今週の一冊(番外編)『キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう』
(本日のお話 3066字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は3件のアポイント。
ならびに夕方から大学院にて
「組織行動論」の授業でした。
*
さて、本日のお話です。
『キャリア・アンカー』という、
キャリアに関する診断ツールがあります。
最近、このキャリア・アンカーを、
自分自身でもやってみて、
様々な気づきがありました。
ちなみに、気付きのキーワードは、
「だって興味がないんだもの」です。
そして、ちょっと楽になりました。
今日はその学びと気づきを
皆様に共有させていただきたいと思います。
それでは、早速まいりましょう!
タイトルは、
【 今週の一冊(番外編)『キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう』 】
それでは、どうぞ。
■『キャリア・アンカー』。
マサチューセッツ工科大学の
エドガーシャイン教授が開発し、
様々な企業のキャリア研修でも活用されている、
キャリアこの界隈では比較的有名なツールです。
※参考文献:『キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう』
エドガー・H. シャイン (著), 金井 寿宏 (翻訳)
■このキャリア・アンカーの目的は、
「自分がキャリアにおいて
これだけはゆずれないもの」
を見つけることです。
そのために、
1)キャリアアセスメント(40の質問項目)
2)キャリアヒストリー分析(相互インタビュー)
を行い、自分の内側を
見つめていきます。
そして、
「自分の内側、根底にあって
環境が変わっても引き戻される
自分らしいキャリアの軸」
のようなもの、
すなわち、船における
「錨(アンカー)」のごときものを
探していくのです。
■例えば、
・意義がある仕事けれども
「自分の能力を発揮できていない」と感じている。
・会社で評価をされているけれども、
「自分が楽しい」と感じることができない。
・周りが喜んでいるけれども、
「自分が大事だと思うこと」を大事にできていない。
、、、なんて状態だったとしたら。
もしかすると「自分らしく」なく
”自分がどうしても譲りたくないもの”
を気づかないうちに、
ないがしろにしてるの(かも)、
知れないわけです。
それは、おそらく、
自分のキャリアにとって
望ましくないでしょう。
自分が大事なことを知らなければ
大事にすることもできない。
だからこそ、
「”自分が譲れないもの”を
自分自身が自覚する」
こと大事になるわけです。
■さて、
”キャリアにおいて譲れないもの”を見つける
キャリア・アンカーには
どのような種類があるのでしょうか?
エドガーシャイン博士の研究結果と
数百人のインタビューを検討すると、
キャリア・アンカーには
8つのカテゴリーがあることがわかりました。
*
それが以下の8つです。
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◯専門、職能別能力
専門家(エキスパート)であることを自覚して満足感を覚える。
自分の技能を常に高いレベルに向上し続けたい。
◯経営管理能力
組織の中で高い地位につき、部門を超えて人々の力を結合し、
責任を持つことができる機会を求める。
結果全体に責任を持ち、重責を担いたい。
◯自律・独立
自分の仕事を自分なりに定義する機会を求める。
自由でいたい、キャリア上の事は自分の好きなようにやりたい。
◯保障・安定
雇用の安定、職務や組織で勤続が大事。
キャリアが安定している感覚得られ、安心していたい。
◯起業家的創造性
自分の意欲と、自分の能力だけに頼って、
新しい組織やサービスを創造する機会がほしい。
財務的成功が大事。自分の努力した結果であると世に示したい。
◯奉仕・社会貢献
自分の中心的な価値観を実現したい。
世界をより良くすること、誰かを助ける事が大切。
何らかの形で世の中をもっと良くしたい。
◯純粋挑戦(ピュアチャレンジ)
何事にも打ち勝つことができると自覚していることが大事。
新規性、多様性、困難が目的。困難な障害を乗り越えたい。
◯生活様式(ライフスタイル)
自分個人のニーズ、家族のニーズ、キャリアのバランスを取りたい。
柔軟なキャリア、生活様式全体の調和・統合をさせたい。
※参考:『キャリア・アンカー』より引用し、著者が編集
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以上の8つのカテゴリー。
■もちろん、上記の8つの要素は
それぞれ、誰もが持っています。
ただし、
「どうしても自分はこれだけは譲れない」
