「イケてない7つのタイプの論文」から学ぶ、説得力のある伝え方
(本日のお話 3058字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は3件のアポイント。
ならびにコーチ仲間と
ランチ(もんじゃ焼き)でした。
*
さて、本日のお話です。
私事ですが、
大学院が始まり、生活や自分の思考にも
変化を感じています。
大きな変化は、
”学ぶ内容と深さ”かもしれません。
今日はその中で出会った一つの学びについて、
皆様にご共有させて頂ければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【「イケてない7つのタイプの論文」から学ぶ、説得力のある伝え方】
それでは、どうぞ。
■4月から大学院に入りました。
私は全くアカデミックな人間ではなく、
情熱70%:情報30%
くらいの比率で、
思い&勢いを芸風に
お仕事をしてきた傾向がございます。
(いいか悪いかはおいておいて)
■ただ、環境が変わると
人もやり方が変わるもの。
思い&勢いだけでは、そろそろ
通用しなくなってきているようです(汗)
大学院の仲間たちと話をしていると
皆、論理的で知的。
話す内容も、
データや論文を元に調べた
根拠ある話であったりして、
「ああ、自分って
かなり感覚的・部分的な情報で
これまで話をしていたんだなあ」
と反省させられている今日この頃。
■そして、それに関連して、
「読む本が変わった」
こともあります。
読みやすいキャッチーな本だけではなく
論文なども目を通すようになりました。
教授始め、
「せっかく大学院生なんだから
「入門」じゃないやつ読もうよ」
というお勧めがあり、
これまでは絶対に手に取ることが
なかったであろう本を読み始めています。
■例えば、最近買った本。
『質的データ分析法』とか、
『MーGTA 実践の理論化をめざす質的研究方法論』とか
『教師教育学 理論と実践をつなぐリアリスティック・アプローチ』
などなど。
タイトルを見ていても
全くワクワクしてこない(汗)
しかも高いし。
一冊3,000円(涙)
でも、
大事というから大事なんだろう!
食わず嫌いはいけない!
ということで購入し、
泣く泣く(色んな意味で)
読み始めました。
■ただ、面白いものです。
これらの本も、読んでいく中で
「確かに、その通りだなあ、、、」
「うーん、勉強になる」
と感じることがままあり、
刺激になっております。
*
例えば、先日読み始めた
『質的データ分析法―原理・方法・実践』
佐藤 郁哉(著)
なる本があります。
めちゃくちゃ教科書的タイトルで
読む前から心折られそうでしたが、
見てみると、意外と面白い。
研修などで
関連する人事方も少なくないと思うので、
少しだけご紹介します。
■まず、
「調査」なるものには
2種類あります。
1つが
・質的データ= 文字テキスト
(インタビュー/日記・日誌など)
もう1つが、
・量的データ= 数値
(サーベイデータ/企業の財務諸表など)
です。
研修のアンケートでも
「フリーコメント(自由に答えて下さい)」=質的データ
「内容は満足でしたか?(1~5で回答)」=量的データ
という違いですね。
■当たり前ですが、物事は必ずしも
「数字」で図れるものばかりではない。
それは、フリーコメントに書かれた
「文字情報」から見えてくることも
当然ながらあります。
例えば、「満足じゃない(評価2)」と
書かれていても、
その背景にある”意味”は
一つに特定できるものではありません。
数字の奥にある
「文字にふくまれた意味」にこそ
価値があることも、ままあるわけです。
■では、その
”「文字情報」をどのように読み解くのか”
を考える際に、
・『質的データ分析法』なるものが役に立つ、
・じゃあ、どうやったらいいのさ?
という話が語られているのでした。
■そしてこの本に、
「これは役に立つな」と感じる情報がありました。
ちなみに著者は、
多くの論文や書評などの詳しく読み、
そして評価する立場であった大学教授。
そんな著者が、
<イケてない7つのタイプの論文の特徴はなにか?>
について言及していました。
そしてその内容は、
普段の我々の仕事にも大いに役立つと感じたのでした。
例えば、
・説得力のある資料作り
・バランスの良い視点を持つ
・隙のない意見の主張
などに効果がありそうです。
■ということで以下、
簡単にまとめてみました。
※私(紀藤)の言葉で翻訳しているので
詳しくは原著をお読みください
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<イケてない7つのタイプの論文や著作>
1,「あなたの感想ですよね?」(=読書感想文タイプ)
自分の印象や感想が中心である。
2,「都合がいいところだけ引用してません?」(=ご都合主義引用型)
自分の主張に当てはまる証言だけ断片的に集めている。
3,「流行りのキーワードばかり使ってません?」(=キーワード偏重型)
よく言われる言葉を並べるけど、薄い内容である。
4,「モデル図書いてるけど、それホント?」(=要因関連図型)
わかりやすく全体像を示すが、その繋がりに説得力がない。
5、「丁寧なのはいいんだけどさ、、、要はなに?」(=ディティール偏重型)
詳しく言い過ぎて、全体像がわかりづらい。
6,「あなたの解説が聞きたいんだけど、、、」(=引用過多型)
「生」の引用が多すぎて、わかりづらい。
それを踏まえたあなたの解説が聞きたいんですけど。。。
7,「ちょっとアピールしすぎじゃないっすか?」(=自己主張型)
著者の体験談や主観的体験が前に出過ぎている。
研究対象の姿が見えてこない。
※参考『質的データ分析法―原理・方法・実践』
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■上記を参考に、
我々の日常生活に当てはめてみると
「1、読書感想文型」であれば、
ワイドショーの芸能人コメントは
こういうの多い気がしますし
「2,ご都合主義引用型」であれば
メディアや雑誌(大衆向け週刊誌)は
そんな視点で編集されていることも
少なくないと感じます。
あるいは、
「3,キーワード偏重型」であれば、
とにかく”関係性の質”が大事だ!”
”エンゲージメントこそ重要だ!”の一点張りで、
前後の文脈が考慮されていない、とか。
このメルマガを
自戒を込めて振り返ってみると
「7,自己主張型」
で私の体験によっている傾向が
強い感じがしますね(苦笑)
■もちろん、著書においては、
「もし正式な論文として発表をするのであれば
”最終完成物”としては抑えたほうがよい」
といっています。
ゆえに
別に全部抑えないとダメ、
という話ではありません。
ただ、
”偏っておらず、バランスがあり
説得力がある主張”
には上記の7つの項目は
含まれているように感じることも事実。
■ゆえに、上記の”参照枠(視点)”を持つことで
「自分が発信されている
その情報を信頼してよいか?」
という
”情報の信頼性のフィルター”
の観点が自らの中に生まれますし、
あるいは自分自身で、
記述でなにかを書くときでも、
あるいは口述で主張するときでも
「ああ、自分の話には、
この視点がまだ足りていないな」
と、
”論理的な発信のフィルター”
を持ち、自らを冷静に見つめる、
一つの指針にもなるかと思います。
■一冊の本、
特に専門書というのは
とっつきづらくて、
読みづらいイメージもあります。
でも、しかと読んでみると、
”専門家である当人が全身全霊をかけて
己の中にある知見・経験を詰め込んだもの”
であるのだ、と感じます。
時間はかかるし、
タイトルも面白くないけれど(苦笑)
可能な範囲でしっかりじっくり
対話をするように読み進めることで
学ぶことも多いのだろうな、
そんなことも思った次第です。
学ぶこと、まだまだたくさんあるなと思う
今日この頃です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
独創力とは、思慮深い模倣以外の何ものでもない。
ヴォルテール(フランスの作家/1694-1778)
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