「経営理念は何の役に立つのか?」を理論から紐解いてみた
(本日のお話 2058字/読了時間2分半)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は某企業の管理職への
コーチングのトレーニング。
ある会社のプロジェクトに
参加させていただいた新しい取り組みでしたが、
私自身大変、良い学びになりました。
そして改めて
コーチングって部下育成に役立つ、
と思った1日でした。
*
さて、本日のお話です。
皆さまが所属している会社にも、
きっと「経営理念」の如きものが
存在しているかと思います。
…と急に
「経営理念」なんてお話を
してしまいましたが、
最近、大学院のプロジェクトで
「経営理念の浸透」について調べており、
「経営理念が一体、
何の役に立つのか?」
というテーマについて、
先行研究や理論などを集めていたのでした。
今日はその論文等からの学びを
皆さまにご共有させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは、
【「経営理念は何の役に立つの?」を、理論から紐解いてみた】
それでは、どうぞ。
■企業には
「経営理念」
と呼ばれるものが
掲げられていることが多いです。
その呼称は、
・企業理念
・社是
・使命
・フィロソフィー
・目指す企業象
・創業の精神
・クレド、Way、スピリット、企業指針…
など、実に様々。
■「経営理念」の定義も、
研究者によって様々ですが、
多くある経営理念を類型化してみると
以下のようにわけられる、
なんて話も。
(早速マニアックですが、
以下のようなお話です)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【経営理念の3つの類型】
1,自戒型
(経営者自身の行動上の自戒と、後継者に手本を示すもの。
自らの姿勢と言動を強く語る)
2,規範型
(社員を統率するためのもの。
内部管理・内部統制用の性格が強い)
3,方針型
(企業の使命、経営戦略、方針
企業が直面している諸問題について社会に訴える性格を持つもの)
(鳥羽・浅野.1984)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのことです。
■うーん、色んなパターンで
経営理念が語られているのですね。
ちなみに、
”企業規模が大きくなるほど、
「3、方針型」の割合が高くなる”
傾向があるそうで、
考えてみれば、
”自社の存在意義・価値観を打ち出すことで、
従業員を『統合』していく”
ことは、
「経営理念の王道」の使われ方と
言えるようです。
■さて、そんな経営理念。
実際にどのような
「機能と効果」があるのでしょうか?
そのことについて、
先行研究では以下のような
機能や効果がある、と述べております。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【経営理念の機能と効果】
<1、内部統合機能>
◯成員の動機づけ機能
・組織の方向性や行動の拠り所となるものを示し、
職務への取り組みを動機づける
◯成員の統合機能
1) 一体感の醸成機能:
組織内に共通の価値観を持つことで一体感を醸成し、
相互の信頼関係を創り出す
2)指針機能:
経営理念というバックボーンにより
内部の間違った考え方を是正する
<2、外部適応機能>
◯自社活動の正当化機能
・社会に向けて組織の存在意義や
未来の方向性を示す
◯環境適合機能
1)適合・存続機能
社会やステークホルダーとの信頼を形成し、
経営価値と社会価値を一致させることで組織を存続させる
2)活性化機能
組織を活性化させるトリガーとなる
(北居・松田、2004)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
…とのこと。
■論文なので書き方が
やや堅苦しい気もしないでもないですが
読み解いてみると、
確かにそうだよなあ…
と表きます。
■そして、実際に、
「経営理念の浸透」を行なうと
主に2つの効果があることがわかっています。
それは、
・「内発的モチベーション」が高まる
・「職業的アイデンティティ」が高まる
という2つの効果です。
※職業的アイデンティティとは・・・
職業人として自分はとのように仕事とかかわっていくのか
職業を通して自分らしさをいかに育んでいくのかという
社会に対する公的な自己定義、とされています。
■そして、それらの
内発的モチベーションや
職業的アイデンティティが高まると
それに続いて
1)組織市民行動(自分の職務の範囲外の望ましい行動をする)
2)顧客満足への影響
があることもわかっている、
そんな風に数珠繋ぎのように
良い影響が派生していく…
というのが、
「経営理念にまつわる先行研究と理念」
のお話でした。
■…と考えたときに、
”「経営理念」は
なんとなく大事だから”
だけではなく、
このような
・経営理念の「定義」
・経営理念の「機能や効果」
・経営理念の「影響」
を理解した上で
経営理念浸透の施策も実施をしていく。
…とすると、
きっとより多くの人を
巻き込んでいくこともできるだろうし、
やるべき意味にも、
説得力を持てるのではないだろうか、
と思います。
■普段、つい
形式的にやってしまいがちなこと、
あるものですが、
「なぜなんのために行なうか」
「どういう効果を期待して
どのような根拠で行なうか」
など、とても大事なことだろう、
大事だなあと思った次第。
※本日のお話は、
廣川佳子,芳賀繁(2015).国内における経営理念研究の動向
の論文を参考に記載いたしました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
今日の産業社会に
理念のないことが最大の問題である。
ピーター・ドラッカー
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