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2798号 2021年10月19日

「経営理念は何の役に立つのか?」を理論から紐解いてみた

(本日のお話 2058字/読了時間2分半)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は某企業の管理職への
コーチングのトレーニング。

ある会社のプロジェクトに
参加させていただいた新しい取り組みでしたが、
私自身大変、良い学びになりました。

そして改めて
コーチングって部下育成に役立つ、
と思った1日でした。




さて、本日のお話です。

皆さまが所属している会社にも、
きっと「経営理念」の如きものが
存在しているかと思います。


…と急に

「経営理念」なんてお話を
してしまいましたが、

最近、大学院のプロジェクトで
「経営理念の浸透」について調べており、


「経営理念が一体、
 何の役に立つのか?」

というテーマについて、
先行研究や理論などを集めていたのでした。


今日はその論文等からの学びを
皆さまにご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!


タイトルは、



【「経営理念は何の役に立つの?」を、理論から紐解いてみた】



それでは、どうぞ。



■企業には

「経営理念」

と呼ばれるものが
掲げられていることが多いです。

その呼称は、

・企業理念
・社是
・使命
・フィロソフィー
・目指す企業象
・創業の精神
・クレド、Way、スピリット、企業指針…

など、実に様々。



■「経営理念」の定義も、
研究者によって様々ですが、

多くある経営理念を類型化してみると
以下のようにわけられる、

なんて話も。


(早速マニアックですが、
 以下のようなお話です)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【経営理念の3つの類型】

1,自戒型
(経営者自身の行動上の自戒と、後継者に手本を示すもの。
 自らの姿勢と言動を強く語る)
 
2,規範型
(社員を統率するためのもの。
 内部管理・内部統制用の性格が強い)
 
3,方針型
(企業の使命、経営戦略、方針
 企業が直面している諸問題について社会に訴える性格を持つもの)

(鳥羽・浅野.1984)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とのことです。



■うーん、色んなパターンで
経営理念が語られているのですね。


ちなみに、

”企業規模が大きくなるほど、
「3、方針型」の割合が高くなる”

傾向があるそうで、

考えてみれば、

”自社の存在意義・価値観を打ち出すことで、
 従業員を『統合』していく”

ことは、

「経営理念の王道」の使われ方と
言えるようです。



■さて、そんな経営理念。

実際にどのような
「機能と効果」があるのでしょうか?


そのことについて、
先行研究では以下のような
機能や効果がある、と述べております。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【経営理念の機能と効果】

<1、内部統合機能>

◯成員の動機づけ機能
・組織の方向性や行動の拠り所となるものを示し、
 職務への取り組みを動機づける
 
◯成員の統合機能
1) 一体感の醸成機能:
  組織内に共通の価値観を持つことで一体感を醸成し、
  相互の信頼関係を創り出す
 
2)指針機能:
  経営理念というバックボーンにより
  内部の間違った考え方を是正する
  

<2、外部適応機能>

◯自社活動の正当化機能 
・社会に向けて組織の存在意義や
 未来の方向性を示す

◯環境適合機能
1)適合・存続機能
  社会やステークホルダーとの信頼を形成し、
  経営価値と社会価値を一致させることで組織を存続させる

2)活性化機能
 組織を活性化させるトリガーとなる

(北居・松田、2004)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


…とのこと。



■論文なので書き方が
やや堅苦しい気もしないでもないですが

読み解いてみると、
確かにそうだよなあ…

と表きます。




■そして、実際に、

「経営理念の浸透」を行なうと
主に2つの効果があることがわかっています。


それは、


・「内発的モチベーション」が高まる

・「職業的アイデンティティ」が高まる


という2つの効果です。

※職業的アイデンティティとは・・・
  職業人として自分はとのように仕事とかかわっていくのか
  職業を通して自分らしさをいかに育んでいくのかという
  社会に対する公的な自己定義、とされています。



■そして、それらの

内発的モチベーションや
職業的アイデンティティが高まると

それに続いて


1)組織市民行動(自分の職務の範囲外の望ましい行動をする)

2)顧客満足への影響


があることもわかっている、

そんな風に数珠繋ぎのように
良い影響が派生していく…

というのが、

「経営理念にまつわる先行研究と理念」

のお話でした。



■…と考えたときに、

”「経営理念」は
 なんとなく大事だから”

だけではなく、

このような

・経営理念の「定義」
・経営理念の「機能や効果」
・経営理念の「影響」

を理解した上で
経営理念浸透の施策も実施をしていく。


…とすると、

きっとより多くの人を
巻き込んでいくこともできるだろうし、

やるべき意味にも、
説得力を持てるのではないだろうか、

と思います。



■普段、つい
形式的にやってしまいがちなこと、
あるものですが、

「なぜなんのために行なうか」

「どういう効果を期待して
 どのような根拠で行なうか」
 
など、とても大事なことだろう、
大事だなあと思った次第。


※本日のお話は、
 廣川佳子,芳賀繁(2015).国内における経営理念研究の動向
の論文を参考に記載いたしました。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

今日の産業社会に
理念のないことが最大の問題である。

ピーター・ドラッカー

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