「リーダーシップを開発する」ための6つの実践方法(その5)~アクティブ・ラーニング~
(本日のお話 3653字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
その他、コーチング(受ける方)など。
*
さて、本日のお話です。
先日に引き続き、
『LEADERSHIP DEVELOPMENT:A REVIEW IN CONTEXT』
(リーダーシップ開発:文脈の中での見直し)
デイビッド・V・デイ
の論文から、学びと気づきを
ご共有させていただければと思います。
気づけば全5回(序編を入れて6回)という
濃厚なシリーズになってしまいましたが(汗)
今日が最終回となります。
それでは早速参りましょう!
タイトルは、
【「リーダーシップを開発する」ための6つの実践方法(その5)~アクティブ・ラーニング~】
それでは、どうぞ。
■「リーダーシップを開発する
一般的な、でも有望な実践方法があるよ」
と、ペンシルバニア大学の
デイビッド・V・デイは、
以下の6つを述べていました。
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【リーダーシップを開発する有望な実践方法】
1)360度フィードバック
2)コーチング
3)メンタリング
4)ネットワーキング
5)ジョブ・アサインメント(仕事の割り当て)
6)アクション・ラーニング
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そして、昨日まで
1)~5)をご紹介してまいりました。
※過去バックナンバーはこちら↓↓
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3931815/
今日は最後の
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6)アクション・ラーニング
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をご紹介したいと思います。
■「アクション・ラーニング」。
人材開発・組織開発に関わる方であれば
耳にしたことがある言葉だと思います。
この言葉の定義は、
以下のように「2つの意味」で
説明されています。
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アクション・ラーニングとは・・・
1,小グループで現実の問題に取り組む中で、
行動を起こし、内省することで学習していくプロセス
2,個人、チーム、リーダー、そして組織が学習し、
それぞれの場で変革を起こすダイナミックな機会を
生み出すプログラムである
※日本アクション・ラーニング協会より
https://www.jial.or.jp/about/detail/
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ちなみに、このアクション・ラーニングが
注目されている背景は、
「人は組織のリアルタイムな問題に取り組むときに
最も効果的に学ぶことができる」
(Revans, 1980)
という仮説に基づいているとのこと。
「学びは会議室で起きてるんじゃない!
現場で起きているんだ!」
的な感じでしょうかね。
(ちょっと古い・・・汗)
■加えて言えば
こと「リーダーシップ」について言えば、
”講義を中心とした伝統的な教室でのトレーニングは、
21世紀の問題に対応するリーダーを育成する上で、
せいぜい部分的にしか効果がないことを認識している”
(Dotlich & Noel, 1998)
と言われております。
確かに考えてみれば、
自分が他者との関わりで発揮する
「リーダーシップ」を学んだのは
「講義」で学んだかというと、
決してそんな事はなかったな、
と振り返り思います。
リーダーシップとは
”砂場から始まる”ともいいますが、
人と人とのリアルな交わり
誰かを巻き込む関わりで生まれる、
なんて言われます。
例えば、
・修学旅行の班長をやった、とか
・高校の文化祭で実行委員長をやった、とか
・学級委員長をやった、とか
仕事に関わらず
何かしらのコミュニティでの
小さなチームを率いたリアルな経験こそが
”最も大きなリーダーシップの学びになる”
ことは、きっと皆様にも
想像がつくのではないかと思います。
■さて、そんな前提で、
リーダーシップ開発にも役立つ
「アクション・ラーニングを機能させる」
ための、いくつかのポイントがあるのです。
以下の3つ、順に
ご紹介したいと思います。
■まず1つ目が、
<1)参加者の選定は、丁寧に行うこと>
です。
時間も労力もかかるプロセスが、
「アクション・ラーニング」です。
ゆえに、その中で参加者が
「自ら能動的に取り組む」ためには、
・本人がそのプロセスに十分にコミットすること
・そのために、誇りや特別感を感じること
を意図して、
丁寧に設計することが
重要な要素と言えます。
*
例えば、シティバンクでは、
・参加者がグローバル&社内の人材目録の審査に合格している
・各事業者の責任者やCEOによって推薦される
・事業を通じてシティバンク全体のパフォーマンスに影響を与える人であること
という明確な基準で選んでいます。
