「全員納得いくまで話し合う」は何よりも大切なのか
(本日のお話 2886字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は6件のアポイント。
夜は大学院の打ち合わせと
研修プログラムの開発ミーティング。
深夜まで及びましたが、
とても楽しい時間でした。
こういう事ができることを
ありがたく噛み締めつつ、
前に進んでいきたいと思います。
*
さて、本日の話です。
昨日夜、大学院の
プロジェクトチームの仲間と
「ここまでのチームのあり方について」
を振り返っていました。
その対話の中で改めて気づくこと
考えさせられることがあり、
同時に反省もしたのでした。
今日はそんな対話からの学びと気づきを
皆様にご共有させていただきたいと思います。
タイトルは
【「全員が納得いくまで話し合う」は何よりも大切なのか】
それでは、どうぞ。
■「関係の質が大事」。
人事界隈で流行っている言葉、「関係の質」。
この言葉は、
ハーバード大学のダニエルキム博士が
「組織の成功循環モデル」
という理論において提唱しました。
内容は、乱暴にいうと
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「関係の質」が「思考の質」に影響与え、
「思考の質」が「行動の質」に影響与え
「行動の質」が「結果の質」に影響与える。
ゆえに”より良い結果”を求めるには
「関係の質」が大事
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
というお話です。
非常にわかりやすいです。
ゆえにチームビルディングの大切さを伝える上で
この業界ではよく引用されています。
(…が、実際は研究結果としては証明されておらず、
仮説レベルの理論であるそうです)
■この話、とはいえ確かに大事だと思うのです。
ギクシャクして、心理的に不安で、
言いたいことも言えない職場なら、
短期的には強引に結果を出せても、
望ましい結果を長期継続的に
出し続けるのは、やはり難しそうです。
、、、ですが、
この”「関係の質だけ」が
一人歩きすると良いことばかりではない。。。
そこには副作用もある。
そんなことを考えさせられたのが、
昨日の大学院の仲間との振り返りでした。
■以下、私の個人的感想、
そして振り返りです。
*
これまで約2カ月間、大学院に入ってから
高校生のリーダーシップを考えるプロジェクトを通じて、
週2~3回のペースで夜や週末の朝、
仲間とたくさん対話を重ねてきました。
お互い人づくり、組織づくりに関わる大学院生。
当然ながら仲間はチーム作りについて
興味もあり、勉強しています。
かつ、あたたかくて、能力も高くて
自分の軸も持っている素晴らしい人ばかり。
実に尊敬できます。
そんな仲間と振り返りを通じて、
改めて考えてみたのでした。
それは、
「チームのあり方がどうだったのだろうか」
「チームで生み出した成果は
どのようなものだったのだろうか」
「そのプロセスでどんな課題が起こっていたのか」
、、、など。
その中で、もしかすると
大切なことを見落としていたのかも、
と感じたのでした。
■チームビルディングは、大事。
それは私もチームも
同じように考えていました。
そしてそれは決して悪いことではない。
それゆえに、出来たことも
たくさん、たくさんなりました。
実際
”お互いを尊重し、
理解しようとしていた”
し、
”お互いの考え方を尊重し、
全員納得いくまで話し合っていた”
し、
”お互いの価値観、考え方、動機、
今の気持ち、なども語り合っていた”
のです。
だから、チームビルディングとしては
非常に強固にできていた、
そして相手のことを尊重し、尊敬し
理解できていた、信頼できていた
のです。
■しかしながら、一方、
お互いのことを尊重するゆえ、
お互いの状況を慮ることを重視するがゆえ、
全員が納得するために、
話し合いをしようとするゆえの
「副作用」
もあったのかも、、、
と思ったのでした。
それは”優先順位”です。
1,「目標に対する意識」
(いつまで、どのクオリティのものを出すのか)
2,「限られた時間で終わらせるという意識」
(この1時間でここまでやる、そのためにこの準備をして臨む)
このことが、
”全員が納得するまで話し合う”に比べて、
優先順位が低くなっていたのでは、
と思ったのでした。
■目標は大切。言うまでもない。
ゆえに、なんとなくは握っていた。
しかし
「いつまでに」
「どのクオリティのもの」
「この限られた時間で必ず」
という意識は
「全員の関係性を大事に」
「全員が納得いくまで話をする」
に比べると、低かった。
これまでを振り返り、
そう思わざるを得ませんでした。
■そして、ふと机に置かれている
立教大学教授の中原淳先生の
『チームワーキング』
という著書を手に取ると
ある1ページに、
こんなことが書いてありました。
(以下引用)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チームメンバー同士が仲良くする事は
決して悪いことではありません。
ではなぜ行き過ぎた「仲良し信奉」が
相互フィードバックを妨げてしまうのでしょうか。
それは「仲良し信奉」には、
「人間関係の悪化」を恐れるあまり、
「仲良くすること」が目的化すると言う作用があるからです。
チームワーク調査では、
成果の低いチームは成果が高いチームに比べて、
「目標を握り合うこと」や
「情報共有を密にすること」よりも、
「良い人間関係を保つこと」を
より重視するという結果が出ています。
※中原淳、田中聡(2021)『ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方 チームワーキング』
日本能率協会マネジメントセンター、P193
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
、、、とのこと。
うわー、当てはまってる。
目標を握り合うより、
良い人間関係・全員で納得するまで
話し合いをする
をしてる。
そう思って、ドキリとしたのでした。
■「関係性」は大切。
「全員が納得するまで話し合う」も、
すごく大事。
でもでも、しかし、
その仲間たちも、
「ある目標達成するために集まっている」
という事実を、忘れてはいけない、
と思ったのです。
「目標に握り合う」ことを
より上位に置いた上で、
「関係を強固に持つ」という順番を、
忘れてはいけない、
そんなことを私は感じました。
■チームメンバー皆が
同じように思っていたかはわかりません。
ただ私は自分自身の視点から振り返り、
反省を含め、思ったのでした。
そして、
これらの事は、上記の引用の本を含めて
これまでも見てきたし、自分で語ってもきたけれども、
「結局、実際にできてはいなかった」
とことに、はっとさせられました。
”ゆえに理論として知っていることと、
実際にそれをできるか、の間には
大きな乖離がある”
と気付かされました。
■そして、
「目標を握る」からといって
「関係性はないがしろでいい」わけでもなく、
”チームをワークさせるためのアクションを、
進行形で模索し、アップデートし続ける”
ことの大切さにも気づきました。
どちらかだけなら簡単。
しかしAもBもどちらも大切にしながら
バランスをすることは、とても難しい。
でもそれを考えることが
チームで動くということ。
そんなことを振り返り思うと同時に、
改めて自分とチームのあり方を見直したい、
そう思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
長い議論も短い議論も
めざす目的は同じだということを、
よく理解すべきである。
エピクロス(古代ギリシャの哲学者/BC341-270)
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