今週の一冊『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』
(本日のお話 3659字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、
朝から5キロのランニング。
また、大学院の授業でした。
また夕方からは、来週行う
高校生向けのワークショップの
デモ体験会の実施でした。
3ヶ月話をしてきた内容が
ようやく来週お披露目になります。
最後まで楽しんでいきたいと思います!
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
========================
『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』
田中研之輔(著)
========================
です。
■プロティアン・キャリア。
これは、米ボストン大学経営大学院で
組織行動学や心理学の教鞭を執るダグラス・ホール教授が、
1976年に提唱したキャリアの概念です。
ちなみに、この言葉の語源は、
ギリシャ神話に出てくる、
”思いのままに姿を変える神プロテウス”
が元になっているとのこと。
■神プロテウスは、
火にもなり、水にもなり、
獣にもなり、
環境の変化に応じて
自由自在に姿を変えるそう。
そんな神プロテウスのように、
こと「キャリア」においても、
”変化に応じて、自分の意思で、
自由に姿を変えることができる変幻自在なキャリア
を『プロティアン・キャリア』”
と読んだのが元だそう。
■さて、キャリアといえば、
私(紀藤)も仕事柄、
研修や勉強会、コーチングなどで
様々な年代の方と
お話をする機会があります。
例えば、
30代の半ばくらいで優秀な方などは、
組織の中での役割も大きく、
特に今後のキャリアについて明るく
重要な責任に邁進しています。
それらの大企業の中で
着実にキャリアを重ねる人々は、
「将来の不安より、
今全力に走っている感」
が漂ってきます。
同時に同じ年代でも
所属する組織によっては
自分の力を持て余しており、
どこかで「もっと良い機会はないか」と
様子を伺っている人もいます。
いずれにせよ、30代で
少しアンテナが立っている人は、
必ずしも会社がこの先ずっと面倒を
見てくれるわけではない…
というのは共通認識のよう。
ゆえに、
・会社というフィールドを最大限
活用して自分を伸ばす、
・自主的にスキルを磨く
・(時に)副業を行う、
という人もかなり
増えてきているように思います。
■そして、少し年代が上がって
40代半ばくらいの方。
この年代の方とお話をすると
口には出さないものの、
”自分がこれ以上のキャリアアップができるか、
あるいはできないかも予測がついてくる”
といいます。
同時に、”ミドルの憂鬱”とも言われる、
「キャリアプラトー」
(=組織内で停滞を感じ、
働くモチベーションが低くなる状態)
に差し掛かってくると言われるように、
また違った意味で力を持て余す方も、
いらっしゃるように見受けられます。
同時に、
年齢的に転職が少し考えづらいと、
果たして組織でどう自分の力を使うのか…
と、モチベーションの低下に繋がっている方も
いらっしゃるようす。
もちろん、これも人によります。
■もっと年代が進むと、
更に、人によってわかれます。
50代を過ぎて、
60代に差し掛かろうとされている方。
姿勢により、全然違います。
エネルギッシュな方は、
”60代から後、どのように
自らを活躍させ続けるか”
を考えています。
このような方は、
休日を含めた自主的な社外勉強会に
参加するなどして、
コーチングや
キャリアカウンセラーの資格等を取ったり、
社外のコミュニティのつながりも育て
数年後の種まきをしつつ
現役の仕事にも邁進されている、
という方も見受けられます。
一方、組織の中で消化試合のように、
今ある役割を最低限こなして、、、
という方も確かに存在してるようす。。。
(そして扱いづらい年上部下、
と周りに言われてしまったり汗)
繰り返しますが、人によります。
■いずれにせよ、
人が働いていく以上
「キャリア」に関する課題は、
どの年代でもつきまとう話のようです。
そして、キャリアにおける
モヤモヤの主な原因とは、
・キャリアを組織に預けてしまっている
・キャリアを昇進などの結果だけに依存している
・キャリアを自分で変えることができない
という、
”キャリアについて
自分がどうにもできない感”
が一つのあるようです。
そしてこれらの
”組織に依存したり、
外的キャリア(昇格昇進)などに
大きく依存していた”
のが「これまでのキャリア論」と
著者が呼ぶものだったようです。
■それに対して、今回の
『プロティアン・キャリア論』。
これは、上記であげた話と
逆になります。
つまり、
・「キャリアは組織に預けるものではなく、
自分で育て、形成する」
・「キャリアは昇進などの結果ではなく、
生涯を通じた全過程である」
・「キャリアは変化に応じて、
自分で変えることができる」
という視点にたったキャリア論。
それが『プロティアン・キャリア』として
個人の寿命のほうが組織の寿命よりも
長くなりつつある現代に置いて、
再評価されるべきときに来ている、
と語るのでした。
■、、、ここまでは
まあ、わかる、として。
その中で疑問が出てきます。
それは
「どうやってキャリアを育てるのか?」
ということです。
ちなみに少し横道にそれますが、
「個人事業主が増えた」といっても、
法人経営者は170万人
個人事業主は240万人で、
合計約410万人となり、
「人口の3%程度が
組織に属さず自分でやっている人」
であるそう。
正規雇用・非正規雇用関わらず、
97%の人は現場では、何かしらの組織に所属し、
そしてキャリアを育てている、
というのが現状のようです。
※参考:日本の企業数など
https://www.syachou-blog.com/others/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%95%B0%E3%81%AA%E3%81%A9/
組織に属しているけれど、
その現状の中でどうすれば、
自分が納得するキャリアを
・組織に預けずに
・生涯を通じて
・自分で変える
ことができるのだろうか?
