研修直後アンケートで聞くべき3つの設問項目
(本日のお話 2304字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は5件のアポイント。
並びに大学院の打ち合わせ。
*
さて、本日のお話です。
今日は、人材開発における
「研修評価」
をテーマに、学びを皆さまに
ご共有させていただければと思います。
それでは早速参りましょう!
タイトルは、
【研修直後アンケートで聞くべき3つの設問項目】
それではどうぞ。
■「この研修に満足しましたか?」
、、、
研修直後のアンケートで
このように聞くことがよくあります。
(私もよく聞いていました)
しかし、
先日の大学院の授業にて
「研修評価」と「研修転移」
(研修内容が現場で実践されること)
という観点で言えば、
「研修の満足度は聞く必要がない!」
と言い切られておりました。
(そして私は、ちょっと
ギクッとしました…汗)
■さて、
「研修の満足度を取る必要がない」
のはなぜでしょうか?
そう言える理由は
いくつかありますが、
こと企業研修でいえば、
それが
階層別研修であれ
昇格者研修であれ、
新入社員研修であれ、
選抜研修であれ、
「評価できる研修」の基準とは
『経営に資するインパクトを与えること』
です。
管理職なら、
管理職が成果を上げるために必要な能力を
身につけることができたかどうか。
そして行動変容され、継続され、
結果が変わったかどうか。
ゆえに、
(たとえ本人が満足していなくても)
”「経営に資するインパクト」があれば
効果的な研修であった”
と定義するのは
理にかなっている、
とも思えそうです。
■もちろん、
「マインド」や「教養」
「研修による学習コミュティの発生」
等々、
大切だけれども、
個別に目に見えづらい成果もありますし、
変化までに時間が
必要なものもあります。
しかし基本原則として、
『経営に資するインパクト』
を与えることこそ重要であるし、
それを図ることが
研修の評価においても同様に重要
というのはその通りだな、
と思うわけです。
■さて、では、
「経営に資するインパクト」を
もたらす人材開発のために
一体何が必要なのでしょうか?
まず、一番大切なのは、
「企画段階」です。
対象者の
「成果につながる重要な行動」
(Critical behaviors)
を分析すること。
その上で、
・誰に
・何のスキルを
・どのように打ち込むのか
を企画し、綿密に設計することが
大切なポイントになります。
(これも簡単に言いますが、
現場の協力も必要で、労力もかかるし、
一番大変な気がします)
■そして、
無事研修を企画できて
そして研修も実施できたとして
次に何をするのか?
それが「研修の評価」です。
「評価」とは
「1,事実の特定」と、
「2,価値の判断」の2ステップとなります
その評価を行うことで
・この研修はインパクトがどれほどあったのか?
・その上で、何を改善すべきか?
が明らかになっていき、
次に繋げることができます。
■ただし、
「評価」といっても
また幅があります。
・研修直後アンケート
・研修後アンケート(3~6ヶ月後)
という「時間軸」や
・誰に(本人or周囲)に
・どのように確認するか(インタビュー・アセスメント)
という「対象者」や「方法」なども、
より精緻に分析しようとすれば
その分、広がりをもっていきます。
ゆえに、どこまでやるのかなどは、
検討をする必要があります。
■しかし、その中で
こと「研修直後」においては
『職場で実践されるかどうか(研修転移)』
を図るために、以下、
3つの質問が有効とされている、
とのことでした。
以下、ご紹介です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<研修直後アンケートで訊くべき項目3つ>
1,関連度(Relevance)
「この研修は、自分の仕事に関連していると思う」
2,有用度(Utility)
「この研修は、自分の仕事に役立つと思う」
3,自己効力感(Self-efficacy)
「この研修で学んだことを、自分の仕事で活用できると思う」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■この3つの質問には、
もちろん理由があります。
以下簡単に解説。
まず「1、関連度」については
「現場の状況に近い」と思えるような
ケーススタディやトレーニング内容だと、
現場でそのまま使える、となります。
これは、研修転移の『近転移』という概念で
説明することができるため、
”仕事との関連性が高いと
実践されやすい”
となります。
次に「2、有用度」については
”感情的反応”(研修良かった)よりも
”実用的反応・有用度(使えそう)のほうが、
「学習」に関係しており(Alliger et al.1997)
また、
研修直後の「満足度」は転移に関係していない一方、
「有用度」は転移に若干関係していることがわかりました。
ゆえに、有用度も大事になります。
そして、最後に「3,自己効力感」については、
「最終的に、研修転移は受講者の決断」であり、
そのためには研修終了時までに受講者が
「したい(want)」「できる(can)」「やる(will)」
と思える事が重要である、としました。
(ウェインバウアー、ヘイデル.2018)
なので、
「関連度」
「有用度」
「自己効力感」
の3つが高い研修は、
現場でも実施されやすく(転移されやすい)、
インパクトをもたらす可能性が高い、
といえるわけです。
■人と組織のような領域は、
自然科学のように、
ハッキリとは答えることができない
やや曖昧なものです。
企画段階でも様々な要因が絡みますし、
政治的な要素も混ざるのが教育研修だったりもします。
ただ、
「何をゴールとするのか」
「何をもって
効果があるとするのか」
そのために、
「何をどのように測定するのか」
を明確にすることは、
改善をし続けるために
とても大切な問いなのでしょう。
■そのための一つの方法として
「研修転移」
(現場で実践されるかどうか)
を測定するために、
【研修直後アンケートで聞くべき3つの設問項目】
は基準となる設問として
明らかにされているようです。
ぜひ一つの参考にしつつ、
価値ある学びを作っていきたいものですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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