今週の一冊『働く大人のための「学び」の教科書』
(本日のお話 2935字/読了時間3分半)
■こんにちは。紀藤です。
本日より宮崎に来ております。
これから約2週間、宮崎にてワーケーション。
場所が変わるだけで、ワクワクします。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、
今週の一冊のコーナー。
今週の一冊は、
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『働く大人のための「学び」の教科書』
中原 淳(著)
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です。
■いやはや、この本は、
「全ての大人が読むべき一冊」
と思ってしまいました。
「100年時代」などと言われている中で、
「大人にとって、学ぶとは何か?」
「どうして私たち大人は、
学び続ける必要があるのか?」
「どうやって私たち大人は、
学んでいけばよいのか?」
について、
専門的な言葉は用いず、
しかしながら確固たる理論や研究結果に基づいた
「大人の学び方」
を明確かつ、具体的に示してくれています。
■本書の構成は、
4部構成になっています。
*
まず、Chapter1では、
「大人にとっての学びの必要性」
が述べられます。
言われてみれば当たり前なのですが、
環境の変化により、
時代がどんどん進んでいく時代では、
知識やスキルが陳腐化しやすくなるのです。
その中で、
”過去獲得した知識・スキルに頼って
逃げ切ろうとする”
場合、後ろからやって来る後輩(次世代の子ども)に
追いつかれてしまいます。
例えば、
・IT業界であれば、
これまで必要とされていたプログラミング言語。
それを使って仕事をしていたものの、
外的環境の変化により、
今ではその言語時代が新しいものに取って代わられた、
とか、
・家電の開発をしていたけれども、
外的環境の変化により
開発の拠点自体が韓国や中国に移り、
仕事自体が少なくなっていった。
かつて、重宝されていた
家電の開発に対する知識やスキルは、
求められなくなっていった…
とか、あるいは、
・研修講師でも、優れたオンデマンドの講義が
聞けるようになって、「講演スタイル」で食べていた
研修講師はニーズがなくなっていった
などの出来事が、
日本中、あらゆるところで起きているのです。
■そして、かつて活躍していたはずの人が、
”働かないけど、たくさん給与を
もらっているおじさん”
と扱われてしまう、
あるいは立場を失っていく。。。
すなわち、
「一時期活躍できていても、
新たな知識やスキルを獲得し続けなければ
必要とされなくなっていく」
ことが常態化している時代に、
我々は生きている、
と言えるのでしょう。
■では、そんな時代に生きる中で、
どのように学ぶ必要があるのでしょうか?
・今の仕事を一生懸命やる以外に、
何をする必要があるのか?
・本を読めばいいのか?
・本を読むと言っても、どんな風に
本を読めばよいのだろうか?
・誰と、どんな風に学ぶことが
効果的なのだろうか?
、、、こんなところが、
気になってくるわけです。
■そこでChapter2と3では
「大人が効果的に学びの原則」には、
一体何があるのか?
について
”「3つのOS」と「7つの行動」”
という形で示してくれます。
以下、簡単にご紹介いたします。
(ここから)
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【大人の学び 3つの原理原則(OS)】
◯{1)背伸びの原理}
・背伸び=現在の能力では少し難しさを感じることで、自らがんばったり、
他人の助けを借りれば、実現は不可能ではないこと。
・楽しくて感謝されることに、まずはチャレンジする。
◯{2)振り返りの原理}
・3つの問いに考えを巡らし、振り返りをする。
1.What?(過去に何が起こったのか?)
2.So what?(どのような意味があったのか?何が良くて何が悪かったのか?)
3.Now what?(これからどうするのか?)
・リフレクションなくして、アクションなし
(振り返りなくして、挑戦行動なし。
振り返りがなければ、”這い回る経験主義”になってしまう)
◯{3)つながりの原理}
・成長には他者からの支援が不可欠。
信頼の置ける他人に助言を得たり、コメントを貰ったり、
励まされたりするサポートを糧に、人は学びを実現する。
・1.業務アドバイス(教え・助言)
2.振り返りの促進(振り返りの促し)
3.励まし・承認(感情のケア) の他者支援が大事
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【大人の学び 7つの行動(アプリ)】
◯{1)タフな仕事から学ぶ}
・自分の能力ギリギリのところで全うできる
タフな仕事が仕事の成長の源泉になる。
・会社が伸びていく方向に貢献できる
前例のないタフな仕事が◎。
・経験は「資本」である。
◯{2)本を1トン読む}
・本を読むとは「自分の中に地図を持つ」こと。
・本を読むことは「他者の経験や思考を代理学習する」こと。
・1分野多読がオススメ(1分野で10冊の本を読む)
◯{3)人から教えられて学ぶ}
・3つの場から学ぶ
・インフォーマルな学び→ 人づてに情報を入手し、学ぶ
セミフォーマルな学び→ 集まって学べるオフィシャル性のない教育施設を利用
フォーマルな学び→ オフィシャル性が高く敷居が高い大学院で学ぶ
・「誰から学ぶか」は最も重要。大人は選べるのだから。
◯{4)越境する}
・慣れ親しんだ場所をはらんれて、
違和感を覚える場所にいくこと
・外に出て「自分が通用しない経験」をすること
・大人の学びは痛みを伴う。
しかしそれが学びの可能性を広げる。
◯{5)フィードバックを取りにいく}
・第三者に自分を映し出す鏡になってもらう。
・行動レベルでよかったこと、
悪かったことをフィードバックしてもらう。
S(Situation/状況)=どこで、どんなときに
B(Behavior/行動)=どんな行動をしたことが
I(Impact/成果)=どんな風によかったのか、悪かったのか
を客観的に指摘してもらい、自分で立て直す。
・通用しなくなったものは「アンラーニング(学習棄却)」する
◯{6)場をつくる}
・人々が集うような機会、イベントを主催する
・学びの場を人々に提供すると、世界が広がる。
◯{7)教えてみる}
・他人を「変化させる側」に回る。
・教えることは「学ばざるをえない状況」を
自分で作り出すことになる
・ただし対話を行い、
学び手と一緒に変わるというスタンスがよい。
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(ここまで)
さて、ざざっとまとめてみましたが
いかがでしょうか?
この3つの原則と、
7つの行動を全部やったとしたら、
成長しないわけがなさそうです。
そして、
「自分自身は
どれくらいできているのか?」
を考えてみると、
自分の状況が客観的に、
見えるような気もしますね。
■最後のChapter4では、
『学び上手さんの「学びの履歴書」』
ということで30代40代の人を中心に、
大人の学びをしている人の実例が紹介されます。
学びが明日すぐに開花するわけではなくとも、
どのようなインパクトをゆくゆく与えていくのかが、
リアルにイメージができて、
とても参考になります。
■、、、ということで、
「大人の学び方」
について
・職場学習の研究
・経験学習の理論
・越境学習の研究
など様々な背景から描き出した本書。
実にオススメでございます。
「大人の学び」が気になる
全ての方にぜひ読んでいただきたい、
と思わせられる一冊でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『働く大人のための「学び」の教科書』
中原 淳(著)
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