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2869号 2021年12月29日

「問い」の7つの基本性質

(本日のお話 2156字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

少し早めの冬休みを頂いております。

たまっている積読本があるので
それを読み終えたいと密かに燃えております。



さて、本日のお話です。

全国20万人のHRパーソンの投票による
人と組織の成長を促す取組みを表彰する
「HRアワード」なるものがあります。

今年の2021年、書籍部門で
最優秀賞を受賞した書籍が、


『問いのデザイン -創造的対話のファシリテーション』
安斎 勇樹 (著), 塩瀬 隆之 (著)



ですが、

その内容がわかりやすく、
感銘を受けておりました。


全体像を言葉にしづらく
それぞれの人の暗黙知となりがちな

・課題のデザイン
・プロセスのデザイン

を誰もが真似できるような形で
言語化していただいている一冊です。



今日はその内容からの学びを
皆さまにご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは、



【「問い」の7つの基本性質 】



それでは、どうぞ。



■「問い」とは何か?

人材開発に関わる人でも、
あるいは仕事をする上でも、
しばしば使われる言葉。



私自身、ワークショップ
(参加者主体の体験型のイベント)を
運営するときには、

この「問い」の重要さを
毎度のこと、感じさせられます。

「問い」の良し悪しによって
皆さんの参加度合い、引き込まれ方が
大きく変わってくると感じるからです。



■以下、著書より引用しつつ、

「問い」が持つ力の
例を考えてみましょう。

例えば、カーナビの会社で

「”新規事業”について考える
 ワークショップ」

を行ったとしましょう。

そこでは参加者(社員)が複数名集まり、
ファシリテーターが主題となる”問い”を投げかけるとします。

ある”問い”方は

「人工知能時代にカーナビは
 どうすれば生き残れるか?」

という”問い”だったとします。

そして別のバージョンでは

「自動運転社会の
 どんな移動の時間をデザインしたいか?」

という”問い”だったとしましょう。



■それぞれ参加者に投げかけた場合、
上記のいずれもが、

「未来に向けた
 新規事業に関連した”問い”」

という方向性では同じだとしても、
出てくる答えは違ってくるでしょう。

(=問いによって導かれる答えは違ってくる)


また、”問い”によって

・発想の広がり
・ワクワク度
・自由度

等についても変化があるでしょう。

上記の例で言えば、

おそらく後者のほう(どんな移動の時間をデザインしたいか)
のほうが、思考にも幅が広がり、

感情的にもワクワクした雰囲気に
なりやすいものと思われます。

(=問いによる思考・感情への刺激がある)



■また、”問い”の立て方によって

皆が自分ごとと考えられたり、

「これは面白そうだ!」と
興味や衝動を駆り立てるものに
なったりしますし、

参加者同士の対話も活発になり、
創造的な場になることでしょう。

(=問いは、集団のコミュニケーションを誘発する)



■そして、

参加者同士の対話の中で
多様な意見が交換される中で、

「へー、そういう
 考え方もあるのか!」

「なるほど、そのアイデアは
 面白そうだ」
 
「自分は違う意見なんだけど
 どうやら自分のほうが少数派なのか?」
 
などなど、

自らの前提の価値観や、
考え方が揺さぶられる、

ということもあるわけです。

(=対話を通して問いに向き合う過程で、
  個人の認識は内省される)



■さらに言えば、
”問い”による対話を通じて、

お互いの考え方や価値観の違いが
明らかになってくると、

「集団の関係性」

にも影響が出てきます。

なぜ、その人が
そのように「行動」するのか?

その行動の水面下には、
その人の「思考」があり、

さらに深い部分には、
その人の「価値観(いわゆる暗黙の前提)」が
あるものです。


そして対話はその
”暗黙の前提”のズレについて

問いと対話を通じて、
お互いに溝を埋めることに繋がります。

(=対話を通して問いに向き合う過程で、
  集団の関係性は再構築される)



、、、などなど、
実に多様な効果を持つ問い。



■私自身(紀藤)の経験ですが、

コーチングやワークショップで
参加する側、運営する側いずれにせよ

「問うこと」

とは、思考のスイッチを押す、
実にパワフルな力を持つと感じます。

たった一つの”問い”が
自分のモヤモヤを解消する問いに
なることもありますし、

その”問い”によって、
集団がワクワクと躍動することもあります。

ゆえに、

”問い”の性質を理解し、
そして使いこなすことは

多様性が更に求められる現在、
必要な社会人基礎スキルでは、

とも感じるほどです。



■上記でご紹介した
”問いの特徴”はは一部ですが、
『問いのデザイン』の著書では、

”「問い」の7つの基本性質”

として、個々までの内容を含めて
整理されています。

以下、ご紹介させていただければと思います。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<「問い」の7つの基本性質>

1)問いの設定によって、導かれる答えは違ってくる
  
2)問いは、思考と感情を刺激する

3)問いは、集団のコミュニケーションを誘発する

4)対話を通して問いに向き合う過程で、個人の認識は内省される
  
5)対話を通して問いに向き合う過程で、集団の関係性は再構築される
  
6)問いは、創造的対話のトリガーとなる

7)問いは、創造的対話を通して、新たな別の問いを生み出す

※安斎 勇樹, 塩瀬 隆之『問いのデザイン -創造的対話のファシリテーション』学芸出版社、P39-40
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


■、、、ということで、まとめです。

”問い”とは、

・思考・感情を刺激し
・人々の対話を促し、
・個人の認識にも影響を与え、
・集団の関係性にも影響を与える。

そして、

・創造的な未来を作り出す

ことにも繋がる性質を持った
パワフルなツールである

というお話でした。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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<本日の名言>

発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。
新しい目で見ることなのだ。

マルセル・ブルースト(フランスの作家/1871-1922)

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