「理念経営の実践」は、企業パフォーマンスにどう影響しているのか
(本日のお話 2105字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
さて、本日のお話です。
最近「理念経営の実践」について
大学院でもテーマとしていることから
色々と論文を読む機会も
増えております。
今日は上記のお話について、
とある論文からの学びを
ご共有させていただければと思います。
それでは早速参りましょう!
タイトルは、
【「理念経営の実践」は、企業パフォーマンスにどのように影響しているのか】
それではどうぞ。
■「経営理念」の大切さは、
しばしば耳にするものですね。
例えば、
・何のために我々が存在するのか?
(経営理念、ミッション)
・どのような未来を我々は実現するのか?
(ビジョン)
・そのために何を行動として大切にするのか?
(行動規範)
等、呼び名は違えど、
会社には存在しています。
そして、それらを
細かく規定している会社もあれば、
そうではない会社もあります。
また、それらを
事あるごとに振り返る会社もあれば
そうではない会社もあります。
■では、
”「理念経営」を実践している会社と
実践してない会社”
では、企業のパフォーマンス(業績)に
どのような影響があるのでしょうか?
つまり、
”「理念経営」とは、経営に資するのか?”
ということで、
もっと露骨に言えば
”「理念経営」で、儲かるのか?”
というお話。
(もちろん経営は利益だけではありませんが、
利益がなければ継続も出来ませんので)
■このことについて、
ある論文がテーマにあげており、
その内容が興味深いものでした。
※本日の内容は以下論文を
引用・参考にしています。
北原和成『企業における経営理念と企業パフォーマンスとの関係』
この研究では、
1,売上高営業利益率 上位企業2社と下位企業2社を
28業種ごとに抽出
2,経営理念と企業パフォーマンスとの関係について、
データによる実証分析
を行いました。
ちなみに「経営理念」のメリットは
・企業が継続的な活動を行う上で
「経営理念」は従業員の求心力を高めるため
・不正を容認する企業風土を避けるため
にも注目すべき要素として
考えられているものですが、
実際、どのような影響があるのか
あまり明確にはなっていない、
では、解き明かそうではないか、
…というのが
研究の目的とのこと。
■そして論文の筆者は、
以下のような仮説を立てました。
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<経営理念に関する仮説>
”経営理念に
・行動を規定する要因を入れ、
・3段階以上の経営理念を有し、
・経営理念の提示方法を個別にしている
「理念経営の実践」企業は
そうではない企業と比較して企業パフォーマンスが高い”
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
■そして分析したところ、
以下のことがわかりました。
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<仮説に対する分析結果>
1)「経営理念の有無」:
利益率上位企業のほうが、利益率下位企業より
「経営理念」を持っていた
2)「行動規定要因の有無」:
利益率上位企業のほうが、利益率下位企業より
「行動を規定する経営理念」を持っていた
(※行動指針などを定めている)
3)「段階性の有無」
利益率上位企業のほうが、利益率下位企業より
「経営理念の段階」が多かった
(※ミッション、ビジョン、行動指針のように、
段階的に経営理念を持っている)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
つまり、
”利益率上位企業は
「理念経営を実践」している割合が高い”
と、この研究の中では言えた、
ということ。
じゃあ、
「理念経営をすれば、利益があがるか?」
という逆の相関については、
ここでは触れていないようですし、
それ以外の要素が多分にあることが
推察されるため、わかりません。
■しかしながら、
”28業種の
売上高営業利益率 上位企業2社と下位企業2社”
を理念経営の実践状況から差が見られた、
ということは興味深く、
「経営理念の大切さ」を
感じさせられる、
と私は感じました。
■この論文は、
業界の上位2社等であり、
四季報を元にデータを抽出しているため、
「大企業における研究」
です。
中堅企業、中小企業については
また別の話になってくると思います。
ゆえに、
「理念バンザイ!」
「理念さえあれば何でもOK」
みたいな雑な話ではありません。
(当たり前ですけど)
■ただ、組織が大きくなるほど、
”何を目的に、何を大切にして、
自分たちがこの会社を継続しているのか”
を皆が考えるための言葉、
考える機会というのは重要であり、
利益率が高い企業の、
一つの要因としては考えてもよいのかな、
と私は思いました。
■そしてこの論文を読みつつ思ったこと。
今、
・リモートワークも増えて、
組織内の人と人の関係も
変化をしてきたこと
あるいは
・100年時代、と言われるように
キャリアも組織内で必ずしも積み上げるものではない、
という考えも拡がってきたこと(特に若手において)
そんな中で、
”なぜ何のために会社が存在するのか”
”なぜ我々は共にいるのか”
は、働く人の心を引きつける磁石のような
求心力の一つであろう、と思いますし
また仲間を仲間たらしめている
大切なものなのであろう、
とも思います。
…とすると、
時代が変化して、
ずっと働き続けるとは限らない今だからこそ、
”経営理念を言葉にする”
ことは大切なのだろう、
と思った次第。
■改めて、私も零細企業ながら、
関わっていただく方もいる中で、
「何のための会社なのか」
を考えていきたい、と
思った次第でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
さあ、諸君。
のちに世界中が語ることになるかもしれない何かを、
今日しようではないか。
カスバート・コリングウッド(イギリスの海軍提督/1748-1810)
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