今週の一冊 『自分の薬をつくる』
(本日のお話 2108字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、朝8時から
大学院の同期4名と、皇居にてランニング。
天気もよく、大変気持ちが良い朝でした。
また午後からは、大学院の授業。
『グループプロセス介入入門』
という組織開発のプロフェッショナルを招いての
対話を通じた授業でした。
内容としては、
・グループで起こっている、
各個人の”今ーここ”の気持ちを読み解き、
・何が起こっていたのかを
丁寧に紐解くプロセスを通じて、
・科学や理論だけでは紐解くことが難しい
「人の心が関わる対話」を理解していくという、
とても濃厚な学びでした。
先行研究や理論だけではない、
実践からしか見えない臨床の知も含め
大学院にて学べること、実にありがたいな、
と感じた次第です。
あと2回の授業も楽しみたいと思います。
*
さて、前置きが長くなりましたが、
本日のお話です。
毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
=========================
『自分の薬をつくる』
坂口恭平(著)/晶文社
=========================
です。
■人は多かれ少なかれ
「悩み」を抱えているものです。
それが大きなものになって
抱えきれなくなると、
深刻なことにもなりえます。
そんな中で、この著者は
「いのっちの電話」
(いのちではなく、いのっちです)
という名前で希死念慮に苦しむ人々との対話を
2万人以上続けてきました。
本にも紹介されていますが
ご自身の携帯番号を公開しており
そこにかけると著者の坂口氏が対話をする
という取り組みを行っている方です。
■その「いのっちの電話」に電話をかけた人は、
うつ病や躁鬱病などと診断され、
元気がなくなっている状態が多いようですが、
お話をすると不思議と元気がでて、
心と体に変化が起きる、とのこと。
もちろん、何か化学的な薬を
処方したわけではありません。
■では、実際にその
”「いのっちの電話」では
どんなやり取りがされているのか?”
これを2019年にワークショップとして
行ったのですが、
それを書籍としてまとめて
紙上体験をしましょう、
というのが、この本のコンセプトです。
■ちなみに
『自分の薬をつくる』
という表現が、実にイイのです。
たとえば、
「良い習慣をつくりましょう」とか
「自分を元気にする日課を作ろう」
などというと、
”毎日やらなければならない”
という感覚がしてしまいます。
3日坊主、などというように
習慣とか日課というと、
一度休んでしまうとなんだか負けた感じがする。。。
そうすると、せっかく新しく、
プラスになることを始めたはずなのに
やっぱりできないんだ、と
変にネガティブに考えてしまって
結局よいアイデアも続かない、、、
なんてことがあるものです。
*
しかし『薬』という表現ならどうか?
慢性的に飲むくすりなら、
毎日サプリメントのように飲むでしょう。
日々飲むけど、ちょっと飲み忘れても
別に自分を責めたりすることはありません。
なので、
悩みでしんどい人に対して
「よい習慣と日課」をつくろう
↓
「自分の薬」と表現することで
気楽に取り組める、という効果もあるわけです。
■そして、実際の
自分の薬の作り方としては、
是非本書をお読みいただきたいと思いますが、
基本的には、
「アウトプットをする(言葉にする)」
ことを通じて、
自分の中に溜め込むことを防ぐ、
という形になります。
その「薬」の作り方は人によって
まちまちではありますが、
基本インプット過剰になり
もう周りの声を聞きたくない、という時に
人は悩みの重さを感じて、
不調をきたしやすいようです。
(たしかに、わかります)
ゆえに、必要に応じて、
インプットを減らし、
その分アウトプットを増やすのです。
■ちなみに本書を読み、
私(紀藤)の場合だと、
こんな風に「自分の薬」がつくられているな、
と思いました。
つまり、ちょっと元気がないときも、
これを回していけば、基本元気になる、というもの。
最初の処方箋は「メルマガ」です。
日々、何か学んだこと、
感じたことを言葉にすることで、
何か小さな達成感を覚えることができます。
これは実に大きいです。
*
そして、次の処方箋が「運動(ランニング)」です。
なんだか上手くいかないことがあっても
走って疲れて、汗をかいて、お風呂に入れば、
だいたいどうでもよくなってきます。
これも大きい。
*
加えて寝る前に「一行日記」も書きます。
これもいい処方箋です。
書くコツは「加点日記」にすることです。
自分で今日できた小さなことを書き記して、
赤ペンで◎をつけたりします。
自己効力感が上がるのです。
その他も、年間のビジョンを描く、
OKRとして3ヶ月の目標を書く、なども
カンフル剤として
今の自分の体質にとても合った薬のようなものだ、
と感じております。
■書籍の中には、
色々な悩みを持った人に対して
ユーモアを交えながら対話をしつつ
「それぞれの薬」
を言葉によって処方していきます。
そのお話を紙面上で体験しながら、
「自分にとっての薬ってなんだろう」と
考えてみると、
悩みをもたれているかたは日々心地よく、
元気な方は、更に自分をゴキゲンかつ快適にできるきっかけが
見つかるかもしれません。
お勧めでございます。
よろしければ、ぜひ。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
==========================
<今週の一冊>
『自分の薬をつくる』
坂口恭平(著)/晶文社
==========================