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2804号 2021年10月25日

称賛データを用いた『ポジティブ1on1』の効果

(本日のお話 2253字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

さて、本日のお話です。

1on1やコーチング、
導入されている組織も多いかと思います。

その中で、

”『ポジティブ1on1』という
 お互いの称賛データを元に行う1on1”
 
ものがあります。

それは実証研究もされているのですが
その内容が非常に興味深いものでした。

本日はそのお話の共有と、
そこから思うことについて、
皆様にご共有させていただければと思います。

それでは参りましょう!

タイトルは、



【称賛データを用いた『ポジティブ1on1』の効果】



それでは、どうぞ。



■一般社団法人ピアトラスト×
 立教大学経営学部教授 中原淳氏 共同研究による


”強みの自己認知と意欲を高める
 『ポジティブ1on1』”


と呼ばれるものがあります。


これ、どういうものかと言うと、


1,相互称賛システム『ピアトラスト』で
  職場の仲間同士(Peer)が、
  
  アプリ上のメッセージカードで
  お互いの仕事ぶりを称賛しあい、
  働く人の信頼(Trust)のデータを蓄積する

そして、

2,1ヶ月分の称賛データをまとめた個人レポートと
  Peer Trust1on1ガイドを元に、
  月1回15分の『ポジティブ1on1』を行なう
  
 
というものです。


いわば、

”お互いの褒め褒めデータを肴に(?)
 1on1を行なう”

という話かと。



■そして、面白いのがここからです。


調査対象者416名に対して
実証研究をした結果、


「従来の1on1」と
『ポジティブ1on1』を比較すると

”有意に結果の差が出た”、

と説明されていたのでした。


以下、効果のまとめです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<従来の1on1と比較した「ポジティブ1on1」の効果>

1)私は、仕事上の強みをよく知っている → +8.4 pt.

2)私は、自分の強みを最大限に発揮できる方法を知っている → +10.1pt

3)私は、仕事に対して熱意を持っている。→ +11.3pt

4)私は、他の人からのフィードバックを
  積極的にもらおうとしている。 → +4.2pt
  
5)私は、自分の仕事に関して、いつもポジティブ思考である。 →+11.9pt

※引用:https://www.peer-trust.com/research/2020
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


…すなわち

称賛データを元にした
ポジティブ1on1を行なうことで、

・自分の強みの自己認知
・仕事への熱意
・仕事上のポジティブ思考
・フィードバックへの積極性

のポイントが有意に上がっている、

というお話です。



■これ、すごいことだと思うのです。


というのも、

「フィードバックを求めること」は

効果的な能力開発の手法として
知られています。

他者からどう見られているのか(=客観的自己認識)を知り、
そして自己認識を高めることは、

リーダーシップを開発するために
重要な行動とも言われています



また

「強み」についてもそうです。

・自分の強みを知っている
・自分の強みを最大限に発揮できる方法を知っている
・仕事に対して熱意を持っている

もポジティブ1on1では
ポイントが上がっていますが、

”強みにフォーカスをすることは
 エンゲージメントを高め、
 生産性や顧客満足等に影響を与える”

こともわかっています。(Gallup調べ)



■ゆえに、この


「『ポジティブ1on1』の効果、
 実に素晴らしいものだなあ」
 
 
と一人、なんとなく
嬉しくなっていたのでした。



■…というのも、

こと1on1等を行なうとき、

”部下のできていないところが
 目立って見える”

ことが多いと思うからです。


確かにできていることもある。

しかし、それ以上に

「ここもうちょっと
 頑張ってほしいんだけどな」
 
「また前と同じミスをしたな」

など、

”出来ていないところ”が
(残念ながら)際立って見えてしまうものだし、

それが記憶に残ってしまったりすると、

1on1でもやはり、
無意識に出来ていないところに
フォーカスしてしまう…

なんてこともあるのではないか、

と思うわけです。



■…しかしこういった
ポジティブ1on1のデータがあると、


「”称賛データ”を集めること」


で、良い点の観察をすることを
補うことができますし、


「”称賛データ”を元に
 1on1を行なうこと」


で、必然的に
部下の良い点にフォーカスをした対話になるため、
前向きに取り組むことができそうです。


・本人が1ヶ月分の”称賛データ”を
 聞けることが楽しみになる、

なんてことも
あるかもしれませんし、

・「もっと周りに役に立てるよう頑張ろう!」
 と役割内外の望ましい行動をしようという動機づけ
 
になる可能性もありそうです。



■「美点凝視」、という言葉があります。

読んで字のごとく

”美しい点を凝視すること”

です。

良いところを見つめて、
そこを伸ばしていく。

シンプルですが、
先程のデータでも示されたように
実に効果的な関わり方です。



これまでは

「何度も叩かれて這い上がる」

という昭和的な考えも
あったかも知れません。


しかし、研究が進み

「相手の良いところを
 元に対話をしたほうが良い結果につながる」
 
ことがわかっているのであれば
取り入れる価値はあるのではなかろうか、

と私は思います。



■”出来ていないところ”は
そのままにしていても見えます。

ですが、人間、
”出来ていないところ”を
中心にフィードバックをされると

それがその通りだったとしても、
否、それがそうあればあるほど、

「痛みがある」

のも事実です。

受け取るのは、簡単ではないのです。


だからこそ、

”称賛すべきところ”

は意識してハイライトする、

そうすることで
丁度バランスが取れて、
結果的により望ましい姿に近づける

…そのようにも思います。



■ということで、


”1on1をやる際
「ポジティブ」な視点で行う”


こと大事にしたいものだ、
と思った次第。


そしてこの「Peer Trust」のサービスも、
とても魅力的だなあ、と思いました。

よい1on1は、よい観察から、

ですからね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
私は社員をほめて、ほめて、ほめ抜く。
そうすることによって、ほめられた人はよりレベルの高い自分に
チャレンジするのです。

リチャード・ブランソン(ヴァージングループ創業者/1950-)

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