「学習性無力感」に気をつけよう ~やる気を殺す上司の振る舞い~
(本日のお話 2059字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は3件のアポイント。
夜はキックボクシングのジムへ。
体のコリがほぐれました。
運動って大事ですね。
*
さて、本日のお話です。
「学習性無力感」という言葉があります。
(聞いたことがありますでしょうか)
今日はこの言葉を、
友人からの相談からふと思い出しましたので、
皆さまに学びと気づきを
ご共有させていただければと思います。
タイトルは
【「学習性無力感」に気をつけよう ~やる気を殺す上司の振る舞い~】
それでは、どうぞ。
■先日友人と話をしたとき。
こんな相談をされました。
その方曰く、
「何をやっても変わらなくて
やる気がでない(転職しようかな)」
とのことでした。
ちなみに、職場でも
立て続けに退職しているそう。
彼曰く
「理由は、部長のマネジメントスタイルだ」
とのこと。
■彼(友人)も、
やる気に溢れているタイプです。
やりたいことを提案したり
自分なりのアイデアを出す、攻めるタイプの人間。
しかし、そこの部長は
細かい部分に目がいく方で、
かつちょっと強面。
対立も恐れず
直球でモノを言うタイプです。
部下が何か意見を言うたびに、
倍くらい部長からツッコミが返ってくる。
ゆえに、友人を含め
いつからか部内でも意見がでなくなっている、
とのことでした。
■起こっている事象としては、
・毎回、何かアクションするたびに、
部長から倍くらいの指摘が入ってくる。
↓
・その指摘の1つ1つを見れば、
間違ってはいない。
↓
・しかしその指摘は、
全体の優先度からすると
あまり高いとは思えない。
↓
・自分から何か提案をしてアクションをすると、
ツッコミがくる。それに対応しないといけない。
↓
・段々と疲れてきた。
ゆえに「言われたことだけやろう」という空気になってお
そんな自分も好きになれない
というのがまとめです。
(職場内のこのケース、
最近、実によく出会います)
■さて、この状況、
どのように感じられますでしょうか?
「もっと部長が本人に任せて
主体性を大事にすべきだ」
という考えもあるでしょう。
一方、
「いやいや、当人が粘り強さを持って
取り組むべきだ」
という考えもあるでしょう。
あるいは、
「そもそもツッコミをもらわないような、
提案をすればいい。脇が甘い」
という見方もあるでしょう。
■しかしながら、
私の友人の職場のケースでは
「友人も皆も、部長の対応により
やる気がやくなっていった」
「どうにもならない感じがしていった」
という感覚が生まれていたことは
事実のようです。
これらの一連のことから
一つ推察されることが一つあります。
それが、
『学習性無力感』
(learned helplessness)
という状態です。
■「学習性無力感」とは、
アメリカの心理学会の会長であり、
ペンシルバニア大学教授のセリグマン、
そしてメイヤーが提唱した概念で、
”無気力は性格ではない。
人は学習して無気力になる”
という考え方です。
■こんな実験がありました。
犬に箱の中で
電気ショックを与える実験です。
その際に、犬は当然、
苦痛から逃れようと
あれやこれや試します。
箱の中を歩き回ったり、
そこにあるボタンらしきものを
押してみたり。
、、、しかし、何をしても
変わらない。ただひたすらに
電気ショックは定やってくる。
そうすると、犬はどうなるか。
「諦める → そして苦痛を受け入れる」
のです。
この
「何をやっても変わらない」
「この状況を(受け身的に)受け入れよう」
という状態を「学習性無力感」と呼びます。
■そして人間にも同じ条件が
当てはまることが知られています。
それが
”「自分の努力の結果」 上手く行かなかった”
のであれば、
また頑張れば変えられると思えます。
(この状態は「内的な統制」の状態にあると言います。
”変えられるものが内部にある”ので
学習の意欲も湧いてきます)
しかし、
「”この部長”には何を言っても、
どんな工夫をしても変わらない」
とか、
「”この職場”では何をしても
結局かわることはない」
と原因を外部にあると思うと、
(この状態を、「外的な統制」の状態にあると言います。
外部にあり、変えられないと感じていることですね)
段々と、
「学習性無力感」
が生まれていき、
主体的な行動がされなくなっていくのです。
■この内的な統制、外的な統制は、
人により違い、
どんな状況でも「内的な統制」に
目が向けられていればよいのですが、
そうとも限らない状況も
やはり訪れるわけです。
■とすると、今回の出来事を、
「部下が何度かアクションを試みたけど、
部長より全部叩き落されたことによって
”学習性無力感”が生まれた」
と問題の原因を仮定すると、
上司のやり方を変える必要がありそうです。
■確かに、確実な仕事をすること、
クオリティを大事にすること、
ルールを大切にすることなど、
重要なことでしょう。
ただ、人は機械ではなく、
”感情”で働くものです。
「ルールで決まっているから」、
で淡々と働ける人ばかりではないのです。
組織へのコミットが
強ければより一生懸命働くし、
そうでなければ社員が
手を抜いて働くことだってある。
人間、そういうものなのです。
■実際に、『組織行動学』の世界では
「マネジャーは「感情労働」である」
と言われるように
メンバーのモチベーションを意図して
高めることは重要な役割とされています。
■そんなことを考えたときに、
「やる気を殺す上司の振る舞い」
が職場で起こっていないか、
良かれと思ってツッコミ過ぎて、
学習性無力感を図らずも引き起こしていないか、、、
こんなことは今回の友人の職場の話から
考えてみる必要がある、
と思います。
良かれと思って、あえて厳しく、踏み潰すなかで
雑草魂の伸ばしてほしいと思っていたのに、
芽を伸ばそうとする意図ごと
踏みつけて挫いてしまった、、、
ということにならないよう、
注意が必要だと言えそうですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
理性をむき出しに表さないで、愛嬌というか、人情というか、
ともかくそうしたたぐいの衣装を着せて出すことが必要である。
本多静六(林学博士・造園家/1866-1952)
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