問題を捉える5つの思考法(『問いのデザイン』より)
(本日のお話 2361字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は茨城の妻の実家から
東京に戻ってまいりました。
また夜から新年一発目の
研修企画にミーティングでした。
*
さて、本日のお話です。
先日に引き続き、
『問いのデザイン -創造的対話のファシリテーション』
安斎 勇樹 (著), 塩瀬 隆之 (著)
より
問いかけの技法について
学びを共有させていただければと思います。
長らくこの本を取り上げさせて
いただいておりますが、
一冊の本には、
著者の経験を結晶化させるべく
練りに練った言葉や概念がまとめられています。
それらの経験を
自分でゼロから考えることは
難しくても、
一つ一つ精読していくことで
”自分のものとして消化させていただく”
ことは可能です。
(私は、理解力があまりある方ではないので、
こうしてメルマガなどでいちいち言葉にしないと、
書籍で書いてある内容を
深く理解することはできません。
という意味で、偉大なる先人に感謝しつつ、
今日も引用させていただきます)
それでは参りましょう!
タイトルは、
【問題を捉える5つの思考法(『問いのデザイン』より)】
それでは、どうぞ。
■一つの問題を考える上で、
「デッドロック状態」
になることがあります。
※デッドロックとは・・・
ゆきづまり、停滞、硬直状態の意
例えば、
「1on1の導入をするには
どうすればよいか?」
というテーマ(問題)が
あったとします。
しかし、1on1、1on1と頭の中で唱えたり
皆で豆粒を見るように1点を見て話をすると
新しい視点が得られずに
同じような議論を繰り返し、
同じ話を言ったり来たりする
…極端に言えば、
そんなイメージかもしれません。
■複数人で話をしていれば、
多様性がもたらす
集団ダイナミクスによって
話が硬直化するリスクは少ないものの、
もし一人であったとしたら、
それこそ思考パターンは
ワンパターンに集結しがちです。
ゆえに、
『問題の本質を捉える思考法』
を持っておくと、
対個人としても、
深く考えるべき問題に出会った際に、
有用ではなかろうかと思いますし、
あるいは、
人材・組織開発の担当者
マネジメントに関わる方であれば
組織で起こる問題の本質を
掘り下げる上で役に立つのでは、
と思います。
■ということで以下、
ご紹介させていただきます。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<問題を捉える思考法>
(1)素朴思考:
問題状況に対して素朴に向き合い、
問題を掘り下げていく考え方。
「素朴な疑問」というように、
「これってなんだろう?」「どうして?」と好奇心を持ち、
ふと湧き上がった何気ない疑問を投げかけながら、
問題の輪郭を掘り下げていく。
(例:そもそもなぜ1on1って何なのだろうか?
上手く言っている1on1には、どんなやり方があるのだろうか?)
(2)天邪鬼思考:
素朴思考とは逆に、目の前の事象を批判的に疑い、
”ひねくれた視点”から物事を捉える思考法。
合理的に正しいとされている意見を疑ったり、
多数派に同調せずにあえて反対したりすること。
※『デビルズアドボケート(悪魔の代弁者)』と、
ディベートであえて多数派に批判する人・反対する人のことを
呼びますが、似ている考えかと思います。
(例:別に1on1じゃなくてもいいんじゃないの?
他の施策を考えればいいのでは?)
(3)道具思考
「道具」(=自分以外の人・モノ・知識など)を活用して、
課題を定義するヒントを得る思考方法。
※ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキーは
人は「ひとりでできる領域」と
「他者の助けがあればできる領域」の差分を、
『最近接発達領域(ZPD)』と呼びました。
「他者の助けがあってできる領域」とは
”補助輪があれば自転車に乗れる”、みたいなもので
そこには「道具」(ここでは補助輪)の媒介があります。
道具思考は、自分(主体)が持っていない「道具」
(=関連しそうな知識、別の角度の専門分野の考え方)
を活用し、思考の枠を広げてみては、という発想です。
(例:1on1の専門家、他社の人事担当を招聘して
ディスカッションに加わってもらう)
(4)構造化思考
問題状況を構成する要素を俯瞰し、構成要素同士の
関係性について分析・整理し、問題を構造的に捉える
考え方のこと。
複雑な問題であればあるほど、問題を引き起こしている
要因には、複数の要素が絡んできます。
すべての要素に目を向けることが困難だったとしても、
適切な課題を定義するために、重要度の高い要素について
すべて外観し、要素同士がどのような影響をお互いに
与え合っているのかを確認しておくことです。
(例:1on1を導入するにあたっての、
仕事のアサインの偏り、マネジャーの負荷、
評価制度、報酬制度とのバランス、など
導入を阻害する要因とつながりを構造化する)
(5)哲学的思考
問題解決の場面において最も恐るべきことは、
視野狭窄になり、中長期的な視点や深く考える思考態度を
失ってしまうこと。
哲学的に考えるとは、
「さまざまな物事の”本質”を捉える営み」
とされており、
問いを共有する人たちと対話する中で、
「確かにそれ物事の本質かもしれない」という
共通理解に到達することを行います。
現象学で、このような洞察を『本質観取』と
呼ぶそうです。
(例:対話とは何か?
組織で働くとはどういうことか?
上司に求められることとはなにか?等)
※安斎 勇樹, 塩瀬 隆之『問いのデザイン -創造的対話のファシリテーション』学芸出版社
より一部引用、(※)と例は、著者作成・編集
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(ここまで)
■いかがでしょうか。
問題を捉えるときに、
私たちも様々な視点から
ああでもない、
こうでもないと考えますが
このように思考の捉え方について
分類分けをして、タグ付けをすることで
(1)素朴思考
(2)天邪鬼思考
(3)道具思考
(4)構造化思考
(5)哲学思考
をそれこそ「道具」として使うことで、
(まさに道具思考)
自分の発想にはなかった問いを
上手に投げかけることも可能になるのでは、
(まさに最近接発達領域ですね)
と思います。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人間は、その答えではなく、
むしろ問いによって判断せよ。
ヴォルテール
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