「ジョブ・クラフティング」と「エンゲージメント」を紐解く
(本日のお話 2255字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
最近、人事関連でしばしば耳にする
「ジョブ・クラフティング」
なる言葉があります。
意味は、
・ジョブ=仕事を
・クラフティング=手作りする
ということで
”働きがい”にも関連する
注目されているようです。
本日よりしばらくこの
「ジョブ・クラフティング」について、
『人事のためのジョブ・クラフティング入門』
(川上真史 (著), 種市康太郎 (著), 齊藤亮三 (著) )
を題材にさせていただきつつ、
皆さまに学びをご共有させて
いただければと思います。
それでは参りましょう!
タイトルは、
【「ジョブ・クラフティング」と「エンゲージメント」を紐解く】
それでは、どうぞ。
■「ジョブ・クラフティング」なる言葉。
先程
「ジョブ・クラフティング」
=仕事を手作りする
とざっくりと訳してお伝えしましたが、
この定義をより正確にお伝えすると、
”個人が仕事のタスクや関係性の境界線に
物理的・認知的に変化を与えること”
※Wizeniewsiki,A&Dutton,J.E(2001)
Crafting a job: Revisioning Employees as Active Craffers of Their Work.
とされているようです。
自分自身で、
仕事の意味づけを変えるとか、
職場への関わり方を変えるとか、
そんな感じでしょうか。
■そして、具体的に
「ジョブ・クラフティング」を行うと、
以下の3つに変化があるとされています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ジョブ・クラフティングが変化させるもの>
1)仕事そのもの(を創意工夫する)
2)人との関係(を築く)
3)仕事の捉え方(を変え、意味や意義を見出す)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
そして、上記
3つへ働きかけ方が変わると、
「ジョブ・エンゲージメント」が高まり
(=「職務・業務ののめり込み)
それがより上位概念の
『ワーク・エンゲージメント』を高めることへ
繋がっていく、と述べています。
■ちなみに、ここで
キーワードである、
『エンゲージメント』
について、
少し考えてみたいと思います。
エンゲージメントが高まると、
・組織コミットメント
・パフォーマンスの向上
・離職意思の抑制
などポジティブな行動や態度に繋がる、
(Schaufeli et al.,2002)
事がわかっています。
■一方、この
「エンゲージメント」
という言葉も、
なんだかふわっとしていて
わかりづらいものです。
なんとなく使っているものの、
改めて定義をすると、
一体どうなるのでしょうか?
■これも色々な捉え方がありますが、
ここでは『人事のためのジョブ・クラフティング入門』を参考に
考えてみたいと思います。
*
まず、エンゲージメントの範囲について。
『ワーク・エンゲージメント』
(=仕事全体へののめり込み)
が上位概念としてあり、
これを分解すると
・『ジョブ・エンゲージメント』
(=職務・業務へののめり込み)
・『エンプロイ(従業員)エンゲージメント』
(会社・組織へののめり込み)
と2つにわかれるのです。
例えば、
ジョブ・エンゲージメントが高く、
エンプロイ・エンゲージメントが低ければ、
「仕事はのめりこんでいるけど
会社にはのめりこんでいない状態」
と言えますし、
他社への離職のリスクも高くなります。
ゆえに、
ごっちゃに考えるのではなく、
「何にエンゲージしているのか」
を捉えることも大事と言えそうです。
■加えて、
「エンゲージメントの言葉の定義」
も考えてみたいと思います。
たとえば、一般に
”エンゲージメントとは、
「エンゲージメントリング=婚約指輪」からの
連想として捉えられるように
従業員と組織の結びつき・関係性である”
とする見方もあります。
しかし、著書では
エンゲージメントの語源は
正しくは、
engage in~ 仕事に従事する
であり、
”「仕事にのめり込んでいる個人の状態」を
エンゲージメントが高い状態と呼ぶ”
とするのが、正しいイメージのようです。
■また、もうちょっと突っ込んでみると、
研究の分野における
『ワーク・エンゲージメント』
の定義とは、
以下のように表現されます。
”仕事に関するポジティブで充実した心理状態であり
「活力」「熱意」「没頭」によって特徴づけられる。
エンゲージメントは、
特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた
一時的な状態ではなく、仕事に向けられた
持続的かつ全体的な感情の認知である”
(Schaufeli et al.,2002)
とのこと。
ちなみに、
エンゲージメントの特徴である
3つの次元とは以下のように説明されます。
(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<エンゲージメントの特徴 3つの次元>
1)活力(Vigor)・・・
・仕事中の高い水準のエネルギーや心理的な回復力
・仕事に費やす努力をいとわない気持ち
・困難な状況に直面したときの粘り強さ
2)熱意(dedication)・・・
・仕事に強く関与し、仕事に意味を見出している
・熱中し、誇りを持っている
・挑戦しようという意欲を感じている状態
3)没頭(absorption)・・・
・仕事にのめり込んでいるときの幸福感
・時間が早く経つ感覚
・仕事から頭を切り離すのが難しい感覚
※引用:服部泰宏(2020) 『組織行動論の考え方・使い方 良質のエビデンスを手にするために』有斐閣
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
こう見てみると、
よりエンゲージメントという
言葉の解像度が高まったように
感じられるのではないでしょうか。
■、、、と、
「ジョブ・クラフティング」の
結果として実現される
「エンゲージメント」
の意味や定義について、
本日はお伝えさせて頂きました。
改めて、
その言葉が表す範囲や定義について
整理をしてみると、
「ジョブ・クラフティング」にせよ
「エンゲージメント」にせよ
言葉を使っていると
わかったような感覚がするけれども
・実際それは何を意味するのか?
・それらに取り組むと、
何に、どのような影響があるのか?
などなど、
結構曖昧なことあるのではないかな、
と思いました。
■改めて、
何かに取り組む際は、
その言葉や概念が意味することを明確にしてから、
研修でも施策でも考えることが
重要なのだろう、と思った次第。
(自戒を込めて)
ということで、明日も引き続き
「ジョブ・クラフティング」
に関連するお話を
お伝えしていきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
私はものごとをとことん突き詰めるのが好きなんだ。
そうずれば、たいてい良い結果が出るから。
ビル・ゲイツ(マイクロソフト社創業者/1955~)
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