今週の一冊『働くことのパーパス』
(本日のお話 2156字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
さて、毎週日曜日は
お勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は
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『働くことのパーパス』
ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 (編集)
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です。
■働くことの目的(パーパス)とは何か。
時代は変わってきていて、
生きるため、食べるためだけに働く、
という考えは、
前時代的なものになりました。
”個人の人生の目的と
会社における仕事の目的を、
いかにすり合わせるかという問いが、
働き方の変化が起こる中で
大きなトピックになっている(本文より)”
とあるように、
働くことのパーパスが
組織運営においても注目されてきました。
今回ご紹介の一冊は
「ハーバード・ビジネス・レビュー」
(ハーバード・ビジネス・スクールの教育理念に基づいて、
1922年、同校の機関誌として創刊され、
エグゼクティブに愛読されてきたマネジメント誌)
から、上記のテーマでの
有用な論文を抜粋したものです。
それで一つの特集が組めるくらい
重要なテーマである、
とも言えるのかもしれません。
■さて、ちなみに
「働くことのパーパス」が
なぜ注目されるようになったのか。
それには2つほど理由がある、
と本書の序文で語られます。
*
まず
「1)価値基準が多元化し、
全員共通の良いものがなくなったこと」
とのこと。
一昔前の日本型雇用における
・企業内のキャリアパスが明確に存在
↓
・給与とポジションによる権力・名声が
階段を上がるにつれて高まっていく
↓
・よって仕事におけるゴールは
自分で設定をする人はなかった
という状態を
皆がどこか共通理解として
思っていた全時代。
インターネットを通じて、
個人が自分なりに情報を集め
必要な仕事を見つけ、
選択するインフラが整いました。
■そして次に、
「2)社会の成熟化が進み、
ビジネスにおいても、金銭的報酬と同じくらい
やりがいや働きがいなどの意義が重要になってきている」
といいます。
曰く、
・社会が成熟化すると人は生存欲求よりも、
その個別の意味=文化的欲求を求めるようになる
・インタネットネイティブ世代、
いわゆるZ世代には、金銭的報酬の最大化よりも、
自分がやりがいを感じられる仕事に優先順位を置く
(『文化進化論』ロナルド・イングルハートより)
とされており、
日本の社会は世界では北欧について
経済覇権を争っている中国や米国よりも
社会の成熟化が進んでいる、
とも言われています。
■しかし、現状はどうか、というと
「Q、あなたは生きがいを感じていますか?」
という質問については
約76%近くの人が
YESと答えることに対して、
「Q、あなたは今の仕事に
働きがいを感じていますか?」
という質問については
ガクッと下がり”30%以下”になる、
という統計もあるとのこと。
つまり、
仕事のやりがいが
自分自身のいきがいと繋がっていない、
という現状も透けて見えるようです。
■では、どのようにして
著書のタイトルの
『働くことのパーパス』
を個人が見つけ、
そして仕事において
実現することができるのでしょうか?
*
この問いについて、
厳選された論文が答えの示唆を
与えてくれます。
以下、本書に含まれる
論文のタイトル・著者を
一部ご紹介いたします。
・「仕事への情熱を失ったら、四つの方法で乗り越える」
(アンディ・モリンスキー/ブラインダイズ大学インターナショナルビジネススクール教授)
・「パーパスは見つけるものでなく、自らつくるものである」
(ジョン・コールマン/著述家)
・「「天職」ではない仕事に意義を見出す方法」
(エミリー・エスファニ・スミス/著述家)
・「仕事もキャリアも人生も、パーパスがなければ輝かない」
(ダン・ポンテフラクト/ポンテフラクトグループ創業者兼CEO)
・「目的を成果につなげる「パーパス・ステートメント」」
(ニック・クレイグ/オーセンティック・リーダーシップ・インスティテュート プレジデント
スコット・スヌーク/ハーバード・ビジネス・スクール准教授)
・「部下がパーパスに目覚める五つの質問」
(クリスティ・ヘッジス/ザ・ヘッジス・カンパニー社長)
など、
大学の教授、著述家、経営者などが
考え方の示唆を提供してくれます。
■一週間に働く時間を
35~40時間とすると、
生涯で働く労働時間は
「80,000時間以上」
となります。
そうすると、個人としても
そこから給与以外の何を得るのか、
を考えることは、
やはり重要な問いだと思われます。
また、これまで
グローバルスタンダードであった
株主資本主義であり、
利益の最大化という考えが、
気候変動、持続可能性への懸念による
SDGs、ESG等の価値創造も
求められるようになりました。
つまり、
企業に求められるものが
「経済一本足打法」
だけではなくなっている、
とも言えます。
そうすると、
企業のパーパスもより
明確にする必要があり、
加えてそこにベクトルをあわせる
個人のパーパスも求められてくる可能性は
ますます高まるのではないか、
そのようにも感じます。
■ということで、
「働くことの目的(パーパス)」
を考えてみたい方は
参考になるお話が満載かと思います。
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<今週の一冊>
『働くことのパーパス』
ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 (編集)
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