という、際立って重要な領域を
誰しも持っている。
それが自分自身の
「キャリア・アンカー」
となるわけです。
■長い仕事生活において、
”自分のゆずれないキャリア・アンカー”
の領域への関心が、選択や決定など
「キャリア」の軸になっていく。
たとえ転職や異動などで、
状況が変わっていても
「根底にある”ゆずれない何か(キャリア・アンカー)”に
引き戻されていく」
という感覚を持つと言われます。
自分の深い部分にある
「錨(アンカー)」は一貫して
変わらずに自分の中にある。
■繰り返しになりますが、
自分の内側の変わらない
”ゆずれないもの”をないがしろにして
周りに対応するだけになっていると、
「自分らしくない」
と感じ、自分自身のキャリアの成功も
そして充実感も感じづらくなります。
だからこそ、
「キャリア・アンカーに
自覚的であること」
が大事なのです。
■ここからは私自身のお話になりますが、
キャリア・アンカーを受けて、
綿自身その結果に納得するとともに、
少し楽になった気がしました。
心の中でこった声が
「だって興味がないのだもの」
という声とともに、
”比較からの解放”を感じました。
(まだありますけども)
■自分の回りには
まさしく「起業家」と呼ばれる
素晴らしく尊敬できる先輩達がいます。
世に何かしらのインパクトをもたらすために
リスクを負い、普段の努力と挑戦により
世に影響を与えていこうとする新規事業を立ち上げる。
よく日経新聞でもニュースでも
その名前を目にする友人・知人もいます。
まさしく「起業」。
かっこいい。
そして、ちょっと憧れます。
、、、でもなんだか
自分はそうはなれないし、
なりたいとも思わない気もしている。。。
そんな自分に気づいていました。
■”会社を起こす(設立する)”
という意味では
「起業」も「独立」も
一緒くたにされがちですが、
両者は裏側にあるものが違います。
上記のキャリア・アンカーでいえば、
◯起業家的創造性
自分の意欲と、自分の能力だけに頼って、
新しい組織やサービスを創造する機会がほしい。
財務的成功が大事。自分の努力した結果であると世に示したい。
のが「起業」であり、
世にいうスタートアップのイメージに
近いかもしれません。
一方、
◯自律・独立
自分の仕事を自分なりに定義する機会を求める。
自由でいたい、キャリア上の事は自分の好きなようにやりたい。
が「独立」であり、
これはどちらかというと
小舟型で自分の道を追求する小規模の経営に
近いものがあるように思います。
■起業をした後、
「会社を大きくしないの?」
といわれたことがありました。
その意図はわかりませんが、
”今のままの小舟的な経営で
本当によいのか?”
という声なき声にも思えました。
確かに、その思いも
ないことはないのですが、
しかし、改めてこの
キャリア・アンカーを見つめてみると
自分自身(紀藤)のアンカーは
「起業家的創造性」よりも、
1位 自律・独立
2位 専門・職能別能力
となっていました。
そしてその結果は
至極納得できるものでした。
「ああ、自分は”自由でいたい”のだ」
「自分の人と組織に関する専門性を尖らせた
プロフェッショナルになりたいのだ」
そんな発見と同時に、
「(起業的創造性の項目に)
だって興味ないんだもの、仕方ない」
と思うようになりました。
■”自分のゆずれないもの”を知ると、
自分のこだわりを知り、
自分の道を歩いていけばよい、
と思えます。
そしてその上で誰かに貢献し、
自分と周りの幸福の目指していけばいい、
と感じられるようになります。
それは自分の幸福度にとっては
少なからぬ影響がありました。
■キャリアとは長い航海のようなもの。
その中で気持ちよく追い風で
前に進むときもあれば、
海が荒れることもあるでしょう。
見知らぬ港で落ち着かないときもあるかもしれません。
その中でキャリア・アンカーを知ること、
「自分のゆずれないものを知る」ことは
どんな大時化の海でも、
ぶれない「錨」を持つごときもの。
自分をブラさずにキャリアを歩み続ける
一つのきっかけになるのではないかと思います。
■ということでぜひ、
皆様ご興味があればやってみてください。
おすすめは30代くらいだそう。
40代のミドル層で自分のことを見直すのも
お勧めである、ともいわれています。
ツールもあるので、
ご家族や、友人とやっても面白いですよ。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊(番外編)>
『キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう』
エドガー・H. シャイン (著), 金井 寿宏 (翻訳)
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