ストレングス型リーダーのための能力開発方法
(本日のお話 2885字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
また研修の企画・開発など。
*
さて、本日のお話です。
先日より長らくお届けしております、
「組織におけるストレングス・ベースの
リーダーシップ・コーチング」
『Strength-Based Leadership Coaching in Organizations
An Evidence-Based Guide to Positive Leadership Development』
について、本日もお届けしたいと思います。
ついに、第8章に突入。
あと残すところ、第9章、第10章となりました。
気分でいえば、フルマラソンの
30キロ地点といったところ(?)でしょうか。
(ちなみに、フルマラソンの場合、
ここからが長いんですけどね)
いずれにせよ、一歩一歩刻むかのごとく、
学びを皆さまにおすそ分けさせていただければと思います。
*
本日の内容は
「第8章 リーダーやマネジャーが、
ストレングスベースのアプローチを使う」
がテーマです。
ストレングス・ファインダー等の
強みを用いたアプローチを活用したいと思うマネジャーが
是非知っておいていただきたい知識・考え方を
ご紹介してまいりたいと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは、
【ストレングス型リーダーのための能力開発方法】
それでは、どうぞ。
■魅力的な考え方でも、
”どんな状況下において100%効果を発揮する
ウルトラCの施策”
なるものは、
なかなかないのではと思います。
今回、長らくご紹介している
ストレングスベースのアプローチについても、
まさにその一種かと。
「強みにフォーカスをした関わりって
前向きで、元気が出ていいよね!」
と(仮に)思ったとしても、
”いくつかのチェックポイント”
を押さえておかないと、
なかなか機能するところまで
たどり着くことが出来ません。
■では、
「強みにフォーカスをした関わりをしたいマネジャー」
(※ストレングス・ファインダーを活用したいマネジャー)
は、どんな考え方を身につけ、
何を学べばよいのでしょう?
そのことについて、
今日はお伝えさせていただきたいと思います。
■まず、押さえたいポイントの1つ目。
それは、
『SL理論(状況対応型リーダーシップ理論)』
です。
これは、
”マネジメントを部下の能力レベルに応じた
4つの状況にわけて、対応の仕方を変える”
というリーダーシップの考え方です。
内容を要約すると、
◯S1:モチベーションが高いが、能力が低い(新入社員、転職社員などが該当)
→ 「指示型・教示型」のリーダーシップが有効
◯S2:モチベーションは低く、能力は中程度(3年目など慣れてきたころ)
→ 「コーチ型」が有効
◯S3:モチベーションは都度変化。能力は中~高程度(中堅社員)
→ 「援助型」が有効
◯S4:モチベーションも能力も高い(頼れる社員)
→ 「委任型」が有効
だから、S1~S4、それぞれの状況に応じて、
最適なリーダーシップスタイルを使い分けようね、
ゆえに「シチュエーショナル(状況対応型)リーダーシップ理論」
と言われております。
■そして、ストレングスベースの関わりは
”メンバーの能力がある程度開発されてきた状況
(S2~3以上)でに有効である”
とされています。
ある程度、精度の高い判断軸を持ち、
自ら選択肢を選べる場合に有効であるのです。
逆を言えば、
あまり能力が高くないメンバーに対しては
「指示・教示型」のほうが効果的である、とも言えます。
ゆえに、どの状況で使うのかについて
考慮する必要がある、
とも言えそうです。
■では、状況を見極めた上で、
具体的にどのような能力を鍛えればよいのでしょうか?
それが次に、
【ストレングス型リーダーのための能力開発の方法】
ということで、
以下のように提案がされています。
それでは見てまいりましょう。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ストレングス型リーダーのための能力開発】
●Q、ストレングス型リーダー/マネジャーとして
能力を開発する手っ取り早い方法とは?
(答え)
1)個人・グループのストレングスベースのコーチングプロセスに身を置くこと(実践する)
2)定評ある専門家による継続的なメンタリングを行う
※シンプルですね。やらなければ身につかないし、
教えを受けねば上達しない、ということです。
●Q、ストレングス型リーダー/マネジャーとして
どのような基礎的な領域(スキル)を身につければよいか?
1)「基本となる個別スキル」を身につける
例)
・積極的な傾聴(アクティブリスニング)
・要約力
・SMARTゴールの設定
・フィードバック
・共感を示す
・リフレーミング(違う枠組みを提供する)
・パラフレーズ(言い換え)
2)「コンセプチュアルスキルとテクニカルスキル」を身につける
*コンセプチュアスキル(概念化能力):
・組織におけるコーチングの必要性を概念化する。
・コーチングプロセスを計画し、評価する。
*テクニカルスキル(専門的能力):
・GROWモデル、FACTSモデルの主要コーチングモデルを習得する
・メンタリングやファシリテーションのような他の学習形態と区別する
(特に、シチュエーショナルリーダーシップなど、他のリーダーシップの形態との関連付けを行う)
3)「自己管理と自己開発のスキル」を身につける
*自己管理:
・リーダー/マネジャーが自分の感情を効果的に管理し、
ポジティブな自身のプロセスを確立し、自分の成長を振り返る能力を身につける
*自己開発のスキル
・コーチングネットワーク、コーチチャンピオン(全体の先導役)、
メンタリングやスーパービジョン(更に熟達者からの指導を受ける)等の
自己開発の仕組みを確立することで促進ができる。
*バウンダリーマネジメント(境界の管理)を行う:
・コーチングは経営戦略であり、他の問題によって、
(全員が)コーチングアプローチの受けることができない可能性を認識する。
(受けられる人、受けられない人の差がでる可能性を考慮し、あらかじめ管理する)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■さて、いかがでしょうか。
へーそうなんだ。
ふーん、なるほどね、
当たり前だよね、
色々感じられるかと思いますが、
個人的にぜひ着目したいと思うのが、
ストレングス・ファインダーを学んで、
部下の育成に活かそうとした場合でも、
「強みの認識や活用方法”だけ”を
学ベよいわけではない」
という点です。
■当然ながら、
強みの認識や理解は、
1つのパーツでしかありません。
対話を通じて
メンバーの能力を引き出し、
支援をしていくならば、当然ながら
・聞く力(傾聴力、要約力、共感力)
・視点を変える力(見方を変える問い)
・ゴール設定の力(SMARTゴールの作り方)
も必要ですし、
・コーチングのGROWモデルや
・コーチングのFACTSモデル
に代表されるような考え方や
対話の構成の仕方のトレーニングも
必要になるのでしょう。
■また、
・「なぜこれが必要なのか?」を自分で語れること
(コンセプチュアルスキル、リーダーシップ理論との紐付け)
もなければ、メンバーに納得してもらい、巻き込み
継続的に実施することは難しいでしょうし、
・自分自身を開発する
・自分自身の感情を管理する
という力があってこそ、
新しい取り組み(ストレングスベースのアプローチ)も
自分のものにしていくことができる、
、、、とも言えそう。
■こうまとめてみると、
ストレングス型リーダーになるためには
マネジャーとしての「総合力」が必要になりそうです。
そして、その総合力が
どのような項目で構成されているのかを
上記の能力開発の方法は、整理してくれたようにも思います。
単発ではなく、中期的に、継続的に
【ストレングス型リーダーのための能力開発】
として上記の要素を抑えることができると、
実践につながり、かつポジティブリーダーシップ理論という
研究背景につながる、効果的な施策になっていくのだと思います。
一つの道も、実に深きものですね。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
自らを助けようとしないものを救おうとしても無駄だ。
自分でハシゴを登る意思のない者を
他人が押し上げることはできない。
アンドリュー・カーネギー(米国の実業家/1835-1919)
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