コーチングの成果はこう測る ~評価の質問項目集~
(本日のお話 2474字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
現在、大学院のプロジェクト関連で
ちょっとずつ論文を読み進めております。
、、、が、読むだけだと、
読んだことがその瞬間から揮発していく(!)
ことを痛切に感じております。
たくさん読んでも、
「あれ?この論文よんだっけ?」
(ってか何書いてあったっけ・・・)
となることもしばしば(汗)
特徴を考えると、
記憶に残らないものは、
「ただ読んだだけ」のもの、
記憶に(ちょっとだけ)残るものは
「手を動かして記録した」ものであることに気付きます。
やはり学びとは
”インプットとアウトプットを
同時に行うこと”
が自らの血肉にするために
大切だと改めて感じている次第です。
(面倒くさいけど、自戒を込めて!)
*
さて、本日のお話です。
(そんな学びの一環でもありますが)
先日よりお届けしております、
「組織におけるストレングス・ベースの
リーダーシップ・コーチング」
『Strength-Based Leadership Coaching in Organizations
An Evidence-Based Guide to Positive Leadership Development』
本日も絶賛、お届けしたいと思います。
この本も学びを記憶に焼き付けるごとく、
学びになったお話を皆さまに”おすそ分け”させて
いただければと思います。
本日は
「第7章 組織における
ポジティブなリーダーシップ開発のためのコーチング(後編)」
です。
今日は”コーチングの評価”という
テーマでお届けします。
特にコーチングや1on1をされている
人事やコーチの皆さまに参考になる情報かと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは、
【コーチングの成果はこう測る ~評価の質問項目集~】
それでは、どうぞ。
■コーチングでも研修でも、
目に見えづらいプロセスについて、
「成果を測ること」
はとても難しいものです。
(研修は目に見えませんからね、、、)
■「この研修はよかったですか?」と
個人に自己報告で聞いて「◎でした!」と
返ってきたとしても、深く考えると疑わしかったりします。
というのも、
こんなことが言われているから。
・自己を過大評価している人は、
自分のことが正しく見えていない。
・また時間の経過とともに事実を、
(良い方向に)自己修正する傾向がある。
・逆に自己を過小評価する人は、
自己批判的で完璧主義者であることが多い。
■、、、つまり、
妙に自信がある人は、
「自分めっちゃ変わりましたよ!」と、
その成果を過大評価してしまう傾向アリだし、
逆に謙遜しすぎている人は
「いやー、自分なんてダメダメでした・・・」と
その成果を過小評価してしまう傾向アリ
とのことで
個人特性や環境によっても
何かしらの”バイアス”が働くため、
自己評価では成果を正しく捉えることが難しいのです。
それが特に目に見えづらい研修の
「評価における課題」と言えます。
■「じゃあ、厳密に、
どこまで成果を測るのさ?」
と言われれば、
もちろん成果を測定するのにも
時間とコストがかかります。
誰でも彼でも何時間でもかけて
ガッツリ測定しよう!とは問屋が(現場が)
許してくれません。
ゆえに、その点も考慮して、
現実的な方法を考える必要があります。
■ではどんな観点で、成果を図ると
現実的かつ望ましいのか?
その意味では、
”「成果の測り方」において、
基本の2つの評価方法”
についてこれだけは押さえておきたい、
という考え方があります。
■それが、
『「形成的評価」と「総括的評価」』
と呼ばれる2つの観点です。
平たく言えば
・「形成的評価」は”改善のための評価”
・「総括的評価」は”効果があったか確認する評価”
です。
研修介入に関しては
この2つの評価を行うことが推奨されており、
具体的に、関係する人に
以下のような質問をすることが提案されています。
そして、「リーダーシップ・コーチング」というテーマでは
いくつかの質問項目が有効と提案されています。
以下、ご紹介いたします。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【リーダーシップ・コーチングの評価のための質問】
<形成的評価の質問>
◯{コーチング・プロセスについて}
コーチは・・・
・あなたとの信頼関係を築くために時間を費やしていますか?
・あなたを助けてくれると確信しましたか?
・自分の役割や業界を理解していますか?
・あなたの成長にコミットしているように見えますか?
・挑戦とサポートのバランスを持ち、関わっていますか?
・自分の行動に責任を持つよう、促しましたか?
◯コーチされる側の質について}
コーチー(被指導者)は・・・
・積極的に参加することを選択しましたか?
・各セッションに対して、準備しましたか?
・アジェンダ設定に協力していますか?
・新しい戦略やアプローチを試しましたか?
・コーチング・プロセスにラインマネジャーを関わらせましたか?
◯{組織的要因について}
組織は・・・
・コーチングのカルチャーを示しましたか?
・開発の機会を提供しましたか?
・スキルの現場への転移を、促進しましたか?
・学習と開発のフレームワークにコーチングを組み込みましたか?
・成長志向のモデルを持っていますか?
<総括的評価の質問>
◯{個人へのプログラムの影響}
リーダーシップ・コーチングは・・・
・リーダーシップに関する知識を深めましたか?
・自分の強みについて、新しい気付きが得られましたか?
・より高い積極性や楽観性を、生み出しましたか?
・より高いイノベーションと柔軟性を、提供しましたか?
・他者のエンパワーメントと開発を、促進しましたか?
・より大きなコミットメントとエンゲージメントを促進しましたか?
◯{チームへのプログラムの影響}
リーダーシップ・コーチングは・・・
・チームにポジティブな環境を生み出しましたか?
・チームのビジョンと目的を明確にしましたか?
・役割の明確さをより促進しましたか?
・チームメンバーのモチベーションを高めましたか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■さて、見てみていかがでしょうか。
いっぱい質問がありましたが
その詳細は見ていただく必要はないとしても、
”コーチングについて
その成果を測定する”
と考えた時に「どうでした?」と
本人に聞くだけではなく、
改善のための評価(形成的評価)として
・コーチとプロセスの評価(=コーチ)
・コーチされる人の準備に対する評価(=コーチされる人)
・組織要因の評価(=組織)
と分けて考えたり、
また実際の影響を与えたか(総括的評価)
についても
・個人に対しての影響(=個人)
・チームに対しての影響(=チーム)
と分類して評価することで、
網羅的に介入施策の有効性を
検討することができるのが感じていただけるのでは、
と思います。
■いやいや、
とはいっても、
こんなに色々聞けないよ、
面倒くさいし、大変だし、、、
という声も聞こえてきそうですが、
(よくわかります)
とはいいつつ、
一方、目に見えづらい研修の評価も
データが収集しやすくなったことから、
どんどんデータドリブンになってきています。
ゆえに、
評価指標もより広く捉えられる流れがあると
感じておりますし、
「人材開発もデータなしで
考えることはもはやできない」
と言われています。
■そういった意味でも、
多様な視点で成果を判断する視点を持つ、
そのための具体的な問いのレパートリーを持つことは、
特にこの分野に関わられる
人事やコーチの皆さまにとっては
深めるべきテーマのように感じた次第です。
(繰り返しますが、自戒を込めて)
多様な視点から評価を考える。
研修の効果測定だけではなく、
広く大切なことだな、と思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
一番だまし易い人間は、すなわち、
自分自身である。
パルワー・リットン
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