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2742号 2021年8月24日

「組織開発」とは何か ~大切なものは目に見えないんだよ~

(本日のお話 2413字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は研修の企画、その他打ち合わせなど。
また夜は久しぶりにキックボクシングジムへ。



さて、本日のお話です。

現在、大学院にて
「組織開発」を体系的に学んでいます。

とはいえ、人・組織の中でも

「なんだかわかるようで
よくわからない」

とされているこの言葉。

今日はそんな組織開発について、
学びをご共有させていただきたいと思います。

それでは早速まいりましょう。

タイトルは、

【「組織開発」とは何か ~大切なものは目に見えないんだよ~】

それでは、どうぞ。

■「組織開発」。

この言葉、人事界隈では
結構注目されています。

しかし同時に、

なんだかふわっとしていて、
明確に定義を持っている人も少ない、

そんなキーワードの
代表のように感じます。

(…が皆さまはいかがでしょうか?)

■ちなみに、

「組織開発」の学問的定義を調べてみると、
このようにあります。

「計画的で、組織全体を対象にした
トップによる組織有効性と
健全さの向上のための管理された努力であり、
行動科学の知識を用いて組織プロセスに
計画的に介入することで実現される。

Beckhard(1969)」

らしいです。。。

もうひとつあります。

「組織の問題解決過程や、
再生過程を改善するための継続的な努力である。
その特徴は、とりわけ行動科学のセオリーや
テクノロジーのたすけをかりて、組織文化を
効率的かつ協働的なものにしていくことを通して、
目的を達成することである。

French&Bell 1973)」

だそうです(汗)

■、、、もう、嫌がらせとしか
思えませんね(汗)

この文章が登場したところで
読むのをやめようかと思った方も
いらっしゃったのではないかと。

■それもそのはず。

どうやら「組織開発」というのは

「”27通り”の組織開発の定義の中に、
”60個”もの変数が存在している」
(Eagan,T.A)

というのです。

27の定義やら、
60の変数があれば

そりゃあ、わけがわからなく
なりますよね・・・。

■とはいいつつ、

「組織開発の特徴」を整理すると、
4つに絞ることができるようです。

以下の4つです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<組織開発の4つの特徴>

1)計画的な実践である

2)行動科学が適用される

3)人間の成長や変化を信じる実践

4)長期のプロセス介入である

(Worley&Feyerherm(2003))
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

計画的で、

行動科学を使って、

人の成長や変化を信じて、

長期のプロセス介入する。

こうやって、特徴を並べると、
ちょっと整理がされた気もしますね。

■要は、

「組織がうまく機能して、
継続的に成果をあげられるために

あれやこれや、
効果的な方法(行動科学)を使って

長い目で、
”プロセス”に介入し続ける」

ことなのかな、

と私(紀藤)は思っております。

■さて、この組織開発。

重要なキーワードがあります。

それが

『プロセス』

です。

プロセスとは、一言でいえば

”組織の下に隠されている
問題の真因”

のことです。

■例えば、

”会議で誰も発言しない”

という問題。
(”コンテント”といいます)

それを

「本人の積極性の問題だ」
「主体性が足りないのではないか」

と、個人に原因を求める。

よくあるパターンです。

しかし、よくよく見てみると、

その職場に来た皆は、
最初の頃は自分の意見を言うこともあった。

、、、が、やがて
誰も発言しなくなっていったりします。

そしてそこには

”見えない何か(=プロセス)”
が人々に影響している、

ことが多いのです。

■そんな中、

「組織開発」では、

”組織の隠されている真因を
明らかにする”

のです。

組織開発の考え方の
重要キーワード、

『「コンテント」と「プロセス」』

を今一度整理します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◯『コンテント』・・・

・目に見えているもの
・話題・課題・仕事などの「内容的な側面」

(例:会議で誰も発言しない)

◯『プロセス』・・・

・目に見えてはいないもの
・チーム・職場の中で起こっている「関係的側面」

(例:リーダーの意見が強すぎる、
意見を言っても否定される雰囲気
お互いの信頼関係がない、等)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、

目に見えない「プロセス」こそが
”隠されている真因”であり、

目に見える「コンテント」として
問題が表出している、

、、、と考えます。

■そして組織開発を、
もし進めようとするのであれば、

【「目に見えないもの」を大切にする】

というスタンスがなければ、
始めることはできない

と思います。

「問題は彼のパッションが
足りないからだ」

と、個人に原因を求めたり、

あるいは、

「皆が集まって、話せばいいんだ」

と、場さえ作れば
機能するという視点は、

目に見えないものの存在に
着目しているとは言い難いです。

■そこに「隠されている真因」はなんなのか?

・コミュニケーションのパターンなのか

・リーダーシップのスタイルなのか

・上下のヒエラルキーなのか

・暗黙の決まりごとなのか

・目標が共有されていないことなのか

、、、

一見、目に見えないことこそが、
人と組織に影響を与えているのです。

■人と組織は摩訶不思議です。

人と人が集まると、
様々な作用が起こります。

そこには、願いも恐れもあります。

・否定されそうな雰囲気で、
なんとなく発言が怖くなる

・強面リーダーシップの影響で
何も喋らない方が無難という空気が生まれる

・「まとめはあの人が上手」と決まっているから
任せておこうとする、いつものパターンがある

、、、などなど、

「見えないもの」の存在が、
確かに我々の思考に影響を与え、

それが、行動にも繋がり、
結果へと繋がっていく。

■せっかくチームが
集まったのであれば

その人が織りなすダイナミズムを

”グループであるからこそ
生じてしまうパワーダウン(プロセスロス)”

させてしまうのではなく、

隠された真因を見つめ
対話をし、共に未来を作り

”グループであるからこそ
生まれるシナジー(プロセスゲイン)”

を生み出していく、

これこそが、
成果を出すチームに必要な
組織開発の考え方です。

※参考図書:中原淳、中村和彦(2018)『組織開発の探求 理論に学び、実践に活かす』ダイヤモンド社)

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。
いちばんたいせつなことは、目に見えない。

星の王子さまより(サンテグジュペリ)

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