面に刺激を与える
ワークショップや大切な意思決定に有効な感覚。

「リモートの特徴」

面と向かった身体的な恐れがなくなるため
発言がしやすくなる(慣れれば)

ランク(役職・肩書)が見えなくなるので
フラットな対話がしやすい感覚。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

というイメージです。

これには、

育ってきた環境(年代)
自分の感性のレベル(人間関係の感性)

も影響してきますし、
私がそう思う、という切り口です。

■ただ、大切なのは、

「対面か、リモートか」

という選択肢が生まれた今、

それぞれの違いを
要素分解して、

対面、リモート
双方の特徴は何かを
言葉として明確にすることは、

それを状況において
使いこなすために、
とても大切な知的作業ではないか、

と思います。

■そして、
リモートが主流になったとき、

これまでのランクや
身体的な雰囲気以上に、

何を言えるのか、
何を考えているのか、

が大事になるでしょうし、

そうすると、
必要とされてくる能力は
その分野における学び、
深い洞察力などの価値が、

相対的に上がって
来るのであろう、、、

そのように思います。

■ということで、
「対面とリモートの感覚の違い」
をまとめてみたの巻でした。

みなさまは、
それぞれにどのような
感覚の違いがありますか?

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<本日の名言>

人は笑い方でわかる。
知らない人に初めて会って、
その笑顔が気持ちよかったら、
それはいい人間と思って差し支えない。

ドストエフスキー(ロシアの小説家/1821-1881)

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