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2895号 2022年1月24日

「ジョブ・クラフティング」と「エンゲージメント」を紐解く

(本日のお話 2255字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

最近、人事関連でしばしば耳にする

「ジョブ・クラフティング」

なる言葉があります。

意味は、

・ジョブ=仕事を
・クラフティング=手作りする

ということで
”働きがい”にも関連する
注目されているようです。

本日よりしばらくこの
「ジョブ・クラフティング」について、

『人事のためのジョブ・クラフティング入門』
(川上真史 (著), 種市康太郎 (著), 齊藤亮三 (著) )


を題材にさせていただきつつ、
皆さまに学びをご共有させて
いただければと思います。

それでは参りましょう!

タイトルは、

【「ジョブ・クラフティング」と「エンゲージメント」を紐解く】

それでは、どうぞ。

■「ジョブ・クラフティング」なる言葉。

先程

「ジョブ・クラフティング」
=仕事を手作りする

とざっくりと訳してお伝えしましたが、
この定義をより正確にお伝えすると、

”個人が仕事のタスクや関係性の境界線に
物理的・認知的に変化を与えること”

※Wizeniewsiki,A&Dutton,J.E(2001)
Crafting a job: Revisioning Employees as Active Craffers of Their Work.

とされているようです。

自分自身で、

仕事の意味づけを変えるとか、
職場への関わり方を変えるとか、

そんな感じでしょうか。

■そして、具体的に

「ジョブ・クラフティング」を行うと、
以下の3つに変化があるとされています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ジョブ・クラフティングが変化させるもの>

1)仕事そのもの(を創意工夫する)

2)人との関係(を築く)

3)仕事の捉え方(を変え、意味や意義を見出す)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とのこと。

そして、上記
3つへ働きかけ方が変わると、

「ジョブ・エンゲージメント」が高まり
(=「職務・業務ののめり込み)

それがより上位概念の
『ワーク・エンゲージメント』を高めることへ
繋がっていく、と述べています。

■ちなみに、ここで
キーワードである、

『エンゲージメント』

について、
少し考えてみたいと思います。

エンゲージメントが高まると、

・組織コミットメント
・パフォーマンスの向上
・離職意思の抑制

などポジティブな行動や態度に繋がる、
(Schaufeli et al.,2002)

事がわかっています。

■一方、この

「エンゲージメント」

という言葉も、
なんだかふわっとしていて
わかりづらいものです。

なんとなく使っているものの、
改めて定義をすると、
一体どうなるのでしょうか?

■これも色々な捉え方がありますが、

ここでは『人事のためのジョブ・クラフティング入門』を参考に
考えてみたいと思います。



まず、エンゲージメントの範囲について。

『ワーク・エンゲージメント』
(=仕事全体へののめり込み)

が上位概念としてあり、
これを分解すると

・『ジョブ・エンゲージメント』
(=職務・業務へののめり込み)

・『エンプロイ(従業員)エンゲージメント』
(会社・組織へののめり込み)

と2つにわかれるのです。

例えば、

ジョブ・エンゲージメントが高く、
エンプロイ・エンゲージメントが低ければ、

「仕事はのめりこんでいるけど
会社にはのめりこんでいない状態」

と言えますし、
他社への離職のリスクも高くなります。

ゆえに、
ごっちゃに考えるのではなく、

「何にエンゲージしているのか」

を捉えることも大事と言えそうです。

■加えて、

「エンゲージメントの言葉の定義」

も考えてみたいと思います。

たとえば、一般に

”エンゲージメントとは、
「エンゲージメントリング=婚約指輪」からの
連想として捉えられるように
従業員と組織の結びつき・関係性である”

とする見方もあります。

しかし、著書では
エンゲージメントの語源は
正しくは、

engage in~ 仕事に従事する

であり、

”「仕事にのめり込んでいる個人の状態」を
エンゲージメントが高い状態と呼ぶ”

とするのが、正しいイメージのようです。

■また、もうちょっと突っ込んでみると、
研究の分野における

『ワーク・エンゲージメント』

の定義とは、
以下のように表現されます。

”仕事に関するポジティブで充実した心理状態であり
「活力」「熱意」「没頭」によって特徴づけられる。

エンゲージメントは、
特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた
一時的な状態ではなく、仕事に向けられた
持続的かつ全体的な感情の認知である”

(Schaufeli et al.,2002)

とのこと。

ちなみに、
エンゲージメントの特徴である
3つの次元とは以下のように説明されます。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<エンゲージメントの特徴 3つの次元>

1)活力(Vigor)・・・

・仕事中の高い水準のエネルギーや心理的な回復力
・仕事に費やす努力をいとわない気持ち
・困難な状況に直面したときの粘り強さ

2)熱意(dedication)・・・
・仕事に強く関与し、仕事に意味を見出している
・熱中し、誇りを持っている
・挑戦しようという意欲を感じている状態

3)没頭(absorption)・・・
・仕事にのめり込んでいるときの幸福感
・時間が早く経つ感覚
・仕事から頭を切り離すのが難しい感覚

※引用:服部泰宏(2020) 『組織行動論の考え方・使い方 良質のエビデンスを手にするために』有斐閣

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

こう見てみると、

よりエンゲージメントという
言葉の解像度が高まったように
感じられるのではないでしょうか。

■、、、と、
「ジョブ・クラフティング」の
結果として実現される

「エンゲージメント」

の意味や定義について、
本日はお伝えさせて頂きました。

改めて、

その言葉が表す範囲や定義について
整理をしてみると、

「ジョブ・クラフティング」にせよ
「エンゲージメント」にせよ

言葉を使っていると
わかったような感覚がするけれども

・実際それは何を意味するのか?

・それらに取り組むと、
何に、どのような影響があるのか?

などなど、

結構曖昧なことあるのではないかな、
と思いました。

■改めて、

何かに取り組む際は、
その言葉や概念が意味することを明確にしてから、

研修でも施策でも考えることが
重要なのだろう、と思った次第。

(自戒を込めて)

ということで、明日も引き続き

「ジョブ・クラフティング」

に関連するお話を
お伝えしていきたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

私はものごとをとことん突き詰めるのが好きなんだ。
そうずれば、たいてい良い結果が出るから。

ビル・ゲイツ(マイクロソフト社創業者/1955~)

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