これは気になるところではないかと。
■この疑問に対して、
今回の『プロティアン・キャリア』では、
法政大学の教授であり、
キャリア論や組織分析論の専門家である
著者の田中研之輔氏が、
多くの研究や論文を引用しつつも、
非常に読みやすい切り口で
”変幻自在なキャリアの必要性と作り方”
を語ります。
■ポイントとしては、
プロティアン・キャリアは、
・昇格昇進以上に、
心理的な成功を得ることが大事
・自分自身の「無形資産」を見直すこと。
無形資産が有形資産に変わる
・「キャリア資本」は目減りしない。
まず、キャリア資本構築することが重要。
という文脈で語ります。
その上で、
”プロティアン・キャリアに必要な
3つの「キャリア資本」”
として、
1)「ビジネス資本」:知識やスキル他
2)「社会関係資本」:人の繋がり・ネットワークの集積
3)「経済資本」:金銭・財産など
などを挙げて、
それらをどのように高めていくのか、
を具体的に例示をしていきます。
■結論から言うと、
一つ一つの
「キャリア資本」の高め方は、
実に、地味で地道です。
例えば、「ビジネス資本」で言えば
・日頃のルーティンを見直すこと
・歴史書籍を読むこと
・専門書をレベル順に読む
とか、
あるいは「社会関係資本」で言えば
・異業種での交流を行うこと
・自分と異なる世界にいくこと
とか、
・自分自身のキャリアの過去・現在・未来を
分析して、自己認識をする
など。
ある意味、どこかで聞いたことがある
話ではないでしょうか。
■しかし、結局、
キャリア論の研究からも、
その道の大学教授も、
言い換えれば、
「王道。それしかない」
と言っているとも思えます。
3年後、5年後を見越して、
着実に無形資産を積み上げるのみ、
この大切さを改めて
突きつけられているように思います。
■この本を読むと、
”自分自身がどれくらいの
キャリア資本があるだろうか?”
とか、
”今のペースはどれくらい
キャリア資本を積み立てられているのか?”
を考えさせられます。
おそらく、自分の将来を
不安に感じてしまう理由とは、
「自分の将来の見通しを明るくするための
”行動”が何かわからない」
こと、そして
「自分の未来に向けて、
種まきの”行動”をできていない」
と無意識に自覚していることが
挙げられるのでは…
と私は感じます。
■これまでのように
全体として成長するわけではなく、
よって大きな流れにのって
自分が引き上げられる時代ではなくなります。
(というかすでにそうなっている)
ゆえに、ますます
一人ひとりの力や、
一人ひとりの成功の定義が
問われる時代になってくるはず。
そんな中、
「いつでも変わり続けられる自分」
でいるための指針として、
・どんな視点を持てばよいのか、
・どんな計画をすればよいのか、
・そして、何をすればよいのか、
のヒントを与えてくれる
貴重な情報になるかと思います。
長く活躍し、仕事でも
心理的な成功を収め続けたい人には、
特にオススメの一冊です。
==========================
<今週の一冊>
『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』
田中研之輔(著)
==========================