多分、この基準で選抜をされたら、
参加者は「選ばれた感」が強く、
積極的に取り組めそうな気もしますね。
■そして2つ目。それは、
<2)個人やグループの振り返りの機会を設ける>
ことです。
アクション・ラーニングとは、
1,小グループで現実の問題に取り組む中で、
行動を起こし、内省することで学習していくプロセス
と定義をお伝えしました。
ポイントは、
「行動を起こし、内省すること」で人は学習する
ことです。
そう、”内省(振り返り)”がないと
経験を学びに変えられません。
自分がプロジェクト内で、
何かしらの「行動」を行ったとき
何かの「結果」が出た、とします。
それは、
”周りが納得して賛同してくれた”
という結果かもしれないし
”一人だけ突っ走って不満が生まれた”
という結果かもしれません。
■ただどんな結果であり、
立ち止まって振り返り、
「どのような学びや気づきがあったのか?」
「行動と結果にはどんな繋がりがあるのか?」
「次はどのように活かしていくのか?」
という機会がなければ、
成功も失敗も、
ただ流れてしまう可能性が高くなる、
とも言えるでしょう。
『アクション・ラーニングにおいて、
振り返りの機会はめちゃ大事』
ということですね。
■そして最後。3つ目が、
<3)現実でありつつ、安全であるプロセス設計をする>
ことです。
現実的な小さな世界で、
挑戦してこそナンボなのです。
しかしながら、
”参加者が新しいことに挑戦し、
自分や他人を信頼し、思考や行動を伸ばす”
ためには、安全・安心が
必要になります
逆を考えればわかりますが、
・失敗したらプロジェクトなのに、
けちょんけちょんに責められる、とか
・取り返しがつかないダメージを追う、
・その後の仕事の人間関係に
著しいダメージを負い、仕事がしづらくなる
などあったとしたら。
当然”新しい挑戦”をしようと思えません。
(痛いのは嫌ですからね、、、)
ゆえに、現実的な問題を取り扱う
アクション・ラーニングにおいて、
「心理的安全性も大事にしたプロセス設計」
が大事なのです。
”チームの心理的安全性が高ければ、
「柔軟性」「学習目標思考」も促進する”
という研究結果もあります。
安全・安心の環境は
学びを促してくれるのです。
■、、、ということで
特にリーダーシップ開発という文脈において
「アクション・ラーニングを機能させる」
ためのポイントを3つ、
お伝えさせて頂きました。
これらを踏まえて、一つ
シティバンクのアクション・ラーニングのプロセスを
ご紹介します。
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<アクション・ラーニングのプロセス例 ~シティバンク編~>
1,参加者を明確な基準で選定する
↓
2,3日間オフサイトでのチームビルディング
↓
3,2~3週間かけてのデータ収集、
1週間かけてのデータ分析と提言のまとめ
↓
4,CEOと事業責任者の前でプレゼン、
60分の集中ディスカッション
↓
5,プレゼン後、コーチによる1日の報告会と振り返り
チームのプロセス、個人の成長の機会
↓
6,プレゼンテーションから1~2週間以内に
シニアマネジメントによるフォローアップ
↓
7,プロジェクトについて実施の決定
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
こう見てみると、
1)参加者の選定は、丁寧に行う
2)個人やグループの振り返りの機会を設ける
3)現実でありつつ、安全であるプロセス設計をする
それぞれ行われている事に
気づきます
■人は、現実の問題に
取り組むときに成長する。
ゆえに、これからは
更にこういった学び方が
重要視されてくるように思います。
失敗しても大丈夫な環境で
大いに挑戦すること。
大切にしたいものです。
■、、、ということで、
序編も含めて全6回でお伝えしてきた
【リーダーシップを開発する有望な実践方法】
いかがでしたでしょうか。
以下6つの要素がありました。
1)360度フィードバック
2)コーチング
3)メンタリング
4)ネットワーキング
5)ジョブ・アサインメント(仕事の割り当て)
6)アクション・ラーニング
ただ、興味深いことに、
この論文のオチで、
”・・・以上の6つは一般的で有望だが、
評価を証明するものはほとんどない(!)”
などと言っております。
ただ、一つ言えるのは
「意図して6つを活用することこそが
効果と意味をもたらす」
とは言えるようなので、
企画側もきちんと意図をすることが
重要なのでしょうね。
私も論文を精読することなど、
これまで全くありませんでしたが、
こうやって一つずつ解説していくと
その面白さを感じつつあります。
また色々ご紹介したいと思います。
改めて、最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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<本日の名言>
ぼくは見たり、聞いたりするが、
それ以上に試すことをやっている。
種を明かせばこれ以外に無い。
本田宗一郎(HONDA創業者/1906-1991)
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