リーダーシップの100年の歴史(中編) ~「フィードラー理論」って何だ?~
(本日のお話 3107字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は7件の個別コーチングの実施。
また、1件のアポイント。
夜は大学院の打ち合わせでした。
*
さて本日のお話です。
先日「リーダーシップの100年の歴史」なる
テーマでお話をお届けいたしました。
1900年頃から研究されてきた
「リーダーシップ」というテーマ。
リーダーシップは
個人の特徴(=特性)に基づく『特性理論』、
リーダーシップは、
行動によって発揮されるという『行動理論』、
そんな2つの歴史をたどってきた、
というお話でした。
しかし、1970年代に入り、
「特性や行動だけでは、
業績との一貫した結果が得られなかった」
と結論づけられ、リーダーシップ研究は
更に進んでいきました。
そして、次に到達したのが
”リーダーや組織を取り巻く「状況」”に
着目するようになったのです。
そうして生まれたのが
”リーダーシップの「条件適合理論」”
です。
、、、ここまでが前回のお話です。
詳しくはこちらからどうぞ↓↓
【リーダーシップの100年の歴史(前編)】
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3892119/
*
本日はその続き、
「条件適合理論」について、
皆様に学びを
ご共有させていただければと思います。
それでは参りましょう!
タイトルは、
【リーダーシップの100年の歴史(中編)
~「フィードラー理論」って何だ?~】
それでは、どうぞ。
■「効果的なリーダーシップとは何か?」
この問いは、多くの研究者たちを
魅了してきた(頭を悩ましてきた?)
問いのようです。
リーダーシップの『行動理論』を
通じた研究によると、
リーダーシップの行動は
1)「仕事軸」・・・
タスクや生産性を重要視する行動。
部下の課題を明確にし、タスクを割り当て、
業務手順を設定するなど。
2)「対人軸」・・・
人間関係を生み出し尊重する行動。
部下の感情や欲求に配慮するなど。
の「2軸」でほぼ説明しつくせる
ということがわかりました。
■ゆえに、
”この2つのリーダーシップ行動を
高くバランスして行えば高い業績につながる”
(オハイオ州立大学の研究結果)
となったり、
あるいは、どちらか一方だけ
発揮されるという前提であれば、
”対人軸のリーダーシップ行動の方が
より高い業績をもたらす”
(ミシガン大学の研究結果)
という結論になりました。
■しかしながら、
「じゃあ、あらゆる組織において
この『リーダーシップの行動理論』で
業績との相関が説明し尽くせるのか」
となったとき、
疑問が起こったわけです。
、、、どうやら、
業績とリーダーシップ行動の繋がりに
一貫したものはないようだぞ…と。
■少し分かりづらいと思いますので、
一つの事例として
私のあるエピソードを
ご紹介させてください。
20代の頃、私は求人広告の
法人営業をしていました。
いくつかのチーム配属し、
その都度自分のマネジャーが
変わっていきましたが、
そのマネジャーのやり方により、
チームの業績も変動していました。
人間関係は、
とても良好な会社でした。
■あるチームでは、
「より人間関係を重視してくれる
優しいマネジャー」
でした。
個人的な状況に寄り添ってくれて、
気持ちに配慮してくれて、
ストレスも少なく、守ってくれて
ありがたく感じていました。
■一方、
「目標達成に邁進する
マネジャー」
の下でも働きました。
その方は非常にパワフルな方で、
情熱的な人でした。
しかし、なすべきこと、に
集中しているようでした。
ゆえに、頻繁に自分の状況を聞いたり、
自分の感情を配慮したりはあまりなく、
週目(週目標)
月目(月間目標)
日商など、
数字でのコミュニケーションが中心。
猛烈なプレッシャーを
与えていただいて(?) おりました。
■、、、さて、上記は
前者のマネジャーが
「対人軸」であり、
後者が「仕事軸」と
思われます。
先述の
オハイオ州立大学の研究だと
両者のバランスさせると業績が良い、
ミシガン大学の研究によると、
「対人軸」の方が業績が良い、
と語りました。
ゆえに、
上記の2つの研究を並べると
前者の「対人軸」の
「配慮してくれるマネジャー」
の方が高い業績が出そうな
雰囲気もあります。
■…しかしながら、
現実はどうだったか。
結果としては
「仕事軸(業績中心)のマネジャーの下の方が、
圧倒的な成果であった」
のでした。
個人もチームも、
高い業績を生み出していました、
(ちなみに、プレッシャーはありましたが
誰か辞めてしまう、というような
精神的な追い込みなどは
ありませんでした)
■…これ、どういうことでしょうか?
