水面下の世界に向き合うことの難しさよ
(本日のお話 2999字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は1件のアポイント。
ならびに組織開発のプロジェクト2件でした。
また夜からは大学院の打ち合わせなど。
加えて、先日ご案内いたしました、
<【大学院おすそわけ勉強会】
人材開発、組織開発のプロになるための名著を学ぼう!の会>
https://forms.gle/UppRaN99yyVjr9an6
ですが、現在30名を超える方に
お申し込み頂いております。
私も身が引き締まる思いです。
同時に、書籍を読まざるを
得なくなってしまいましたので、
時間を確保しつつ、気合を入れて
読書(勉強会の準備)を進めてまいりたいと思います。
(お申し込み頂いた皆さま、
追って詳細ご案内をいたしますので、
少々お待ちくださいませ)
引き続きよろしくお願いいたします!
*
さて、本日のお話です。
最近、組織開発に携わらせていただく機会が
増えております。
そのプロセス中で、組織の複雑さ、
すなわち人の考え方の多様さに触れ、
非常に多くの事を考えさせられております。
今日は組織開発のプロセスを通じて
率直に感じていることを皆様に
ご共有させていただきたいと思います。
タイトルは
【水面下の世界に向き合うことの難しさよ】
それでは、どうぞ。
■この半年の間に、
複数の組織の方について、
合計100名以上の方々に
インタビューをさせていただきました。
そして、感じることが
「群盲象を評す」
という寓話です。
※参考バックナンバー『群盲象を評す』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/796/
平たく言えば、
「1つのものを見ているようで別のものを見ている。
あるいは捉え方が違う」
という現象です。
■さて、「組織開発」なる、
”人(個人)”じゃなく
”組織(全体)”を対象にしたアプローチは
・見える化
↓
・ガチ対話
↓
・未来づくり
の3ステップが
セオリーとされています。
(『組織開発の探求』中村和彦、中原淳/著 より)
■そして、その
プロセスの中で、
インタビュー等で定量・定性調査など行い、
それを開示していく
「見える化
なるものを行いますが、
インタビューの結果を皆が見ると
実に様々な意見が出てくるものです。
■それは
一般社員の方が見える景色と、
中間管理職の方が見える景色と、
経営陣が見える景色がそれぞれ違っていたり。
ひいて言えば、
こういった領域に長らく関わる
組織開発のコーチたち、
つまり、私(紀藤)と
パートナーのコーチの間でも
やはり見える景色、
解釈の仕方が違っているのです。
■そういったプロセスを通じて、
”誰もがそれぞれの捉え方
それぞれの正しさを持っている”
その背景には、
・それぞれの立場・目的
・それぞれの価値観、こだわり
などが絡み合っており、
こんがらがったあやとりのようです。
まさに、個人の中にある
「複雑な世界」です。
それが100人いるなら、
絡まったあやとり×100ですから、
それはもう複雑極まりない。
■では、その複雑な世界を理解するため、
何が必要かといったら
”語られていない複雑な世界を
一つずつ解きほぐしていく”
というプロセスが必要です。
それがすなわち「対話」です。
そんな風に言うと、
何ら芸のない一言みたいですが、
重要なポイントは、その
”対話の深さ”なのです。
人は実に多様な側面を持っている。
その人が持っている責任、役割についても
周りの人はごく一部しか理解していない。
加えて、
その人が歩んできたこれまでの道のり、
そこから構築されてきたこだわり・価値観、
それらを他者が知る機会は
実に少ないものかと思います。
さらに言えば、
その人の考え、感じていること、
弱い部分や繊細な部分などは
特に仕事や公式の関係で
語り合わられることは、
殆どないのではないかと思います。
■人は合理的に判断するだけではなく
その人の”内面”が、
行動につながっているわけです。
だからこそ、繰り返しになりますが、
表面の事象ではなく、
深い部分に関して対話をすること、
すなわち、
相手のことを深く知り、
何を感じ、どんな価値観を持ち、
何を恐れているのかも含め、
お互いに理解をすることが、
”急がば回れ”
になるのです。
■それは一見、
合理的な選択ではありません。
だって、問題があるなら、
そこについて解決先を話したほうが
ずっと早そうだから。
しかし、表面の問題は
必ず深い部分につながっているものです。
だからこそ、遠回りなようですが
”対話”
を通じてお互いの世界観を知り合うことで
ようやく同じものを見ることができ、
結果、合意形成も意志決定も、
早くになっていくという事が起こる。
■これを組織開発で言えば
水面下の
・コミュニケーションのパターン
・組織の風土や文化
・リーダーシップのパターン
・目標の共有
・暗黙の決まり事
・メンバーの状態(動機、感情、安心安全)
・お互いの関係性
が水面上の「問題」に影響を与えている、
あるいは成果に繋がっている、
ということがあるのです。
■ただ実に難しいのか
この水面下の部分というのは
深く絡み合っているため、
明確に要素分解して、
説明ができるわけではない、
ということ。
なぜならば、
それぞれどこを問題と見ているか
組織のメンバーでさえ
違っていることが多いからです。
仮に外部のコンサルが、
色々分析した結果、
「ここが問題だ」と指摘しても、
それすら一つの見方に過ぎないわけです。
当事者が「これこそが問題だ」と思わなければ
外野がいくらアツく語っても、
その問題に当事者として目を向けよう
取り組もうという気持ちにはなりません。
■だからこそ、
目線合わせをするためには
「対話」
が必要なのです。
何が問題か?すらも
共に探索し、そのプロセスで
お互いの関係性が見えたり、
あるいは目標意識のズレが見えたり、
それぞれの人の主体性が見えたり、
、、、ということで
少しずつ水面下の部分が
みえるようになっていくことが
”染み入る”ように、
水面上の問題に影響を与えていくのです。
そうした進行形の対話のプロセスこそが
「対話型組織開発」
であり、
繰り返しますが
「対話」を通じた取り組みの中で
見えてくる世界があるのです。
■同時に、
それは明確に
「フレームワーク」のようなに
定義されたものではなく
「対話」という、言葉で作り上げる
抽象度が高いプロセスであるため、
なんとも雲をつかむような話がして
その最中に手ごたえがない…
と言うことも1つの事実。
このメルマガも、
「何を言っとるんだ、
意味がわからん」
と思われる方も、
きっといるのではないか、
、、、と思っています。
■しかし、やっぱり
「対話」
こそが組織を作る。
この事を改めて、
声高にお伝えしたい、
と感じております。
大切だけども、
その大切さを表現しきれない。
体験したことがない人に対して、
価値を言葉にする、明示することに
まだまだ自分自身の力量不足を感じますが、
改めて、
大切なことを、
それがなぜ大切なのか
理論と物語の両面から、
明確に伝えられるよう精進していきたい、
、、、そんなことを感じた次第です。
■ということで、本日のまとめ。
・インタビューを通じて
同じ事象でも人により捉え方が全く違う。
・人の行動は”内面”が影響している。
・しかし、相手の”内面”に触れるような
深い対話がなされることはほぼない。
・我々が表面で見えている問題に目がいくが、
それは水面下の見えない部分が影響を与えている
・それは複雑に絡み合ったあやとりみたいなもの。
水面下について「対話」を通じて語り合うプロセスで
問題の”隠された真因”が明らかになる
・だからこそ「対話」が重要である。
・またこのようなことは抽象度が高く
言葉に表現することは難しいため、
体験しないと難しいことでもある
というお話でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
===========================
<本日の名言>
人はその好むところをもって、真実とするなり。
デモステネス(古代ギリシャの弁論家/B.C384-322)
===========================