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2853号 2021年12月13日

自己嫌悪はメリットがある、は本当か

(本日のお話 1869字/読了時間2分半)

■こんにちは。紀藤です。

事あるごとに思うのですが、
「自尊心」はとても大事です。

自尊心の定義とは

”自分自身に対する現実的で
 好意的な見方”
 
とされています。

そして、その逆は

「自己嫌悪」(自分なんて価値がない)

と思う心となります。


今日はこの「自尊心と自己嫌悪」について
興味深いお話がありましたので、
皆さまにご紹介させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、



【 自己嫌悪はメリットがある、は本当か 】



それではどうぞ。



■「自尊心」が大切であることは
誰もが感覚的には理解しつつ、

どうせ自分なんて・・・と
「自己嫌悪」を選んでしまうことがあります。


しかし、自己嫌悪を選んでいる人は
総合的にメリットがあるから
無意識に選んでいるというメカニズムがあります。

今日はそのメカニズムを見ることで、
自己嫌悪を無意識に選んでしまう方は、
それを意識的にコントロールできるようになりましょう、

というお話をいたします。



■まず、

”自己嫌悪の逆である
「自尊心」を持つことがなぜ大切なのか”

を見ていきたいと思います。

”自尊心は、世界中で生活の全般的な満足感や
 幸福感と深い相関関係を持っている”
 
と言われています。

1992年に行われたギャラップ社の調査によると

・89%の回答者が、自尊心は人が懸命に努力し成功するために、
 非常に重要な動機づけになると答えた

・自尊心は動機づけとして他のどんな変数よりも
 上位にランクをされた

とあります。

また、Coopersmith(1967)は
 
・自尊心を持つ人の方が有効的で、感情を素直に表現し
 行動的であり、自分と他者に信頼感を持ち、
 内面的な問題や批判にわずらわされない傾向があった
 
としました。



■しかしながら、

この「自尊心」を持ったほうがよい、と
頭ではわかっていつつも、

その逆である「自己嫌悪」を
意識的、無意識的に選んでしまうことがあります。


自尊心を形成する要因は、

・健康状態(運動・睡眠・食生活)
・教育環境(自尊心を持つ親の子供は自尊心が高い)
・自分のとる行動、スキル
・性格特性、才能
・他者からの受容

等があるといわれ、
一つの要因に絞って語ることは難しいです。



■では、どのように

「自己嫌悪ではなく、
 自尊心を確立すればよいのか」

について考えたいと思いますが、

そのための第一歩として、
”自尊心をあえて確立しない理由”について
興味深いお話があるのです。

それが

『自己嫌悪のメリット』

といわれ、その例として
以下挙げられています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<自己嫌悪のメリットの例>

・リスクがない。つまり、私自身も他の人も、
 私に期待をかけないので、怠けることができる。
 
・目標も低くおけば良い。そうすると、私のことも
 他の人のこともほとんど失望させずにすむ。
 
・世界が予測可能である。
 自分自身を受け入れていないので、
 周囲の人が私を受け入れなくても理解できる。
 私は何にも挑戦しなくていい。
 
・少なくとも初めのうちは、同情や注目を得ることがある。


※参考:『自尊心を育むワークブック(第2版)』より

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

自己嫌悪を持っていれば、
「諦め」の代わりに怠けることができる。

期待もしないし、させないから、
世界が予測可能で、ある意味安心となるわけです。



■しかし、一方、

上記の「自己嫌悪のメリット」を享受している一方、
大切なものを失っている(デメリットを見ていない)

可能性があります。


自己嫌悪のデメリットとは、

・強い苦痛を感じる

・人生が面白くない

・心身症や病気につながる

・悪循環を引き起こす。つまり、自分に対する評価が低いため、
 挑戦しようとしない。そうすると周囲の人が私を粗末に扱うようになる。
 周りが私を軽んじることが、低い自己評価の裏付けとなり強化される。
 
等になります。



■自尊心が大切といいながらも、
自己嫌悪を選んでしまうメカニズムは、

”自己嫌悪のメリット・デメリットを
 正しく分析できていない”
 
場合があります。


自己嫌悪のメリットだけ見て、
デメリットを正しく評価できていない、

結果、短期的な予測可能性、安心感のために
自分自身の可能性を自分で奪っている、
自分で自分を傷つけている可能性があります。



■何かの行動には、
合理的な理由があるものです。

しかしその合理性は
近視眼的なものであったり
一側面からしか見ていないことも
あるのかもしれません。


「自己嫌悪」とまではいかずとも、
近しい思考状態というのは、
誰しもが持っている可能性はあるかもしれない、
(私を含め)

とのことでご共有をさせていただきました。

ご参考になれば幸いです。

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<本日の名言>

自分がみにくいアヒルだと思っていたころは、
こんなにたくさんの幸せがあるなんて、思ってもみなかった。

アンデルセン(デンマークの童話作家/1805-1875)

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