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2743号 2021年8月25日

若手育成の原理原則 ~社会化とOJT施策~

(本日のお話 2413字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は某企業の
ダイバーシティ推進のリーダーの皆さまへの
ストレングス・ファインダー研修の実施。

自分の「強み」という目線で関わると、
皆さん生き生きしてこられるのが
実に印象的な時間でした。

ご参加頂きました皆さま、
ありがとうございました!



さて、本日のお話です。

現在、人材開発、組織開発について
夏期集中講座ということで、
大学院にてガッツリ学んでおります。

今日はその学びの中から、

「若手育成」

について学びと気づきを
皆さまにご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう。

タイトルは、

【若手育成の原理原則 ~社会化とOJT施策~】

それでは、どうぞ。

■「新人は、職場にぶち込んでおけば
勝手に育つ」。

、、、なんていったら、
皆さま、どう感じるでしょうか。

ただ、ちょっと乱暴なようですが、

元々、村社会的な共同体から
始まった日本企業においては、

声高に言わずとも、
このような考えがどうやら
暗黙裡にあったようにも思われるのです。

いわゆる、

・年功序列
・終身雇用
・職場における長時間労働

等々によって、

古き良き日本企業(なのかわかりませんが)では

”職場で勝手に育つ”という仕組みが
意図せず生まれていた、

のかもしれません。

■しかしながら、
1990年代になり、バブルが崩壊。

終身雇用、
年功序列が廃止され、
リストラが敢行されました。

そして極めつけは
「成果主義」の導入です。

すると、様々な影響が
職場に出始めました。

例えば、

1,仕事ができる人に集中する

2,情報共有をしなくなる
(業務を囲い込む、仕事の私事化)

3,職場の助け合いがなくなる
(組織市民行動の消失)

などなど。

■そして、それは

職場内の「学び」にも
影響がでてきます。

例えば、

”高度情報化(IT化)”
先輩の仕事が見えなくなる。

加えて、直近では
コロナ禍のおける

”リモートワーク化”によって
更に加速しているようにも見えます。

その昔、

「隣で電話をしている先輩から
営業トークを学んだ」

とか

「先輩の他部署との交渉を
隣の席で見ていて学んだ」

そんな、

”職場における行間の学びの機会”

がどんどん消失している、
とも言えそうです。

(きっと、ある年代以上の方は、
わかるはず、、、)

■そんなこんなの影響があり

「新人を職場にぶちこんでおけば、勝手に育つ」。

ということは、

まずもって
言えなくなったのが現在でありますし、

そういった意味では

「新人を育成する要素が何なのか、
明確に語ることが出来ること」

は、人材育成に関わる人々の
重要な知識と言えそうです。

■では、一体

”新人を育成する要素”、

もうちょっと広げて言えば

”「若手育成の原理原則」とは一体なんなのか?

これを、整理してみたい、

と思うのです。

■ずばりキーワードは

【組織社会化】

です。

この言葉の定義は、

”個人が、組織の役割を担うために
必要な知識(信念)・技術を獲得し、
組織の構成員になること"
(Vanmannen&Schein 1979)

とのこと。

一言で言えば、

”組織に馴染む”

ということです。

「馴染む」と言っても、

・職場の人間関係
・仕事に必要なスキル
・組織の文化に慣れる

等色々あります。

■ゆえに、

【組織社会化】のためには、
3つポイントがある、

とされています。

では、1つずつ見てみます。

まず、

<その1)予期的社会化>

です。これは、

”組織参入前(採用前)に、

組織の目標、仕事の実態を
ポジティブな側面のみならず、

ネガティブな側面を含めて
体系的に事前に理解させること。”