これを説明するのが、
”リーダーシップの「条件適合理論」”
なのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「条件適合理論」とは
リーダーシップの
特性や行動を特定するのではなく
「状況(条件)」に注目する
リーダーシップの理論
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とされています。
(そのまんまですけど)
■条件適合理論から生まれた
有名な理論が
【フィードラー理論】
と呼ばれるものです。
これ、実に便利で
新しい視点を与えてくれました。
この理論を一言で言えば、
『効果的なリーダーシップ行動は
状況に依存する』
ということです。
■この理論において、
まず、リーダーにとって
・「好ましい状況」か
・「普通の状況」か
・「好ましくない状況」か
を判断しました。
ちなみに「好ましい状況」とは
以下の3つの状態です。
1、リーダーとメンバーの関係が良い
2、タスクの構造が明確
3、リーダーに地位や勢力がある
が揃っていることです。
逆に好ましくない状況は、その反対。
・リーダーとメンバーの関係が悪い
・タスクの構造が不明確
・リーダーに地位も勢力もない
となります。
■そして上記の3つの条件の組み合わせで、
「好ましい状況」
「普通の状況」
「好ましくない状況」
がわかれます。
そして
それぞれの「状況」と、
「リーダーシップ行動と業績の関連」
をフィードラーは調べたのです。
、、、すると、
興味深いことがわかりました。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
<フィードラー理論の結論>
『人間関係志向型(対人軸)』の
リーダーシップ行動は、
「普通の状況」では高い業績を示す。
しかし、
「好ましい状況」
「好ましくない状況」においては、
『タスク志向型(仕事軸)』の
リーダーシップ行動』の方、
高い業績を示す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ことがわかったのです。
■この話を用いてみると
先ほどん私の過去の
仕事のエピソードも説明がつきます。
当時の私を取り巻く状況は、
どちらのマネジャーにおいても、
・みんなが仲が良い
・何をすればいいかと言う仕事も明確
・マネジャーに権力も勢力もある
という「好ましい状況」でした。
その中で
「数字だ!達成だ!
目標だー!!」
という『タスク志向型』の
リーダーシップ行動は
高い業績を出す上で
適切なリーダーシップ行動でした。
■一方、
「大丈夫?今どんな感じ?
できることある?」
とサポートをしてくれる
『人間関係志向型』の
マネジャーについては、
「好ましい状況」であったがゆえ、
居心地はよかったものの、
業績は良い状況とは
ならなかったのでしょう。
■もちろん、
それ以外にも
たくさんの変数がありますので、
上記の理論だけで
全て説明できるわけではありません。
しかし、
こういった理論を知っていると
「状況」に照らし合わせて、
業績を高めるために
取るべき望ましい行動が何なのか、
を考えるきっかけにはなります。
ゆえに「理論」は知っていて
損はないなあ、と改めて思います。
、、、ということで、
本日は『フィードラー理論』のご紹介と
リーダーシップの条件適合理論
なるものをご紹介いたしました。
そしてリーダーシップはさらに進み
・LMX理論
・変革型リーダーシップ
・カリスマ型リーダーシップ
・オーセンティックリーダーシップ
・シェアドリーダーシップ
などと展開をして行きます。
この話は、また次回の
「後編」に続けたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
私は現実をしっかりと見据えた
理想主義者でありたい。
ロバート・ケネディ(米国の政治家/1925-1968)
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