「学ぶってなんだ?」の理論と歴史(後半)ー認知主義と状況論ー
(本日のお話 2253字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日月曜日は、1件のミーティング。
また妻とともに
映画「竜とそばかすの姫」を
観に行ってまいりました。
*
さて、本日のお話です。
昨日、
「学ぶってなんだ?」の理論と歴史(前半)
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3971522/
とのことで、
学習研究100余年の道のりの前半、
「初期記憶研究」と「行動主義」の
お話をお伝えさせて頂きました。
今日も続けてまいります。
タイトルは、
【「学ぶってなんだ?」の理論と歴史(後半)ー認知主義と状況論ー】
それではどうぞ。
■「学ぶ」こと。
日々、
当たり前のように行っていますが、
実際にどのように私たちは”学んで”いるのか?
このことを調べたのが
学習研究でした。
*
昨日は
・エビングハウスの忘却曲線
(初期記憶研究/1900年)
・パブロフの犬の実験
(行動主義/1920年)
の話をしましたが、
1970年代になると、
”人のアタマの構造”
に関心が移っていきます。
つまり、
・アタマの中に何が蓄えられていて
・どのように動いているのかを知りたい
ということで、
理解の仕方に、研究の焦点が
うつっていきます。
■そして、人の学びとは
”頭=コンピュータ”
(Atkinson & Shiffrin 1971)
という仮説で、
1、情報の入力
↓
2、視覚、聴覚、触覚などでキャッチ
↓
3、短期貯蔵庫(STS):一時的な作動記憶
↓
4、長期貯蔵庫(LTS):永続的な記憶の貯蔵庫
という理解の構造になっているのでは
と考えられるようになっていきます。
そしてこれが、
「認知主義」と呼ばれるものです。
■「認知心理学」の実験により、
様々なことがわかりました。
例えば、
「3,短期貯蔵庫」→「4,長期貯蔵庫」という
考え方から、
『リハーサル(復唱)をすることで
記憶が促進される』
というテクニックが
生まれましたし、
あるいは、短期貯蔵庫の特徴を
探求することで、
『マジカルナンバー7±2』
(短期記憶に一度に覚えられる数は7±2)
など、いわゆる
「記憶術」と言われる考えも
発展していったのでした。
■、、、と、ここまでの
「学習研究」の歴史は
・初期記憶研究(1900年)
・行動主義(1920年)
・認知主義(1970年)
の特徴からわかるように
”学習とは
「個人の頭の中で起こる」こと”
が前提なのでした。
■ゆえに、
教師の教え方もそうなります。
つまり、
「知識を生徒のアタマに入れる」
となるわけです。
『導管モデル』ともいわれ、
あたかも、ガソリンスタンドのホースで
ガソリンをドボドボ車に流し入れるように、
「生徒の脳に、知識を
ドボドボ注ぎ込むことで学習は起きる」
という”詰め込み教育”にも
繋がる考えになっていたのでした。
■しかし、
1990年になると違った観点から、
学習が考えられるようになります。
それが
【状況主義(1990年)】
です。
この考えは、
”人の有能さは
「状況」に埋め込まれている”
とされる考え方です。
つまり
・人の有能さは、
「個人の頭の中だけ」の、
処理能力や記憶の量などではなく、
・人の有能さとは、
「個人の周りの人や道具」などを含めた
システムとしてのアレンジ力にある
とするのです。
■ちょっとわかりづらいですが、
具体的に考えるとわかります。
私(紀藤)の例で恐縮ですが、
”私がクライアントの質問に答える”
という場面で、
しばしばこの状況主義を感じます。
つまり
”「周りの人や道具を含めた有能さ」を
発揮している”
と感じるのです。
■例えば、人材課題や組織課題など
お客様から相談をされたとします。
そこで、
コーチングの理論とか
リーダーシップの理論など
質問をいただいた、
とします。
そうすると、私(紀藤)は
「◯◯リーダーシップって、
キーワードは思い出せるんだけど、
その先が思い出せない、、、(汗)」
となったりします。
■しかし、
そこに「道具」が登場します。
それは、
・ノートパソコン
・メルマガのバックナンバー
です。
以下のメルマガサイト(道具)に、
https://www.courage-sapuri.jp/
過去自分が学んだことを
自分の言葉で記述をしています。
「前、この理論について、
メルマガで書いたんだよなー」
(でも、書いた内容も忘れた)
という状況で、
このメルマガサイトは「道具」として
自分の「外部記憶貯蔵庫」の役割をはたします。
「キーワードからバックナンバーを探す」で
打ち込み、その内容を5秒眺めれば、
記憶を呼び起こされるのです。
■つまり、
”「私(紀藤)の断片的な記憶」と
「外部記憶貯蔵庫としてのメルマガサイト」が
システムとして駆動して、質問に回答できる”
ことができているわけであり
これが、私のある一分野における
”有能さ”へと繋がっている、、、
となります。
■その他にも、
”誰かの助けを借りて
自分の能力を発揮することができる”
というのは、
「自分以外の人」を巻き込んだ
状況論としての学習の方法です。
これはロシアの心理学者ヴィゴツキーが
「最近接発達領域」として提唱をしました。
また、レイブ&ウェンガーは
「正統的周辺参加」として、
職場での学習とは、
”コミュニティーの周辺から
徐々に中心部に関わっていき、
トレーニングがなくても学びが深まっていく”
という学習モデルを示しました。
■、、、と
学習の系譜をさかのぼってきましたが、
いかがでしたでしょうか。
この学習研究の話も、
私も何度も聞いているはずなのに、
(やっぱり何度も)忘れております。
ゆえに、今回、
・認知主義
(メルマガによるリハーサル(復唱)により
長期記憶へ転換)
・状況主義
(メルマガという”道具”に
記録することで思い出せるようにする)
という工夫も含めて
記載をしてみました。
すぐに役立つヒントには
なりづらいかもしれませんが、
基礎的な考えを知っておくと、
色々と応用もできる(かも)知れませんね。
皆さまの参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
大学とは、学習の場である。ビジネスも、学習の場である。
人生そのものが、学習の場なのだ。
トーマス・エジソン
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