メールマガジン バックナンバー

2921号 2022年2月19日

「フォロワーシップ」とは何か(その7)~フォロワーシップ理論を学んで得られること~

(本日のお話 2510字/読了時間5分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は立教大学 大学院の
リーダーシップワークショップ演習の2日目でした。

体育館で、鬼ごっこ的な遊びをしたり、
体を動かしつつ、感覚を大事にする時間を通じて、

これまでオンライン越しで見ていた
大学院の仲間の違った側面が見えて、
更に親しみを感じてきております。

やはり人は、一部分だけではなくて
その人の多様な顔を見ることで、
距離が縮まっていくのだな、

、、、と思いました。

そして、それはやはりチームワークにも、
多分な影響があると感じます。

これから最終日の授業もとても楽しみです。



さて、本日のお話です。

先日より長らくお伝えしておりました
フォロワーシップについて、
いよいよ今日で最後です。

最後ということで(?)
張り切ってまいりたいと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは、

【「フォロワーシップ」とは何か(その7)~フォロワーシップ理論を学んで得られること~】

それでは、どうぞ。

■フォロワーシップ。

これまでのメルマガで
フォロワーシップ理論の考え方から
ピックアップをして

・フォロワーの3つの責任
・勇敢なフォロワーの5つの勇気
・フォロワーシップ研究の全体像
・役割ベースのアプローチ
・構築主義的なアプローチ

等々、お伝えしてまいりました。

■ちなみに、上記のテーマも
私(紀藤)が「へー、そうなんだ!」と思ったところを
抽出してお伝えしてきましたが、

いうまでもなく、
フォロワーシップ理論の大きな世界の
ごく一部を抽出してお伝えしたのみ。

その背後には、更に深く、
細かい定義があるようです。

■しかしながら、

「フォロワーシップ理論とはなにか?」

というテーマについて
最後のまとめとしてお伝えするとき

1)フォロワーシップ理論の定義
2)フォロワーシップ理論の構成要素

については

”線引き”を改めて明確にして
理解しておくことが大切かな、と思いました。

、、、ということで、
「フォロワーシップ理論とはなにか」の
まとめをしてみたいと思います。

■まず、

「1)フォロワーシップ理論の定義」

ですが、改めて以下のように説明されます。

<フォロワーシップ理論とは

”リーダーシッププロセスにおける
フォロワーとフォローの性質を研究するもの”>

です。



リーダーとはフォロワーがいて初めて
リーダーになります。

ゆえにリーダーシップとフォロワーシップは
切っても切り離せません。

ということで、リーダーシッププロセスの中の
フォロワーとフォローを研究するのが
フォロワーシップ研究となります。

、、、なんだか
フォローとかフォロワーとか
フォロワーシップという言葉が連発されており、

何が何やら、となってしまったので
言葉も整理しておきたいと思います。

・「フォロワーシップ」とは
= リーダーに関連して行動する個人の特性、行動、プロセスのこと

・「フォロワー」とは
= ある人にフォローする個人、役割

・「フォロー」とは
= ある人の影響力やステータスを認識し、正当性を付与する特定の行動様式
(=リーダーと認める行動)

でございます。

■そして、次に

「2)フォロワーシップ理論の構成要素」

ですが、以下3つの構成要素がある、
とされています。

◯フォロワーシップの特性:

フォロワーシップをどのように定義し、
実行するかに影響を与える特性。
(例:フォロワーや追従行動をとるとされる個人の役割志向、
動機、知的・分析的能力、影響、社会的構造など)

◯フォロワーシップ行動:

フォロワーシップの役割の立場から
あるいはフォロワーとしての行為の中で行われる行動のこと。
(例:従順、延期、声を出す、抵抗する、助言するなど
あからさまなフォロワーシップの表現)

◯フォロワーシップの成果:

フォロワーシップの特性の行動の成果で、
個人レベル、関係レベル、ワークユニットレベルで発生する可能性があるもの。
(例:・燃え尽き症候群、軽蔑などフォロワーに対するリーダーの反応
・フォロワーの昇進や解雇
・リーダーがフォロワーを信頼して助言を求めるかどうか
・リーダーシップや組織の成果 など)

とのこと。

(ちなみに 上記のフォロワーシップの
「特性」「行動」「成果」もより明確な定義があります。

詳しくは論文を見ていただければと思いますが
例えば、「フォロワーシップの特性」であれば

{特徴}
・政治的スキル/目標志向/マキャベリズム(目的のために手段を選ばない性質)
{モチベーション}
・ミッションへの意識/率いることへのモチベーション/力への順応

等々、定義されています。

細かく境界線を分けると、
こうも色んな特徴があるのか、、、と
勉強になりますね)

■そして結論、

「フォロワーシップ理論を学んで
得られることとは何か?」

これについては以下のようになります。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<フォロワーシップ理論を学んで得られること>

◯リーダー中心の考え方から、
フォロワーの役割、フォロワーの行動、
リーダーシップのプロセスの重要性を認識するようになる

◯リーダーシップとその成果に対する責任を、
すべてのプレイヤー(リーダーとフォロワー)に分配する

◯効果的なフォロワーシップ行動と、
効果的でないフォロワーシップ行動を見極めることができる

◯なぜ、マネジャーが効果的なリーダーになれないのか
(部下と一緒にリーダーシップを構築できない理由)を理解できる

◯リーダーシップ開発だけではなく、フォロワーシップ開発ができる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

■そうなのです。

フォロワーシップって何?
具体的な特性は?行動は?
そしてその成果は?

、、、そうやって

構成要素を細かく分解していくことで

「フォロワーとしての役割を自覚」したり
「リーダーのせいだけにしない」ことにつながったり
「フォロワーシップを開発」したり

することができるようになります。

■過去の研究者たちが
骨が折れる細かい定義をしてくれたことで

それらを理解することを通じて
フォロワーシップについても明確になり、
その特性や、行動を特定し、
自分のものとして使えるようになるのです。

■今回、

「フォロワーシップ」という一つのテーマについて論文、

MaryUhl-Bien、Ronald E.Riggio、Kevin B.Lowe、Melissa K.Carsten(2014)
『Followership theory: A review and research agenda』
(フォロワーシップ理論:レビューと研究のアジェンダ)

や、

書籍『ザ・フォロワーシップ』(著・アイラ・チャレフ)

から紐解いてきました。

その中で1つでも何かしら
参考になることがあれば、私も嬉しく思います。

そして私自身一つ一つ自分の中で咀嚼して
解説をさせていただくことで、大変学びになりました。

ということで、改めてお読み頂きました皆さま、
ありがとうございました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしき週末になりますように。

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<本日の名言>

私は、敵を倒した者より、
自分の欲望を克服した者の方を、より勇者と見る。
自らに勝つことこそ、最も難しい勝利だからだ。

アリストテレス(古代ギリシャの哲学者/BC384-322)

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