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2981号 2022年4月20日

「新しいキャリア研究」に共通する4つのポイント

(本日のお話 2610文字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は研修後評価インタビュー。
その他、アポイント2件。



さて、本日のお話です。

前から深掘りをしてみたいと考えていたテーマが。

「キャリア」

についてです。

そんな中、今読み進めている本で

『知識労働者のキャリア発達―キャリア志向・自律的学習・組織間移動』
三輪 卓己 (著)

より、興味深い情報が諸々書かれておりましたので、

そこからのキャリアについての学びを
皆さまにご共有させていただければと思います。
(今日から暫くキャリアシリーズ続きそうです)

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【「新しいキャリア研究」に共通する4つのポイント】

それでは、どうぞ。

■「知識労働者」という言葉があります。

これは、知識・情報化社会の進展とともに、
”新しい労働者像”として語られ、

いわゆるホワイトカラーと
呼ばれる職種の人々となります。

そして、おそらく
このメルマガをお読み頂いている皆さまの多くも、
「知識労働者」であろうかと思います。

■ちなみに、知識労働者の特徴とは、
ピーター・ドラッカー(1993)曰く

・自ら生産要素と生産手段を持っている

・ゆえに、知識を持ってどこでもいける

・彼(彼女)らの働く場所は、
特定の組織に縛られることなく、多様な組織、
あるいは産業へと広がっていると考えられる

とのこと。

何を今さら、
当たり前やん、、、

と思われた方もいらっしゃるかも
知れませんが、

一応この後の話にも続くので
触れさせていただきました。

(知識労働者にもいろいろな定義、
その専門性から様々な区分がありますが、
このお話はまた別の機会にて。)

■さて、こんな知識労働者が
労働市場の主流になってくると、

それらに合わせて

「新しい社会におけるキャリア」

が議論されるようになりました。



日本では

新卒一括採用、終身雇用にて、
転職をせずに一社で働く、

という考え方が傾向として
強かったと思いますが、

(もう若い方にとっては
この考えすら古いと思われている気もしますが)

これから日本でもはますます、

「知識・情報化社会を前提として」
「知識を持った個人が」
「組織を超えて活躍する」

という風潮が更に強くなると思われます。
、、、というより、既になっている気もします。

■そうすると、必然的に

個人が主体的に学ぶ力、
個人の専門性などにも注目が集まるわけですが、

それにともなって出来てきた
新しいキャリアの考え方があるわけです。

それが、

◯『バウンダリーレス・キャリア』(Arthur and Rousseau, 1996)

:シリコンバレーから生まれた概念。
IT技術者が行動な専門性を武器として
組織や産業の境界(バウンダリー)を超えて活躍する概念。

とか

◯『プロティアン・キャリア』(Hall,2002)

:変化の激しい新しい産業社会において、
そこで働く人々が能動的に学習して環境に適応する
変幻自在なキャリアを意味する概念。

とか、あるいは、日本で語られた概念として

◯『キャリア自律(Career Self-Reliance)』(花田・宮地・大木,2003)

:自己認識と自己の価値観、
自らキャリアを形成する意識をもとに(心理的要因)、
環境変化に適応しながら、主体的に行動し、
継続的にキャリア開発に取り組むこと(キャリア自律行動)
(岡田・堀内、2009)

などがあります。

■まあ、色々あるわけですが

”それらの「新しいキャリア研究」に
共通するポイントがある”

と上記でご紹介した著書にて
語られていました。

それらが、
私たち知識労働者のキャリアを考える上で
重要なポイントではなかろうか、

と感じております。

ということで、以下、
ポイントを整理してお伝えいたします。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【「新しいキャリア研究」に共通する4つのポイント】

<1)キャリア発達における「個人の主体性や意志の重要性」を強調>

・キャリア発達とは、
”従来考えられてきた組織主導のものではなく、個人の責任において実現されるものだ”
と考えられている。

・そして、そのために重要な点は
”個人がアイデンティティや自己概念を認識すること”と
”それをより豊かなものに変革し、ストレッチ(変化変容)していく”
こととされる。

<2)キャリアにおける能動的な変化や学習が重視される>

・キャリア発達のキーワードは
”適応、変化、即興、柔軟な学習”などである。

・その上で
1,個人が主体的に変化を創出すること、
2、人的ネットワークの中で学習すること
ことの双方が重視される。

<3)組織を移るキャリア、変化の激しいキャリアを肯定的に捉えている>

・組織を超えた移動が新しい学習の契機と捉えられる。つまり、
”組織内での安定的、計画的なキャリアよりも(組織を超えたほうが)学習の機会が多い”、
と考えられている。

<4)キャリアの成否の基準は、
昇進や給与などよりも心理的成功や満足度を重視する>

※『知識労働者のキャリア発達―キャリア志向・自律的学習・組織間移動』
三輪 卓己 (著) P3-4

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

、、、とのこと。

■さて、いかがでしょうか。

もう一度整理をすると、

1)キャリアの責任は「組織ではなく、個人」にある

2)キャリア発達のためには変化が必要。
「自分で変化を作る、人と学ぶ事」が大事

3)「組織を変わる」のもOK。
変化があると学習の機会が増える

4)「キャリアの成功は、心理的成功や満足度」である

これが、

「新しいキャリア研究に共通する4つのポイント」

とのこと。

■こう見てみると、

「組織がキャリアの事を考えてくれていたのに、
急に個人で考えてって言われても困る」

という意見も聞く中で、

”時代が変わり、
知識労働者中心の時代が到来し常態化し、
以前の考え方と大きく変わった”

という背景があることを
改めて認識させられます。

■もちろん、
会社にひたすら身を捧げてきた人が
その労苦の見返りがない、と感じる状況は
心苦しくも感じますが、

一方、環境は変わり、
その中で何が普通で正しいとされるかも、
時代と共に変わっていくもの、

、、、これは致し方ないことであり、

どうしても我々個人はその変化に
対応せざるを得ない現実を突きつけられるように思います。

■この流れは、きっとこれからも、
ますます強くなっていくでしょう。

そういう観点で考えると、

確かに安定・安心で予測できる未来は
居心地がよいし、ぜひ得たいものですが、

一方

・自己責任でキャリアを考える
・自分で変化を起こす、人と学ぶ
・柔軟に組織を変える

といった視点で、
変わり続けられる柔軟性と勇気を、
自分の中に持ち続けることこそが、

結果的に自分をサバイブさせてくれる
貴重な資源になる、とも

新しいキャリア研究の考え方からは
思わされるように感じます。

変化は時に痛みを伴います。

しかし、いくつになっても、
そういった痛みを楽しめるようになりたい、
私自身、そんなことを思った次第。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

心配ならば私達は行動を起こすべきであって、
憂鬱になるべきではない。

カレン・ホーナイ(ドイツの精神分析家/1885-1952)

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