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『私たちは子どもに何ができるのか——非認知能力を育み、格差に挑む』

今週の一冊『私たちは子どもに何ができるのか——非認知能力を育み、格差に挑む』

2509号 2021年1月3日

(本日のお話 2919字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日の三が日は、
果たせなかった初詣のリベンジ。

その後良い天気だったので、
散歩がてら話題の映画『鬼滅の刃』を
妻と観に行きました。

あんまりミーハーになりたくないのですが、
個人的にかなりツボに入ってしまい、
実は2回目です(苦笑)

とはいえ、2回目も楽しめました。

またその後は、読書など。



さて本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は、

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『私たちは子どもに何ができるのか——非認知能力を育み、格差に挑む』

ポール・タフ (著), 駒崎 弘樹 (その他), 高山 真由美 (翻訳)


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です。



■この著書の英語のタイトルは、

『Helping Children Succeed』
(子供の成功を助ける)

です。


子供を成功させるには、
何が必要なのか?

そのキーワードの一つが、

「非認知能力」

であることが、
数々の研究から分かってきました。

ちなみに「非認知能力」とは、

・やり抜く力
・好奇心
・自制心
・楽観主義
・誠実さ

などのことです。



■ちなみに、心理学で

”内発的動機付け”

という言葉があります。

これはすなわち「やる気」のことです。

この内発的動機づけ(やる気)が
仕事でも勉強においても、
能力を高めたり、成果を出す上で重要です。



例えば、”内発的動機づけ”を
提唱した心理学者ブルーナーは

これを高めるには、2つの要素がある、
といいました。

それは、

「1、知的好奇心」
「2、自律性」

です。


■では、この

「1,知的好奇心」
「2,自律性」

がどのように育つのか。


※「自律性」とは
・有能感/自分で自分のことを決められると思える
・自己決定/自分の欲求を自分で充足させられると思える ことと言われます。


いわゆる、これらの
成果を出すための

”非認知能力”

はどのように育てられるのか。



■これらを研究した結果、
分かったことは


『「非認知能力」は子供を取り巻く”環境”の産物である』


ということでした。


そして最近の科学では、この
「非認知能力」と呼ばれる能力が、

低所得層の子供が
そこから抜け出す上で
極めて重要な要素になっている、

ということが
数々の研究結果から明らかになっている、

というのです。



■この本は米国で書かれた本ですが、
よく知られている通り米国は格差が大きいです。

そして、2013年には、
米国の公立学校に通う生徒の中で

”「低所得層」に相当する割合が過半数(51%)

に達した、といいます。


そして、

低所得の環境で生まれた子供、
つまり貧しい家庭の子供(所得区分の下位20%)が、
貧困から抜け出すのはかなり難しいことも
わかっています。

その理由が、

・仕事や収入に関する「学士号」を
取得できない、

・その背景にある愛情の不足、
ストレス、ネグレクト、逆境などの起こりやすさ

・また一旦そのスパイラルに入ると、
人間関係の欠損、学習へついていけなくなる
など負の連鎖が起こる

などで、その子供が悪いわけではなく、
統計的にわかっているのです。


ゆえに、


『「非認知能力」は子供を取り巻く”環境”の産物である』


とし、これは構造的な問題であることを、

現在起こっている
子供の貧困や犯罪のデータと実例と共に、

心理学的な非認知能力の育成が
幼少期の環境に以下に影響を受けるのか
先端の実証研究結果を、

説得力を持って整理して
伝えてくれています。



■この本を読むと、


”我々大人が、

子供の好奇心や自制心などの「非認知能力」
(=性格的な強みとも言える)

にいかに大きな影響を与えているか”


をまざまざと知らしめられます。

本書自体は、子どもの貧困を
テーマにした本ではありますが、

同時に、自分たち、あるいは
周囲の子どもたちに関わる上で、
何に着目すべきなのかを示してくれる
一冊でもあります。


以下、著書の紹介です。

(ここから本の紹介)
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「やり抜く力」「好奇心」「自制心」……

人生の成功を左右する力の育み方を、最新の科学的根拠(エビデンス)と先進事例から解き明かす!


本書の著者ポール・タフは、ノーベル経済学賞受賞のヘックマンの研究をはじめ、
世界中の研究者によるさまざまな科学的知見と先進事例を統合し、
特に貧困家庭に育つ子どもにとって、非認知能力の育成が
その後の人生に大きな影響力をもつことを明らかにしました。

そして日本でも政府機関や教育機関が
「幼少期の非認知能力の育成」をとりあげた報告書や政策提言書を作成するなど、
各方面で関心が高まっています。

本書では、非認知能力を育む方法を具体的に示しています。
紹介される事例は海外のものですが、日本の問題にも通じる内容が満載です。



■認知能力から非認知能力へ
近年、教育分野では「非認知能力」の育成に高い関心が集まっています。

「非認知能力」とは、IQや読み書きの学力のような「認知能力」に対する、
やり抜く力・好奇心・自制心のような能力のことを指します。

ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンは、
貧困や虐待など逆境にある子どものなかでも、
これまで重要視されてきたIQや読み書きのような「認知能力」ではなく、
やり抜く力・好奇心・自制心のような「非認知能力」がある子どもの方が、
成人後に学歴が高く、健康状態がよく、生活保護率が低く、
年収が高いなど、将来挫折することなく成功する可能性が高いことを発見し、
大きな話題となりました。


■見過ごせない子どもの貧困
「平成28年 国民生活基礎調査」によると、日本の子どもの貧困率は約14%。
日本でも7人に1人の子どもが、貧困ライン以下の生活をしていると言われるようになり、
「子どもの貧困問題」「教育格差」は切実な課題となっています。

この子どもの貧困は、一生の財産になる「非認知能力」を獲得する機会を奪い取ってしまいます。
そして非認知能力を育まれる機会を逃した子どもは、
大人になった後に仕事や生活面でより多くの機会を失う可能性が高く、
結果として、自身も貧困に陥ってしまうという貧困の連鎖を生んでしまうのです。

それは単なる家庭の問題だけではなく、
保育園・幼稚園や学校、地域社会で、周囲の大人たちが
どのように子どもと接するかによっても大きな影響を受けるとされています。


■本書をどのように活かすか?
一方で、非認知能力の重要性は理解されたものの
「どうすれば非認知能力を伸ばせるのか」という具体的な方法論は課題として残されていました。

本書は、まさにその疑問に答えようとすべく、
2年にわたって新しい研究や事例を取材して結実した意欲作です。

・幼少期の親子関係のストレスをどうすれば和らげることができるのか?
・問題行動のある子どもがいるクラスの成績を上げるにはどうすればいいのか?
・自信のない生徒のモチベーションを高めるには、どんなフィードバックが有効なのか?

幼児期から思春期まで「子どもにとって本当に大切なこと」が詰まった、
子どもを持つすべての親と様々な問題に取り組む教育関係者必読の一冊です。


※Amazon本の紹介より引用

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研究結果や事例に基づく内容が多いので
文化の違いはありこそすれ、

論理的な話がお好きな方は
学びになる一冊かと思います。

よろしければ、ぜひ。


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<今週の一冊>

『私たちは子どもに何ができるのか——非認知能力を育み、格差に挑む』

ポール・タフ (著), 駒崎 弘樹 (その他), 高山 真由美 (翻訳)


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