事故受付センターのバイト経験から「熟達化のプロセス」を考えてみた
(本日のお話 3040字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は終日コーチング研修の実施。
優秀なコーチの皆々様と、
某企業の管理職研修の運営でした。
自分以外のコーチングを見るのは
実に多くの気付きがあります。
学びになる時間でもありました。
*
さて、本日のお話です。
昨日のコーチング研修にて
「熟達化」について思うことがありました。
本日はそのお話について学びと気づきを
皆様にご共有させていただければと思います。
タイトルは、
【事故受付センターのバイト経験から「熟達化のプロセス」を考えてみた】
それではどうぞ。
■先日のコーチング研修にて、
参加者がこんなコメントを語っていました。
「あいづち、表情、声のトーン。
質問をして、フィードバックをして。
コーチングって思った以上に
意識することがあって大変ですね。
一つだけ意識するならよいですが、
なんだか出来る気がしません(苦笑)」
…とのこと。
■確かにこの感覚、わかります。
多分、物事を習得するときは
皆同じような感覚、
”コレを意識すると、
前学んだアレができなくなる”
ということが起こるものですね。
、、、しかしながら、
人は何かしらの分野で
「出来ないと思っていたこと」でも、
少しずつ出来るようになっていき、
いつの間にか「熟達した」というレベルに
到達していることもままあるものです。
では、人の「熟達化」のプロセスとは
いかなるものなのでしょうか?
これを、紐解いてみたいと思うのです。
■私(紀藤)の例で恐縮ですが、
私が昔、コールセンターで
「事故受付センター」のオペレーターの
アルバイトを行っていたことがありました。
「◯◯損害保険、事故受付センターです。
事故でしょうか?お怪我はありませんか?」
というような冒頭で始まる
損害保険のサービスとしての初期対応の窓口です。
、、、明らかな危ない事故は
まず警察に連絡がいくものですから、
どちらかというと
「車を擦った」とか「ぶつけた」とか、
そのような小さな事故の類が多かったですが
中には全損でレッカーが必要な場合もあったり
怪我人がいたりする場合もあって
結構ドキドキしながら対応していた記憶があります。
■そんなバイトですが、働き始めた当初、
先輩がヘッドセットで電話の応対をしながら
ものすごい高速でタイピングを進め、
かつ、事故の状況をメモでまとめて、
通話が終わった瞬間に、事故記録が完成していた
(しかも誤字脱字もない)
のをみて、驚愕したことを覚えています。
普通にやっているようですが、
1,無意識でのタッチタイピング
(かなり高速、かつミスがない)
2,事故で混乱しているお客様へ
マニュアルにしたがった冷静な対応
3,相づち、質問をしながら
事故記録シートを編集する
という、少なくとも3つの技能を
同時進行的で行っていたわけです。
ある意味、職人とも言えるの所業でした。
■ちなみにその事故受付センターは
・お客様への対応のクオリティ
・処理速度(事故記録のまとめ速度)
などを評価指標としてつかっており
それがアルバイトの時給にも反映される
そんな仕組みになっていました。
そして、空いた時間は、
”タイピング早打ちソフト”がPCに入っていて
皆こぞってタイピングの練習をして
タイムアタックをしていたのです。
(そして早い人は崇められていた)
そして、私も空いた時間があれば、
タイピングソフトで練習をし、
その中で案件をこなし続けて、
だんだんと話をしながら事故記録シートも
入力できるようになり、
少しずつ上記の3つの技能、
1,無意識でのタッチタイピング
(かなり高速、かつミスがない)
2,事故で混乱しているお客様へ
マニュアルにしたがった冷静な対応
3,相づち、質問をしながら
事故記録シートを編集する
を身に付けていった、、、というお話。
■さて、長くなってしまいましたが
私のエピソードは”事故受付対応”における
「熟達化のプロセス」
となります。
*
ちなみに、「熟達化とは何か?」の定義を見ると
このように表現されています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「熟達化」= ある領域の仕事ができるようになっていくこと
・定義:ある領域での長期の経験に基づいて、
まとまりのある知識・技能を習得し、有能さを獲得していくプロセス
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
まあ、そのまんまですが、
「その分野で仕事ができるようになる」
ということですね。(本当にそのまんま汗)
■そして、そんな「熟達化」ですが、
以下の2つの熟達者に分けられる、
といわれています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<熟達者の2つのタイプ>
1)定型化熟達者(routine expert)
・決まった手続きを、早く、正確に、
自動的に行える人のこと
(例/レジ打ち、ラーメンのお湯切り、ガラス細工職人、
タッチタイピング等)
2)適応的熟達者(adaptive expert)
・変化しうる状況の中で、一定の手続きがない課題に対して、
柔軟に、確実に対処できる人のこと。
(例/為替のディーラー、営業、経営コンサルタントなど)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、職種によって
どんな人が必要とされるは変わります。
ただし、いずれの人も「熟達化」した
何らかのアクションがあるわけです。
■では、それは一体何なのか?
「認知心理学」によると、
次のような答えを出しています。
【ある領域に熟達にするには、長期にわたって
『注意を必要とする練習』をすること】
、、、である、と。
なーんだ、普通じゃん。
そりゃそうだよね、、、
と思いそうなシンプルなことですが、
物凄く大事なことです。
というのも、人はつい
”ある程度できると、(注意散漫に)
ただ繰り返すだけになる”
ということが起こり、
”熟達の領域になっていないのに
低いスキルレベルでこなす”
ことがあったりします。
本当は100点、120点を目指せるのに、
70点で赤点にならないレベルで粛々とやり続ける
、、、というように。
■これでは勿体ないのです。
私も自分自身、反省を込めて思います。
メルマガも毎日書いていますが、
ある程度書けるようになると、
惰性で書いてしまいそうになるときも
やっぱりあるのです。
でも、自分のメルマガの力量を
もっともっと伸ばそうとするなら、
それこそ『注意を必要とする練習』が
やっぱり必要になるのです。
いつもと同じやり方ではなく、
(戒めを込めていいますが)
・もっと早くクオリティが高いものを書こう
・もっと比喩、ボキャブラリーを拡げて
表現力を高めるように書こう
・誤字脱字を減らして、改行も気をつけて
より読みやすいものにしよう
など、考えられる要素は
いくらでもあるわけです。
でも、”惰性”でやってしまうと
回を重ねても、何のレベルアップもしないのです。
ピアノも最近練習していますが、やはり
”『注意を必要とする練習』をする”
ことがなければ、レベルアップをしないし、
むしろ変な癖がついて退化すらしてしまいます。
■そんな事を考えると、
冒頭の「コーチングの技術」もしかり、
コールセンターの「電話応対の技術」もしかり、
日々のメルマガの執筆も、ピアノの練習もしかり、
何かの分野において「熟達化」を目指し
着実に階段を登っていくためには、
【ある領域に熟達にするには、長期にわたって
『注意を必要とする練習』をすること】
という、このシンプルな認知心理学の黄金律を
頭に刻んでおきたいものだ、
そのように思った次第です。
、、、とピアノを何となく練習していて
「一向にうまくならんやんけ」と自分で疑問に思い、
反省をしてその事に気づいた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆様にとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
失敗の原因を素直に認識し、
「これは非常にいい体験だった。尊い教訓になった」
というところまで心を開く人は、後日進歩し成長する人だと思います。
松下幸之助(松下電器創業者/1894-1989)
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