チームの効果性を高めるための診断テスト ~「TDS」のご紹介(前編)~
(本日のお話 2015文字/読了時間2分半)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は4件のアポイント。
その他研修の企画など。
*
さて、本日のお話です。
最近、大学院のプロジェクト関連で
人や組織に関する論文を読む機会が増えております。
その中で「これは参考になった!」と思うものに
しばしば出会います。
そういうものは「現場でも活用できる」と思える
有用なものである、と感じさせられるのです
「より理論ほど実践的なものはない」
by 心理学者クルト・レヴィン
と言いましたが、まさにそんな感じ。
、、、そして、今日はその中の一つ
「チームの効果性」についての論文、
Wageman and Hackman(2005)
Team Diagnostic Survey Development of an Instrument
を、皆さまにご紹介させていただきたいと思います。
皆さまも、ご自身が所属するのチームに
当てはめて考えることで得られることも
ままあるのではなかろうか、
と思っております。
(長いので、前半後半に分けて
お伝えさせていただきます)
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【チームの効果性を高めるための診断テスト ~「TDS」のご紹介(前編)~】
それでは、どうぞ。
■唐突ですが、
「チームの効果性(≒力)」を高めるために、
必要な要素とは何でしょうか?
チームがよくなるためには、、、
関係性?
役割?
リーダーシップ?
権限やリソース?
目的や目標?
あるいは報酬??
、、、まあ、色々ありそうです。
■私もこれまで「チーム」にまつわる理論を
調べたことがありますが、
数多くのコンサルタントや研究者が
数多くのことを語っていて、
”なんとなくこのあたりのことが大事”
(共通の目的とか役割など)
というのは理解できる一方、
「チームの効果性を図るための
ピタッとくるこの指標」
というのは得られていない、
と思っていました。
■その中で、今回ご紹介させていただく、
『TDS (Team Diagnostic Survey)』
(チーム診断アンケート)
というド直球なネーミングであるツールが
信頼性が高いと感じ、実用的であるとも感じ、
ひとり気分が上がっておりました。
ダートマス大学のワーグマン
ハーバード大学のハックマンらが開発したツールです。
(Wagman and Hackman,2005)
ゆえに、この論文から
チームについて考えてみたい、
と思ったのでした。
■さて、ではこの「TDS」とは
いったい何なのでしょうか?
曰く、
”「チームの効果性を促進する条件」に関する
既存の研究と理論に基づいて、
・チームの長所と短所の診断
・チームの行動とパフォーマンス
を測定するための信頼性の高いツール”
とのこと。
たくさんのチーム診断のツールがありますが、
多くの場合、
・現場に寄り過ぎで使えない
(=実務家の知見や観察によりすぎていて
理論や研究の視点が少ない、
ゆえに信頼性・妥当性が低いパターン)
あるいは
・研究者に寄り過ぎパターン
(=研究視点によりすぎていて、回答が大変など、
質問がマニアックすぎなど
現場での活用にフィットしないパターン)
などの課題がある、と著者らは
語っておりました。
「実務視点」と「研究視点」、
それぞれでバランスがよいサーベイが
開発されていなかったようです。
■その中で、
「理論的にも現場的にも
バランスが取れたチーム診断サーベイを
開発しようではないか」
とのことで、尺度を開発し、
321の様々な組織のチーム、
合計2474名から得られたデータから
今回のサーベイの特性を診断し、
信頼性・妥当性も満足いくものになった、
と述べられております。
■では、次に
チームの成果を図る上で
一体なにを基準にすればよいのか?
個々が気になるわけです。
チームの成果とか
それを生み出す「チームの効果性」っていっても
いったいなんなのさ・・・
上記の文章でも
「チームの効果性」(Team Effectiveness)
と書いていますが
そもそもこれは何を意味するのかも
定義をしておきたいです。
■そして、この論文では
「チームの効果性」を3つの次元から
定義をしています。
この定義自体が、なんだか考えさせられます。
(ここから)
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<「チームの効果性」の3つの次元>
1、チームの生産的なアウトプット(サービスなど)は
クライアントの期待の基準を満たすか、上回っている。
2、チームが仕事を遂行する際の社会的プロセスは、
チームメンバーの能力を高めている。
(仕事を始めたときより、終わったときのほうが
チームの能力が高まっているチームを「効果的」と定義する)
3、グループの経験は、チームメンバーを
イライラさせたり、阻害させたりするのではなく
個々の学習と幸福にプラスに働いている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
とのこと。
■つまり、「効果的なチーム」とは
1,「クライアントの期待を超えて」いるか
2,「チームプロセスがメンバーの能力を高めて」いるか
3,「チームでの経験がメンバーの学習と幸福を高めて」いるか
この3つを満たしている。
■こうした次元に照らし合わせて、
はて、果たして自分たちのチームは
どうだろうか?
と考えてみると気づきがありそうです。
・自チームの満足で仕事をやっていないか?
・チームのプロセスを通じて、
我々メンバーはストレッチすることが出来ているか?
・グループに所属することで学び、
そして幸せを感じられているか?
どれか1つ、あるいは
2つくらいはできていても、
メンバーのストレッチという意味では
「伸びしろ」があるかもしれない。
あるいは、一部のメンバーは
学習と幸福を満たしているけれども、
その他のメンバーは満たせていないかもしれない。
■、、、そう考えると、
もちろんチームに完成というものはない中で
自分たちの「伸びしろ」がどこかを考えさせて
くれるようにも感じます。
■では、実際にその「伸びしろ」を、
どう診断するのか?
ここについては明日、
・「TDS」がどんなモデルのなのか?
・どんな因子で成り立っているのか?
について引き続き、ご紹介したいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
成功を自分一人の努力によるものだと主張することは、
浅はかで傲慢なことだ。どんな優れた業績も、
多くの人の手と心と頭に助けてもらって、
はじめて可能になるのだから。
ウォルト・ディズニー(1901-1966)
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