ピアノにおける熟達と、IT技術者のキャリア熟達の共通点を考えてみた
(本日のお話 2400字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は3件のアポイント。
また友人でマーケティング支援等で
会社経営をされている方、
大学でリーダーシップを教えている先生であり、
かつご自身でも会社をやられている経営者でもある方と
会食やお茶をした1日でした。
様々な領域で活躍している方とお話をすると、
実に刺激になります。
(Yさん、Fさん、ありがとうございました!)
*
さて、本日のお話です。
先日、
『30年ぶりに「ピアノの発表会」に参加して思ったこと』
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4131962/
というメルマガを書かせていただいたのですが、
皆さまから刺激になった、とのお言葉をいただき、
自尊心が大変満たされております(嬉)
もちろん、
自分のレベルは自分で理解しており、
まだまだ至らぬレベルであることは百も承知。
それでも、
何かしらの積み重ねたものを承認いただけるというのは、
その道程を肯定された感覚がして満たされるものだな、、、
と感じておりました。
今日は、
その話を振り返りつつ、
とある論文のお話を思い出しました。
全然ピアノと関係ないようですが
「IT技術者のキャリア」に関する論文(!)です。
今日はこの論文の内容を皆さまにご紹介しつつ、
学びと気づきをご共有させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【ピアノにおける熟達と、IT技術者のキャリア熟達の共通点を考えてみた】
それでは、どうぞ。
■ピアノから急に話が
ぶっとんでしまい恐縮ですが(汗)
「松尾(2005):IT技術者の熟達化と経験学習」
という論文があります。
(急にモードが変わって、
なんだかスミマセン。。。)
、、、とはいえ、
この論文は非常に面白いです。
特にIT技術者は
必見の論文かと思います。
■この論文ですが
”IT技術者のキャリアが熟達していくプロセス”
を調査したという論文です。
IT技術者である
14名のプロジェクトマネジャー
10名のコンサルタント
にインタビュー調査をし、
その傾向を調べました。
すると、
「プロジェクトマネジャーと
コンサルタントは学習パターンが違う」
ことがわかりました。
■具体的には、
「プロジェクトマネジャー」は、
キャリアの初期、中期、後期と段階を経るごとに、
「徐々にタスクの難易度を高めていく、
リニア型の成長」
を遂げていました。
つまり、”正比例曲線”のような
キャリアの熟達を遂げていた、
ということです。
*
一方、顧客との折衝を行うコンサルタントは、
キャリアを経るごとに正比例的に成長するのでは、
”ありません”でした。
コンサルタントは、
『あるとき難しいタスクに関わったことで
能力が急上昇する』
という、非リニア型の成長、
を遂げることがわかった、
というのです。
■上記は一つの研究からのデータです。
ゆえにこれだけが絶対、
とも言えません。
ただ、
少しずつ積み上げで
「徐々に成長するパターン」と
難しいプロジェクトに従事して
「急激に成長するパターン」がある
というのは、なかなかに興味深いな、
と思ったのでした。
■ちなみに思うのですが、
どんな領域においても、この
”2種類の成長(リニア型・非リニア型)”
の成長により、我々は熟達していく、
と思います。
例えば、冒頭のお話に戻って、
私の趣味の「ピアノ」もそう。
今回のピアノの発表会を経た熟達を当てはめて考えると
なんとなく共通点を感じさせられます。
■まず、基本ピアノの練習は積み上げなので、
”毎日コツコツ練習して、
「徐々に成長する」パターン”
を持つと思われます。
いくら頑張っても、
ある日12時間練習しても、
1日ではうまくならないでしょう。
ただ、考えてみたいのが
一方、徐々に成長する場合でも、
「プロジェクトを立ち上げると
急激に成長するきっかけにはなる」
とも思うのです。
■これ、どういうことかというと、
先の論文に物申すようですが、
「徐々に、正比例に成長する」
といってもそれは、
全く同じリズムで成長するわけではない、
と思うのです。
多分、その時時で
上昇の角度も差があって、
ただ全体的にならしてみると、
正比例的に見える、ということなのだと思うのです。
正比例的に見える中でも、
”要所で、自分を伸ばせるような
小さなプロジェクトを差し込んでいく”
ことで、
コンサルタントのキャリアのように
爆発的に成長することはなかったとしても、
やっぱり、それは
成長角度の平均値を底上げすることに
なるのではなかろうか、、、
と思ったのです。
■例えば、
小さなプロジェクトでも、
ストレッチが必要な目標が掲げられると、
そこまでに何かを到達しようとした際に
「これまでのやり方を変えること」になります。
私のピアノの発表会においても、
練習する時間が限られている中で、
とはいっても発表会が
近づいてきてしまったので、
・自分の振り返り方
・フィードバックの受け方・そのペース
・新しい情報、知識を入れる頻度
・違った手法をトライしてみる回数
も、決まる前とまるで違ったものに
なっていました。
■そうして、
あるプロジェクトを通じて、
ストレッチをすると、
これまでのやり方を棄てて(=アンラーニングして)
新しいやり方が身につき
成長の果実を得ることに繋がります。
そして、そこから先は一度覚えた
「新しい成長の方程式」を
自分に適用することになります。
ゆえに、IT技術者における
プロジェクトマネジャーのように
淡々と積み重ねることで成長する領域でも、
コンサルタントのように
ある瞬間に急激に伸びる領域でも
いずれに関わらず、
【人はプロジェクトを通じて、
自分を作り変えていくきっかけを得る】
のではないか、と思ったわけです。
■積み重ねは、大事です。
ただ、「自分をより成長させたい」と
思った場合は
「常に何かのプロジェクトを
打ち立て続けること」
で、自らストレッチし続け、
アンラーニングし続け、
成長の喜びを享受し続けられる
と言えるのかもしれません。
発表会前後で、
ピアノの練習の方法が圧倒的に変わって、
成長の角度もぐぐっと変わったような気がして、
そのプロセスをIT技術者の論文から
紐解いてみた、の巻でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
偶然は準備のできていない人を助けない。
ルイ・パスツール(フランスの化学者/1822-1895)
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