メールマガジン バックナンバー

2823号 2021年11月13日

「フィードバックミーティング」のお作法(後編) ~フィードバックの手順 10の留意点~

(本日のお話 2007字/読了時間2分半)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は
「フィードバックミーティング」について
お話をいたしました。

フィードバックミーティングの
定義とは、

1)コンサルタントが行ってきたデータ・分析結果を
2)オーナーとステークホルダーが一同に集まり
3)フィードバックされる会であり
4)データと経験に基づく対話を行いながら
5)課題解決のアクションプランを練る会

とお伝えしました。

そして、
このミーティングを適切に行なうことによって、
必要な人を巻き込んだ人・組織づくりの施策に繋がる
というお話でございました。

本日は後半。
早速参りたいと思います。

タイトルは、



【「フィードバックミーティング」のお作法(後編)
 ~フィードバックの手順 10の留意点~】



それでは、どうぞ。




■パートナーとして一緒に
組織開発に関わっている大先輩が、

組織にフィードバックを行なう際の
ポイントについて語っていました。

その方の場合、

”フィードバックのまとめを
 事前に目を通していただく”

という手法を主に使われるとのこと。


■その方いわく、

「フィードバックのまとめを送るときは、
 ラブレターだと思って送る」
 
とのこと。



すなわち、

「相手に対して”愛情”を込める」
ことはもちろん

「相手がその文章を読んだ時、
どのような気持ちになるのか」

を、めちゃくちゃ想像して
フィードバックのレターを作成する、
とのこと。


それくらい、
感性のアンテナを最大限伸ばして
実施をすることが大事なのだ、、、

とその話を聞いて
感じたことを覚えています。



■でも、言われてみれば
そうなのですよね。

他者のデータであれば
別にそんなに気にしません。

、、、でも、
皆様自身想像したとき、
それが、こと

「”自分たち”について
 語られているデータ」
  
だと、俄然気になります。
内容にも敏感になります。

だって、

・嫌なこと言われたくないし、

・ネガティブな回答は傷つくし、

・何も知らない他者からあーだこーだ、
 言われたくはないし、

・そのデータ自体の正当性、
 調べ方だって疑いたくなるし

・調査や企画をした背景などにも
 疑念を持ったり、

しちゃうものです。



■だから、こと
外部コンサルタントが、

「データ分析結果を伝える」
なんてシーンでも、

複雑かつ繊細な心理が
相手の中にある(可能性がある)と
重々認識して進める事が重要、

となるわけです。



■では、具体的にどのようなプロセスで
「フィードバック」を行えばよいのでしょうか?

ポイントは、
以下の通りでございます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<フィードバックの手順 10の留意点>


1)ねぎらい・感謝から始める

・時間をとってくれた感謝
・いつもありがとうのねぎらい


2)ポジティブデータ→ネガティブデータ

・最初からダメ出しだと心のシャッターが降ろされる
・データを受け取ってもらうためにポジティブ面から入る


3)ネガティブデータの提示

・正しいことをいうときこそ、慎重にになる
・「良いことを持続可能にするために見直しましょう」という言い方


4)量的データで「全体像」、質的データで「ストーリー」

・アセスメント等の量的データでは全体像の傾向を
・インタビュー等の質的データではナマゴエのストーリーを伝える
 
 
5)事実と解釈をわける

・コンサルタントの意見と解釈をわける
・べき論を避ける


6)決めつけない

・データについて
 クライアントに解釈を委ねること


7)データを全部出さない、要点を絞る

・クライアントが解釈できるようにデータを絞る
・ただし、勝手に捻じ曲げたり、歪ませないこと


8)信頼性のある納得度の高いデータを用いる

・正確なデータを伝える
 =確実な行動を導くことができる


9)わかるデータと、考えさせるデータ

・複雑な表などは用いず、わかりやすい図を用いる(%、棒グラフ)
・ベンチマークを用いて、ズレを作る


10)タイムリーにかえす

・データは集計・分析されたらすぐにフィードバックする
・情報の鮮度があるため、メンバーが分析する動機が湧く


※Anderson, D.A(2015) Organization Development 3rd Edition
  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)



■これ、本当にその通りだな、、、

と私自身のこれまでの
フィードバックミーティングを振り返り、
自戒の念を込めて思いました。


どれもが揃っていないと、
参加される方に、どこか腹落ち感がないことあるな

と振り返り思ったのでした。



例えば、

・質的データのみで
 量的データがないのでないと
 どうも課題の全体像がしっくり来ていない
  
とか、

・インタビューから間が空いてしまって
 メンバーが不安になってしまった

とか、

・比較データがないゆえに、
 自分たちの現状が良いか悪いか、
 対話がしづらい
 
、、、などもありました。

(反省です)



■もちろん、

どのような組織開発を行なうかにも、
色々な種類があります。

かつ、活用できるデータも
限りがあることもあるものです。



しかし、上記のような

フィードバックの手順の
定石を踏まえておくことは、

安定したフィードバックミーティング、
そしてそれに続く質の高い介入のためにも
とても大事なことであろうな、

と思うのでした。



■改めて、

”人づくり、組織づくりとは
 ナマモノである”

と思います。

そこにいる人の
気持ち、こだわり等を含め

使うデータ
伝える言葉
あり方

を含めて、周到な計画と
向き合う姿勢が重要である、

そのことを考えさせられた次第です。

自戒を込めて。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。


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<本日の名言>

相手と意見が食い違う時は、敵意を剥き出しにしないで、
相手を敬愛している気持ちを、
表情にも行動にも言葉にも表すよう、努めることだ。

ポール・ダグラス(米国の政治家/1892-1976)

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