「こんなはずじゃなかった」を予測する ~新入社員のリアリティ・ショックあるある3パターン~
(本日のお話 2,568文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、新入社員研修の2日目。
またその後、夕方からは
大学院の「マネジリアルコーチング論」の授業でした。
コーチングは実践として行っているものの
アカデミックな視点からその効果を考えることは
これまであまりやってこなかったため、
とても楽しみな授業でございます。
このあたりも、またメルマガで
学びをおすそ分けせていただければと思います。
*
さて、本日のお話です。
4月は新入社員が入ってくる時期ということで
新入社員、また関わる皆さまに
お役に立てそうな情報についてひとつ、
皆さまにご共有させていただければと思います。
本日の参考書籍は
『組織になじませる力~オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ』
尾形 真実哉 (著)
から、ご紹介させていただきます。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「こんなはずじゃなかった」を予測する ~新入社員のリアリティ・ショックあるある3パターン~】
それでは、どうぞ。
■「コレジャナイロボ」
という商品が、
一時期話題になったことがあります。
※こんなのです↓↓
https://www.assiston.co.jp/1595
幼い子供が
クリスマスや誕生日にワクワクしながら
プレゼントを開けた瞬間に、
「ほしかったのはこれじゃないー!!」
となった衝撃、きっと記憶にある方も
少なくないのでは、と思います。
■しかし、
親目線で見れば、
一見ツラいこの瞬間にこそ、
学びがある、とも考えることもできます。
その経験から
”何でも欲しい物が
手に入るものではない”
という現実と事実、また
”欲しいものではなかったとしても、
そこから楽しみを見つけるスキル”
を身につけ、
人生で起こる経験を意味づける力、
出来事を再定義する力を得てきた、
とも言える(かも)しれない。
すなわち、
”「これじゃない!」という
期待と現実のギャップから生まれる衝撃”
から得るものは大きいのでは、
というコンセプトから生まれた、
画期的な商品がコレジャナイロボです。
■、、、と前置きが長くなりましたが、
”これじゃない=こんなはずじゃなかった”
という期待と現実のギャップ。
これは、まさにこの4月、
組織への新規参入者(新入社員)に
多分に起こることでもあります。
これを
『リアリティ・ショック』
と呼び、
新入社員が”組織になじむ”、
すなわち組織に適応し1人前になるための、
プロセスとして多くの研究がなされています。
■リアリティショックは
「ショック」というだけあって
新規参入者の離職にも繋がるため、
考える必要がありますが、
一方、乗り越えることで、
(まさにコレジャナイロボの教訓のように)
ポジティブな効果もあることが
わかっています。
例えば、以下のようなものです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<リアリティ・ショックのポジティブな効果>
1)覚醒効果
リアリティショックに直面することで、気づきが生まれる。
学生時代とは違うのだ、と思い、軌道修正が可能になる。
2)学習促進効果
その状況(ショックな状況)が生じた理由や
どうやって乗り越えればよいかを学習させる効果がある。
自己学習で困難を克服することで成長に繋がる。
3)人的ネットワーク広範化効果
一人で乗り越えられない課題に直面するとき
”誰かの力を借りる”ことになる。そのプロセスを通じて、
組織内での人的ネットワークを拡大できる。
4)メンタル効果
苦しい状況を試行錯誤して乗り越えることで、
精神的な強さを乗り越えることができる。
『組織になじませる力ーーオンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ』
尾形 真実哉 (著) P58-61
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
■ただ、繰り返しますが、
上記はリアリティショックを通じた
「ポジティブな効果」に着目しているわけであって、
適切に対処しないと
望ましくない結果が待っています。
そんな時に、一つ役に立つのは、
「あるあるケースを事前に知っておく」
ことではないかと思います。
”しくじり先生”ではないですが、
こういうことってあるんだな、とか
こういうことってあるもんだよな、
というのがわかっておくだけで、
心の準備ができますし、
それらの痛みが「自分だけじゃない」と
思えることで、気持ちが行くぶんか落ち着く、
という効果もあると思われます。
■では、実際に
”新入社員が直面する、
あるあるリアリティショック”
には、どのようなものがあるのか。
色々あるのですが、
興味深かった3つのパターンを
以下、ご紹介させていただきます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◯その1)既存型リアリティショック(通常)
:「こんなはずじゃなかった・・・」というシンプルなショック。
”楽観的または、非現実的な期待に対して、
それに対する厳しい現実が待っていた場合に
直面するもの”
を指します。一番よくあるパターンでしょうか。
◯その2)肩透かし
:「あれ、こんなに楽なの?」という肩透かしパターン。
自分自身を鍛えてほしい期待に対して
思ったより厳しくなかった、楽だったということで
成長欲求が満たされずにショックを受けるパターン。
◯その3)専門職型リアリティショック
:「まさか、ここまでとは・・・」という
想像を越える大変さにショックを受けるパターン。
看護職などの専門職で、
体力的にも精神的にも大変な職種において、
”厳しいとは聞いていたし、覚悟していたけれど
ここまで大変だとは思わなかった”
というパターン当てはまります。
『組織になじませる力ーーオンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ』
尾形 真実哉 (著) P39-42
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
、、、と、
ご紹介させていただきましたが、
いかがでしょうか。
皆さまも、新入社員、または
中途社員として組織に入られたとき、
上記のようなリアリティショックを
感じられた方もいるのではないか、
と思います。
■同時にですが
「上記の3パターンのような
リアリティショックは構造として
誰にでも起こりうる」
そして
「リアリティショックを乗り越えることで
ポジティブな効果もある」
ということを
前提知識として知っておくことだけでも、
”予防薬”として機能することも
多分にあるのではないか、
と思います。
■新しい季節。
これから配属もあり
様々な場所で今年もまた多くの
コレジャナイロボならぬ
「こんなはずじゃなかった」が
生まれるのだろうと思います。
それが良い経験になることを願いつつ、
上記情報が参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
「否定と出会う」ことが出発点である。
ジークムント・フロイト(オーストリアの精神分析学者/1856-1939)
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