「新しいキャリア研究」に共通する4つのポイント
(本日のお話 2610文字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は研修後評価インタビュー。
その他、アポイント2件。
*
さて、本日のお話です。
前から深掘りをしてみたいと考えていたテーマが。
「キャリア」
についてです。
そんな中、今読み進めている本で
『知識労働者のキャリア発達―キャリア志向・自律的学習・組織間移動』
三輪 卓己 (著)
より、興味深い情報が諸々書かれておりましたので、
そこからのキャリアについての学びを
皆さまにご共有させていただければと思います。
(今日から暫くキャリアシリーズ続きそうです)
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「新しいキャリア研究」に共通する4つのポイント】
それでは、どうぞ。
■「知識労働者」という言葉があります。
これは、知識・情報化社会の進展とともに、
”新しい労働者像”として語られ、
いわゆるホワイトカラーと
呼ばれる職種の人々となります。
そして、おそらく
このメルマガをお読み頂いている皆さまの多くも、
「知識労働者」であろうかと思います。
■ちなみに、知識労働者の特徴とは、
ピーター・ドラッカー(1993)曰く
・自ら生産要素と生産手段を持っている
・ゆえに、知識を持ってどこでもいける
・彼(彼女)らの働く場所は、
特定の組織に縛られることなく、多様な組織、
あるいは産業へと広がっていると考えられる
とのこと。
何を今さら、
当たり前やん、、、
と思われた方もいらっしゃるかも
知れませんが、
一応この後の話にも続くので
触れさせていただきました。
(知識労働者にもいろいろな定義、
その専門性から様々な区分がありますが、
このお話はまた別の機会にて。)
■さて、こんな知識労働者が
労働市場の主流になってくると、
それらに合わせて
「新しい社会におけるキャリア」
が議論されるようになりました。
*
日本では
新卒一括採用、終身雇用にて、
転職をせずに一社で働く、
という考え方が傾向として
強かったと思いますが、
(もう若い方にとっては
この考えすら古いと思われている気もしますが)
これから日本でもはますます、
「知識・情報化社会を前提として」
「知識を持った個人が」
「組織を超えて活躍する」
という風潮が更に強くなると思われます。
、、、というより、既になっている気もします。
■そうすると、必然的に
個人が主体的に学ぶ力、
個人の専門性などにも注目が集まるわけですが、
それにともなって出来てきた
新しいキャリアの考え方があるわけです。
それが、
◯『バウンダリーレス・キャリア』(Arthur and Rousseau, 1996)
:シリコンバレーから生まれた概念。
IT技術者が行動な専門性を武器として
組織や産業の境界(バウンダリー)を超えて活躍する概念。
とか
◯『プロティアン・キャリア』(Hall,2002)
:変化の激しい新しい産業社会において、
そこで働く人々が能動的に学習して環境に適応する
変幻自在なキャリアを意味する概念。
とか、あるいは、日本で語られた概念として
◯『キャリア自律(Career Self-Reliance)』(花田・宮地・大木,2003)
:自己認識と自己の価値観、
自らキャリアを形成する意識をもとに(心理的要因)、
環境変化に適応しながら、主体的に行動し、
継続的にキャリア開発に取り組むこと(キャリア自律行動)
(岡田・堀内、2009)
などがあります。
■まあ、色々あるわけですが
”それらの「新しいキャリア研究」に
共通するポイントがある”
と上記でご紹介した著書にて
語られていました。
それらが、
私たち知識労働者のキャリアを考える上で
重要なポイントではなかろうか、
と感じております。
ということで、以下、
ポイントを整理してお伝えいたします。
(ここから)
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【「新しいキャリア研究」に共通する4つのポイント】
<1)キャリア発達における「個人の主体性や意志の重要性」を強調>
・キャリア発達とは、
”従来考えられてきた組織主導のものではなく、個人の責任において実現されるものだ”
と考えられている。
・そして、そのために重要な点は
”個人がアイデンティティや自己概念を認識すること”と
”それをより豊かなものに変革し、ストレッチ(変化変容)していく”
こととされる。
<2)キャリアにおける能動的な変化や学習が重視される>
・キャリア発達のキーワードは
”適応、変化、即興、柔軟な学習”などである。
・その上で
1,個人が主体的に変化を創出すること、
2、人的ネットワークの中で学習すること
ことの双方が重視される。
<3)組織を移るキャリア、変化の激しいキャリアを肯定的に捉えている>
・組織を超えた移動が新しい学習の契機と捉えられる。つまり、
”組織内での安定的、計画的なキャリアよりも(組織を超えたほうが)学習の機会が多い”、
と考えられている。
<4)キャリアの成否の基準は、
昇進や給与などよりも心理的成功や満足度を重視する>
※『知識労働者のキャリア発達―キャリア志向・自律的学習・組織間移動』
三輪 卓己 (著) P3-4
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、、、とのこと。
■さて、いかがでしょうか。
もう一度整理をすると、
1)キャリアの責任は「組織ではなく、個人」にある
2)キャリア発達のためには変化が必要。
「自分で変化を作る、人と学ぶ事」が大事
3)「組織を変わる」のもOK。
変化があると学習の機会が増える
4)「キャリアの成功は、心理的成功や満足度」である
これが、
「新しいキャリア研究に共通する4つのポイント」
とのこと。
■こう見てみると、
「組織がキャリアの事を考えてくれていたのに、
急に個人で考えてって言われても困る」
という意見も聞く中で、
”時代が変わり、
知識労働者中心の時代が到来し常態化し、
以前の考え方と大きく変わった”
という背景があることを
改めて認識させられます。
■もちろん、
会社にひたすら身を捧げてきた人が
その労苦の見返りがない、と感じる状況は
心苦しくも感じますが、
一方、環境は変わり、
その中で何が普通で正しいとされるかも、
時代と共に変わっていくもの、
、、、これは致し方ないことであり、
どうしても我々個人はその変化に
対応せざるを得ない現実を突きつけられるように思います。
■この流れは、きっとこれからも、
ますます強くなっていくでしょう。
そういう観点で考えると、
確かに安定・安心で予測できる未来は
居心地がよいし、ぜひ得たいものですが、
一方
・自己責任でキャリアを考える
・自分で変化を起こす、人と学ぶ
・柔軟に組織を変える
といった視点で、
変わり続けられる柔軟性と勇気を、
自分の中に持ち続けることこそが、
結果的に自分をサバイブさせてくれる
貴重な資源になる、とも
新しいキャリア研究の考え方からは
思わされるように感じます。
変化は時に痛みを伴います。
しかし、いくつになっても、
そういった痛みを楽しめるようになりたい、
私自身、そんなことを思った次第。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
心配ならば私達は行動を起こすべきであって、
憂鬱になるべきではない。
カレン・ホーナイ(ドイツの精神分析家/1885-1952)
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