です。

※「リアリスティック・ジョブ・プレビュー」といいます。



会社あるあるですが、

採用前は、

「残業は、ほとんどないです!
アットホームな空気で皆あたたかいです!」

「仕事マジ楽しいですよ!」

と、イイコトをたくさんいう先輩が
強く口説いて入社を決めたものの
いざ入社すると、全く違う。

「残業バリバリで、
皆、殺伐としてそれぞれの目標を
個人商店のようにやりまくっている」

「目が死んだ先輩が結構いる」

みたいな話。

そして、
「こんなはずじゃなかった」と
失望をする。(そして退職等々)

採用において

”口説き”は必要だし大事ですが、

どこかのタイミングで
現実も伝えるバランスを模索しないと、

結局、企業も応募者も
両者にとって望ましくない、

となります。

これが、

<予期的社会化>

です。

■そして2つ目。

<その2)訓練・教育>

です。

これは、

『学習転移モデル(Lave.2000)』という
学習モデルが有名です。

平たく言えば

”研修で学んだことを、
現場に持ち帰り実践し、
成果を出せるようにすること”

です。

※ちょっと長くなるので、
詳しくはこちら↓↓

◯学習心理学から「王道の学び方」を学ぶ ー学習転移モデルと経験学習モデルー(前編)
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9742/

職場において、

どんな知識やスキルが必要かわからず、
手探りでやっていたとしたら、
そもそも成果を出すことは難しいでしょう。

ゆえに、

成果を出すために必要なスキルを
組織として体系的にまとめて、
OFFJTで効果的・効率的に伝える。

その知識を持って帰って
実務に活かす仕組みを設けることは大事です。

もし学ぶべきものをまとめず、
本人任せにしていたら、

「荒地に種をまいて、
あとは生えてきたらラッキー」

みたいな育て方、
と言わざるを得ないかと。

望ましくないですね。

<訓練・教育>

も大事です。

■そして最後、3つ目です。

若手を1人前に育てる上、
最も重要な施策です。

それが、

<その3)社会化エージェント>

です。

社会化エージェントとは、

”学習を促す「他者の役割」”

のことです。

これに関する理論で

『最近接発達理論(Zone of Proximal development)』

という理論があります。

”発達とは、現有能力と
他者の助けを借りてできることの
心理的距離である”

とロシアの心理学者ヴィゴツキーは言いました。

どういうことかというと、

”自分一人ではできることは限りがあるが
他者の力を借りれば出来ることが増える”

という話。

「幼児」であれば、

1人で料理ができなくても、
お母さんのサポートがあれば
目玉焼きが作れたりします。

「営業会社の新入社員」も同じで、

1人でアポイントに行けなくても、
先輩が一緒に同行しフォローしてくれれば
営業プロセスを完遂できるのです。

つまり、
人は誰かの支援を受けて、
能力向上(発達)を果たす。

たった一人で
何かを身につけるのではないということでしょう。

■そして、

若手が育つ職場では、

「直接の上司」だけではなく、
「隣の部署の先輩」とか
「同期の仲間」など、

多様な

「学習を支援する
”社会化エージェント”」

という存在がいます。

社会化エージェントが行う行為は、

1,業務支援
2,内省支援
3,精神支援

の3つがあります。

※これも長くなるので、
詳しくはこちらから、、、↓↓

◯素朴な疑問。上司が何をすれば、「部下の能力」が伸びるのだろう?ー「職場学習」の研究から紐解く
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9981/

学習を支援する

<社会化エージェント>

が一番大事、ということです。

■ということで、まとめです。

「若手を職場にぶちこめば(!)、
自然と育つわけではない」

ゆえに、

若手が計画的に育つ仕組みを設けることが
とても重要です。

そのためのキーワードが

【組織社会化】

であり、それには

1)予期的社会化
2)訓練・教育
3)社会化エージェント

の3つがポイントになります。

これが、

”若手育成の原理原則”

(といってしまうと言いすぎかもですが)

大事なポイントですよ、

というお話でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

人間は、他人の経験を利用するという
特殊能力を持った動物である。

R・G・コリングウッド(イギリスの歴史学者/1889-1943)

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