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『コーチングよりも大切な カウンセリングの技術』

今週の一冊『コーチングよりも大切な カウンセリングの技術』

2817号 2021年11月7日

(本日のお話 2238字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日、土曜日は終日大学院の授業。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は

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『コーチングよりも大切な カウンセリングの技術』

小倉 広 (著) (日本経済新聞出版)


====================

です。

■先日、コーチングを習っている妻が

「最近、自分にはコーチングよりも
カウンセリングのほうが必要かも」

とふと漏らしていました。

何かあったんだろうか(汗)と思いつつ、
その心を聞くと

「まず自分の気持ちを落ち着かせる、
平穏な気持ちでいることが
何より大事だと思うんだよね」

とのこと。

■仕事やら大学院やらで、
あまり妻自身のフォローを
していなかったかも、、、

と反省の気持ちを持ちつつ、

そんな彼女の言葉には、
何やら説得力のようなものを感じ
私も手にとって読んでみた一冊でした。

■、、結論ですが、
とても内容の濃い一冊でした。

なんとなく

”カウンセリング”

なんていうと、精神療法とか
メンタル的なイメージがあるかもしれません。

しかし、

ここで語られている内容は、
そういった治療が必要なものというより、

”普通に仕事はできるんだけども
何かしらのモヤモヤを抱えていて
エネルギーが発揮できない”

という、私達がよく感ずる感情に
寄り添うような技術を言っています。

つまり、

”「部下を持つ上司」が
本人がイキイキ働けるようにサポートする技術”

としてカウンセリングを
紹介しています。

■ちなみに、

ここで語られる「カウンセリング」が
一体、どういう意味なのか、

そして、しばしば使われる

・コーチング
・ティーチング
・カウンセリングと

どのように定義を使いわけて、
その効果を語っているのでしょうか?



書籍によると、
以下のように定義をしています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【コーチング・ティーチング・カウンセリングの定義の違い】

<コーチング>

・「目標達成」を主な目的とする

・「傾聴・質問・承認」の技術を用いる。

・「部下」が主体に考えさせ、問題解決を促す。

<ティーチング>

・「知識、技術の伝達」を主な目的とする

・「指導」の技術を用いる。

・「上司」が主体となり、部下にやり方を教える。

<カウンセリング>

・「気づきによる全人格的成長」を目的とする。

・「受容・共感」の技術を用いる

・「部下」を主体に考えさせる。
問題解決は必ずしも行わない。

※本書を参考にまとめ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

、、、とのこと。

■つまり、カウンセリングは、

・目標達成を意図しない
・受容共感を大事にする
・問題解決は必ずしも行わない

という、

心に寄り添い、受け止める、
そんな対話の技術となります。

■あくまでも、
本書での定義ではあります。

コーチングもカウンセリングも、
色々な流派がありますので、

カウンセリング的な内容が含まれる
コーチングもあります。

■しかし、言わんとすること、

すなわち、

・ネガティブな感情(不安・不満・怒り等)があり、
エネルギーを発揮できていない

・そのことによって、
仕事のパフォーマンスも下がっている

・結果、1on1やコーチングで
目標設定をしようにも、どうにも集中できない

という状況を想定したときに、

「感情を受容し・共感し、
まず消化させていく」

ことはまず最初にやるべきことではないか、

というのは説得力を感じます。

■ゆえに、

「コーチングより大切な
カウンセリングの技術」

と題しているわけで、

「まずカウンセリングで
それからコーチングである」

と主張することに、

本書の軸とする主張を感じました。

■人は感情の生き物です。

気持ちが充実しているから
頑張ることも出来るのです。

だからこそ、

”「目標達成」より以前に

「感情が安定」しないければ、
力を発揮することはできない”

のです。

■コーチングのスキルとして、

「GROWモデル」

というコーチングサイクルと
呼ばれるものがあります。

内容は、

G(Goal/目標):目標を明確にして

R(Reality/現状):現状を明らかにして

O(Opportunity/選択肢):ギャップを埋めるための選択肢を考え

W(Will/意思):自分がどうしたいのかを決める

そして、

目標に向けて行動することを促す

というものです。

■しかし、

たとえ1on1、コーチングを行い
「GROWモデル」を活用しようと思っても、

部下自身が

・チーム内で不公平感を感じていて
モヤモヤしている

・人事異動が納得できず
上司に対して不満を抱えている

・家族でゴタゴタが起きていて
落ち着かない気持ちである

などを抱えていたとしたら

「目標を達成しよう」などと
考えることが出来ない

、、、となるのでしょう。

■内容は、

前半が、具体的な事例をマンガで描き、
その後シーンを詳しく解説をしていきます。

後半は、カウンセリングが重要とする理論や
心理学の背景を解説する、

という構成になっています。

ゆえに、

具体例と理論の双方を押させており
非常に説得力がある内容となっています。

■本書では、

コーチングについて
やや狭義の意味に留めているようにも
思うのが気になるところではあります。

ただし、

”部下の力を対話で引き出す”

という意味で、

1on1やコーチングなどを、
仕事で活かしていきたい上司の方には
参考になるかと思います。

■”人をマネジメントする”とは、

・その人そのものに関心を持つ

・その人の悩みや葛藤も含めて
支援をしていく

こと。

人を支援する難しさ、奥深さを
感じさせられる一冊です。

ご興味がある方は、ぜひ。
自戒を込めて。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『コーチングよりも大切な カウンセリングの技術』

小倉 広 (著) (日本経済新聞出版)


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