最近接発達領域~「頭一つ抜きん出た人」が成長を促す~
(本日のお話 1934字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
夜はキックボクシングジムへ。
さて、早速ですが本日のお話です。
今日は大学院で学んだ
”最近接発達領域”
なるものについて、
改めて皆さまにお伝えできればと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【最近接発達領域 ~「頭一つ抜きん出た人」が成長を促す~ 】
それでは、どうぞ。
■「人が学ぶ」とはなにか。
本から学ぶ。
研修から学ぶ。
他者から学ぶ。
色々な学び方がありますね。
その中でも、
『学習環境デザイン』
という考え方があります。
これは、学びには
”学習者が学習の起きる環境に
アクセスしやすくすること”
が大切である、
という考え方です。
■例えば、
・上司や先輩を育成担当として付ける、
・新人に出来る仕事を割り当てる、
・振り返りシートを提出するルールを職場に設ける
などなど。
、、、要は
「学びが起こらざるを得ない環境」を設定すれば、
人は学ぶものだよね、
ということ。
■さて、そんな
「学習環境デザイン」に関連する
有名な理論家の一人に、
ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキー
という人がいます。
彼は、
【最近接発達領域】
という考え方を提唱しました。
「最近接発達領域」とは何か?
これは、
・ひとは様々な「媒介(道具・他者)」を利用して、行為する
・媒介は次第に内化する(精神間機能が精神内機能になる)
・媒介を「収奪」して熟達する
・個人の中に「媒介」を介して、出来ることが増える。
・「独力でできること」と
「他者(外界)の助けを借りてできること」の差
これを【最近接発達領域(Zone of proximal development)】と呼ぶ、
というお話です。
■例えば、仕事で言えば、
”配属されたばかりの新人が、
上司や先輩の力を借りて、
企画書や見積書を作成する”
というのはまさにこれ。
つまり、
・新人は「媒介(先輩の力)」を利用して、
行為する(企画書を作る)
し、
・新人は、媒介(先輩の力)を
「収奪(パクって)」して熟達する
のです。
新人が今、自分一人の力で
出来ることは少なくとも
身近に
「頭一つ抜きん出た先輩」がいたとして、
その人(媒介)の力を借りれば、
一人でできなかったことが
背伸びをしてできるようになります。
■ただし、ポイントは
「頭一つ」というところです。
”Zone of proximal development”の
Proximalは「近位」を意味します。
ちょっと近い人だから、
発達が想像できるのです。
例えば、
その人が1段、2段上くらいの先輩ではなく、
”頭10コ分くらい突き抜けている
すごすぎる人”
の場合、
「こりゃ到底真似できないわ、、、」と
心理的に距離が開きすぎてしまいます。
すると、
【最近接発達領域】にはならない、
ということかと。
■ちなみ、私の妻に
この話の話をしていたら、
「これ、私が初めてフルマラソンを
完走できたときの話だ」
と語ってくれました。
(ちょっと話が離れますが、
お付き合いいただければと、、、)
10年ほど前、妻はフルマラソンに
チャレンジをしたのですが、
それまで何度か大会に出たものの、
完走が出来ませんでした。
理由は、
「20キロを超えると足が重たくなり、
足が壊れそうで、それ以上走れなかった」
とのこと。
■しかし、その後、
私(紀藤)が100キロマラソンに
挑戦をすることになりました。
その際、妻は応援に来ておりましたが
60キロ地点で私はほぼ完全に足が壊れて
足を引きずって走っていました。
それを見て妻は、
「こりゃ、100キロは絶対ムリ。
足壊れているしもう40キロは走れない」
と思ったそうです。
ただ、結果足を引きずりつつ
そこかもう40キロ走り、結局完走をしました。
それを見た時に妻は、
「あの状態で40キロを走れるのであれば
私も走れるのではないか」
(=完走への心理的距離がぐっと近づいた)
と感じたそう。
その後、私が練習がてら
ややスパルタぎみに
「もっといける」
「もっと長く走れる」
とハッパをかけてみた結果、
フルマラソンを完走できるようになった、
というお話。
ちょっとずれるようですが、要は
・「頭一つ抜きん出た人」の存在
・「頭一つ抜きん出た人」の支援(媒介)
により、
”自分の発達が引き上げられる”
という現象が起こったという意味で、
【最近接発達領域】
の一つの例ではなかろうか、、、
と思うわけです。
■、、、とすると、
自らを高めていく上で
「何を学ぶか」も大事ですが
『「誰と学ぶか」は更に大事』
といえるかもしれません。
自分の身の回りの「学習環境」を
意図して選ぶこと。
あえて、
・尊敬できる人、
・刺激を与えてくれる人、
・頭一つ抜きん出た人、
等の中に飛び込むことで、
自分の発達領域が
他者によって引き上げられ
さらなる成長を遂げていく、
とも考えられます。
■成長には、
「頭一つ抜きん出た人」(媒介)を活用すること。
あるいは、
自転車の補助輪的な道具で
自分の能力を引き上げ、発達させること。
【最近接発達領域】
を意識しつつ、
自分を育てることを考えてみることで、
さらなる発達が見込めるのでないか、
というお話でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人間は、他人の経験を利用するという
特殊能力を持った動物である。
R・G・コリングウッド(イギリスの歴史学者/1889-1943)
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