リーダーシップ開発研究。その25年の歴史。
(本日のお話 2504字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は4件のアポイントでした。
今朝、東京に戻ってきましたが、
ゆっくりした良い時間でございました。
場所を変えて仕事をするだけで
休み感がでて良いですね。
*
さて、本日のお話です。
本日も、大学院で紹介された
”リーダーシップに関する論文”
より、学びと気づきを
皆様にご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【リーダーシップ開発研究。その25年の歴史。】
それでは、どうぞ。
■「リーダーをどのように育成するのか」。
これは様々な組織において、
とても気になるテーマで、
リーダーシップの大御所(?)の先生方も
様々な角度から研究をおこなっているようです。
■そんな中で、
『リーダーおよびリーダーシップ開発の進歩
~25年間の研究と理論のレビュー~』
デビッド・V・デイ、ジョン・W・フレイナー、リアン・E・アトウォーター、
レイチェル・E・スターム、ロブ・A・マッキー(2013)
という論文において、
「過去25年間に発表されたリーダーおよび
リーダーシップ開発に関する理論的および実証的な文献をレビューした」
と語っており、
その内容がなかなか興味深いものでした。
ライフハックなタイトル風に言うと、
”25年間のリーダーシップ研究について
わかったことをまとめてみた!”
みたいな感じでしょうか。
■詳細は、ぜひ
読んで頂ければと思うのですが、
平たくいうと、こんな概要でした。
以下、超ざっくりな視点で、
まとめております。
(41ページもあるので、大幅に割愛しております)
■まず、
<リーダーシップ理論や研究の分野と
「リーダーシップ開発」は違う>
とのこと。
リーダーシップの理論はたくさんある。
しかし、リーダーシップ開発は
状況が絡み合った実に複雑なテーマ。
ゆえに、一般的な理論とは、
別で考えるべきである、
とこの研究の大切さを語っておりました。
■そして次に、
<リーダーシップ開発を考える時に、
3つの切り口で考える>
ということで、以下の視点で
リーダーシップ開発25年の歴史を紐解いています。
1、成功するリーダーシップスキルを開発するため、
「どのような要因(What)」が重要かを見極める
※ちなみに、Whatには、
リーダ育成に関する内的要因(特性、性格など)と
対人的要因(周りの人との関係など)を考えることも含む。
2、リーダーシップ開発の「方法」を考える
組織の中でどのようにリーダーシップが行われるのか、
あるいはリーダーシップを促進する実践方法はどんなものか説明する
3、リーダーシップの「縦断的性質」について考える
(リーダーシップは、長期間に亘って観察が必要なものである)
とのこと。
上記のそれぞれに、
様々な研究者の実験が紹介されておりますが、
長いので、またの機会に、、、。
■そして、最後の結論は、
<結論。リーダーシップ開発は複雑>
とのことでした。
(と、私は感じました)
、、、というのも、
◯リーダーシップ開発は、社会システムを通じて出現する
人と環境の複雑な相互作用である(Day,2000)
↓
なので、個人への単体の関わりで育つものではない
◯リーダーシップ開発は、「幼少期」から始まる。
↓
親が変革型リーダーシップを発揮していると、
それを見た子供は”モデリング(真似る)”ことで
リーダーシップを発揮しやすくなる傾向あり。
◯リーダーシップ開発は、「パーソナリティ」も影響する
↓
外向的な性格の子供は、リーダーシップを発揮しやすい。
でも成人したら関係は薄くなる。
◯リーダーシップ開発は、「自己認識」が関わる。
↓
ゆえに、360度フィードバックは効果的。
◯リーダーシップ開発は、「経験」が影響する。
↓
リーダー育成プログラムではなく、普段の日常に
育成するための機会が大事。
◯リーダーシップ開発は、「縦断的な性質」を持つ。
↓
時間経過に応じて少しずつ育ったりするものだから
長期的な観察が必要。
◯リーダーシップ開発は、「建設的発達理論」など
自己と世界のつながりをより精緻に理解する力(=成人発達理論)
と関連している。
他諸々、とのこと、
そして、人は当然ながら、
個人特性や周りにいる人、
また業界などの環境も含め状況が違います。
つまり
「様々な関連する結果変数がある」ため、
厳密にリーダーシップ開発を測定するのは難しい。
ただ、測定の仕方としては研究されているので、
今後の研究に期待したい。
、、、と締めておりました。
■「結局何やねん!」
とツッコミたくなる気も
しないではないですが(汗)
この論文をヨミながら、
ハッキリわかったことが、
一つあります。
それは、
【企業でリーダーシップ育成研修をやったから
明日から急に変わるものではない】
ということ。
そもそも、リーダーシップとは
・縦断的性質(長期間で変わっていく)がある
ものであるし、
掘り下げると、
・”幼少期”からの影響もあるし
・”親のリーダーシップ”の影響もあるし
・”パーソナリティ”の影響もあるし
・”出会った上司”の影響もあるし、
・”本人の自己啓発”の影響
もあるわけです。
(他にもたくさん…)
■とすると、
リーダーシップを育成しよう!
としたときに、
「これさえやっときゃOK」
という安易な話は、
あり得るはずもないでしょう。
できることとしては、
”どのような行動が現れたらOKとするのか
明確なゴール設定をする”
というのも必要になりそうだし、
”単発の研修イベントではなく、
現場でも活用できる仕組みを作る”
ことも大切になるでしょう。
イベントではない
地道な土壌づくりと種まき。
そして水やりのように、
ちょっとずつ、ちょっとずつ、
長期・継続的に育てる体制を作る、
という話にもなるのかもしれません。
■いずれにせよ、
多くの研究者が、
様々な要素に分けて研究することにより、
「リーダーシップの連立方程式の難しさ」
を向き合って考えさせられるお話です。
その上で、何が最適なのか
現段階で腰を据えて考える、
企画をすることが重要なのであろう、、、
そんなことを思った次第です。
リーダーシップ、実に深きかな。
そして学ぶほど、
悩ましく思ってしまった次第です。
探求の旅は続きます。
※本日のお話は、以下論文を参考にいたしました。
『Advances in leader and leadership development: A review of 25 years of research and theory』
David V. Day a,⁎, John W. Fleenor b, Leanne E. Atwater c, Rachel E. Sturm c, Rob A. McKee c(2013)
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
1つのことが万人にあてはまりはしない。
めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ。
ゲーテ(ドイツの劇作家/1749-1832)
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