パーソナル・ビジョンの研究 ~鮮明で挑戦的な個人のビジョンを持つことの価値ってなんだ!?~
(本日のお話 2656字/読了時間3分半)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は5件のアポイント。
また1件のコーチング(受けるほう)。
*
さて、本日のお話です。
「ビジョンを持つこと」は
しばしば大切と言われます。
、、、が、実際のところ、
「ビジョンを持つ」ことは、
どんな効果があるのでしょうか?
このことについて先日、
調べてみました。
そんな中、
とある興味深い論文が見つかりました。
今日はそのお話を皆さまに
共有させていただければと思います。
それでは、早速まいりましょう!
タイトルは、
【パーソナル・ビジョンの研究
~鮮明で挑戦的な個人のビジョンを持つことの価値ってなんだ!?~】
それでは、どうぞ。
■「ビジョンを持ちましょう!」
「夢を持ちましょう!」
「高い目標を持ちましょうー!!」
、、、と、言葉は違えど、
「こうなれたらいいな」という
ビジョンを鮮明に描くことは、
(特に自己啓発的な文脈では)
100%といっていいほど登場する、
主役級のメッセージです。
ぶっちゃけ
「ビジョンを持とう!」
といっても、眉唾な人も
少なくないのでは…と思います。
ちょっと青臭いし、
それが今期の数字達成につながるのかよ!?
というツッコミも想像されそうです。
■実際
「個人的なビジョンを持つ」
ことが、
”現実世界の課題
(例えば、学業や仕事など)に対して、
どのような影響を与えるのか?”
についての研究は、
これまでなされていなかったようです。
そんな中、先日、
こんな論文が見つかりました。
(ちょっとタイトルが長いのですが)
『鮮明で挑戦的な個人のビジョンが
目標の階層化に果たす役割』
(Aline Masuda.Thomas Kane.Carol F.Shoptaugh.Katherine Minor(2010),
The Role of a Vivid and Challenging Personal Vision in Goal Hierarchies)
なるもの。
ミズーリ州立大学などによる研究です。
■端的に研究の趣旨を伝えると
1)ビジョン(遠位目標)は近い目標(近似目標)に
どのような栄養を与えるのか?
2)それを見極めるために、
「鮮明で挑戦的な個人ビジョンを持つ学生」と
「ビジョンを持たない学生」を比較する
3)目標へのこだわり、努力に対しての影響を調べる
というシンプルなものです。
■結果からすると、
「挑戦的で鮮明な個人的なビジョンを自然に設定した学生は、
”より困難で具体的な大学の目標を設定”した。
生き生きとした個人的なビジョンを概念化した学生は、
”学期ごとの目標に対してより熱心に取り組んだ”」
という論文の結論に至っています。
想像すると、
普通のことに見えるかもしれませんが、
「ビジョンを描くと、
近しい目標へのコミットが高まる」
という事実は、
改めて注目に値するかと。
■ちなみに、
「挑戦的で鮮明ビジョン」とは
一体どのようなものなのでしょうか?
一つ、鮮明なビジョンの例として
以下のように紹介されていました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<鮮明なパーソナル・ビジョン(例)>
私の職業人生のビジョンには、人生の様々な分野が含まれています。
私は、米国の外交的前哨基地で海外勤務をしたいと考えています。
特に、国務省の政治分野で働くことを楽しみにしています。
将来的には、フランス語、中国語、ドイツ語など、
さまざまな外国語を話せるようになりたいと思っています。
世界中を旅して、イギリス、フランス、イタリア、
日本、中国の「文化」を吸収したいと思っています。
芸術や音楽への情熱を持ち続けたいと思っています。
私は、フランスの混雑したビジネス街のカフェに行ってワインを飲み、
人生を楽しむような男になるでしょう。
山登りやキックボクシングなど、
冒険性の高いスポーツに参加している自分がいます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
対して、
<鮮明”ではない”パーソナル・ビジョン(例)>とは
私は、自分が楽しめる専攻を選び、
自分の稼ぎで自分と家族を支えられるような仕事を
見つけたいと思っています。
、、、みたいなもの。
こう見てみると、
”鮮明なパーソナル・ビジョン”
なるものを描いている人は
ごく一握りのようにも思えます。
■そして、ビジョンが目標達成に繋がる
メカニズムとしては、こうなります。
1)鮮明かつ、挑戦的なビジョンを持つ
↓
2)学生の学期目標への愛着、
目標を下げたくないという気持ちに繋がる
↓
3)目標達成のための努力をする
↓
4)より高いパフォーマンスにつながる
と連鎖するのです。
よって、
個人的なビジョンを持つと、
結果的に、近い目標に対してこだわりが生まれ、
より高いパフォーマンスが得られる、
となる。
■さらに言えば、
現実のキャリアにつながる話として、
こんな話も紹介されていました。
”Howard and Bray (1988)は、
AT&Tの管理職を対象とした25年間の縦断的研究において、
キャリアの抱負のレベルがキャリアの進歩を予測する
唯一の最良の要因であることを明らかにした。
とのこと。
これ、面白いですよね。
「キャリアの抱負のレベルが
『キャリアの進歩を予測する
唯一の最良の要因』である」
というわけです。
言い換えれば
「高いキャリアのビジョンを持つことは
本人の出世を予測する要因になっている」
と言えます。
そして、別の角度から見れば、
”鮮明で挑戦的なビジョンを
意図的に持つ”
ことによって、
・自らの出世に繋がる
・より望ましいキャリアが開かれる
・目標達成の確率が高まる
とも言えそう。
■、、、と考えてみると、です。
少なくとも、
「個人的なビジョンを持つことで、
損することはない」
と言えるかと。
■もちろん、皆が皆、
ビジョンを描いたから
必ずしもそうなるとは限りません。
あるいは、この研究でも、
「鮮明で挑戦的なビジョンを描いてください」と
指示しても、描けない人もいました。
つまり、
”描けるか描けないかは
個人の特性による”
という結論に至っていました。
それは本人のこれまでの経験
自己効力感、あるいは年齢などの要因があり、
ビジョンを描けるか、また、描きたいかは変わります。
ゆえに、
”誰も彼もビジョンさえ描かせておけば
なんとかなる”
みたいな強引な話にはなりません。
■ただ、です。
繰り返しとなりますが、
もし「鮮明で挑戦的なビジョン」を
描こうとして描けるのでれば、
”目標に対してコミットし
より良い結果につながるという研究結果”
はあるわけですから、やっぱり、
「個人的なビジョンを持つことで、
損することはない」
といえるし、否、
宝くじを買うよりも
個人の成功に対して
よほど相関関係はありそうなので、
『鮮明で挑戦的なビジョンは、
積極的に描くべし!』
と言えるのでは、
と私は思いますが、
いかがでしょう。
■青臭いようですが、
ビジョン、やっぱり大事。
皆さまは、
鮮明で挑戦的なビジョン、
お持ちでしょうか?
年を重ねると、
現実が見えてきたりもしますが、
いくつになっても、
ワクワクする、鮮明かつ、挑戦的なビジョン
描いていきたいものだ、
と思った次第。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
あなたができることを、
あるいはでいるようになりたいと夢見ることを、
今すぐに始めてみるといい。
大胆であること自体に、力や魔法がある。
ゲーテ
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