どんな学びの場が、キャリア確立に繋がるのだろうか? ~「実践共同体」の研究より~
(本日のお話 1833文字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は15キロのランニング。
また夕方からは大学院の授業でした。
100キロウルトラマラソンまで、あと16日。
体重を残り1.5キロ、
落としていきたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
GW中に大学院の授業、
それとは別に「読書勉強会」という有志の集まりに
参加させていただきました。
そこで思ったのが、
「多様な人達と学ぶ」
のは実に自分の成長を促す力があると、
改めて感じております。
(ちょっと疲れますけどね)
さて、そういった「学び合いの場」を
『実践共同体』
と呼んだりしますが、
このことについて古今東西、
多くの研究がなされております。
そして先日、論文を読む中で
日本の論文で、面白いお話が紹介されていました。
今日はそこからの学びを
皆さまにおすそ分けさせていただければと思います。
それではまりいましょう!
タイトルは、
【どんな学びの場が、キャリア確立に繋がるのだろうか? ~「実践共同体」の研究より~】
それではどうぞ。
■2007年に発表された、
『企業で働く個人の「キャリアの確立」を促す学習環境に関する研究
一実践共同体への参加に着目して一』(荒木淳子,2007)
があります。
なんだかタイトルを見た感じ、
かたそうな感じがしますが、
この内容がなかなかおもしろい。
読みながら「へー」っと思いつつ
読み進めておりました。
■どういうお話かというと、
平たく言えば、
「個人のキャリア確立に
学びの場が役立ちそうだけど、
実際のところ、どんなのが役に立つのか?」
という問いをアンケート調査や、
インタビュー調査で研究した論文です。
「キャリア」とは、
誰にとっても他人事ではない話ですから、
とても気になるところかな、と思いますがいかがでしょう。
(、、、え、興味がない?
そう言わず、しばしお付き合いください笑)
■この研究で問うたことは、
いくつかありますが、こんなテーマが
主な”探究のための問い”でした。
(仮説)
「個人のキャリア確立は
”実践共同体への参加”と”リフレクション(振り返り)”によって
引き起こされる」
これを、検証しようじゃないか、というお話。
■このことについて、
アンケート結果から
「実践共同体(学び合いの場)への参加経験」と
「キャリア確立」の関連をデータ分析で調べてみました。
すると、
”実践共同体に参加した経験は、
「今後のキャリアに対する意欲と展望因子」に影響を及ぼす”
という結果がわかったのでした。
■もうちょっと具体的に言うと、
以下の質問について、影響を与えていたとのこと。
・「私は、これからの仕事において
自分なりに望む目標や目的を達成していけると思う」
・「私は、現在の仕事においてうまくやっていけそうな感じがある」
・「私は、これから仕事において
自分なりの専門領域を確立していけると思う」
(これが「今後のキャリアに対する意欲と展望因子」です)
、、、うん、
やっぱり学びの場への参加は
キャリア確立につながるんだ!
とある程度いうことができるかと思います。
■また加えてインタビュー調査として
こんな調査もしました。
ちょっと乱暴にまとめてしまうと、
「様々な実践共同体について、
キャリア確立にどのような違いがあるのか?」
という問いです。
■以下3つのパターンの実践共同体があります。
1)所属組織な専門領域が
同質なメンバーの実践共同体
(=似たもの同士の集まり)
2)所属組織や専門領域が多様なメンバー
+ 気楽な情報交換 の実践共同体
(=いろんな人がごちゃまぜ)
3)所属組織や専門領域が多様なメンバー
+ 共同で解を出すことが求められる 実践共同体
(=いろんな人がごちゃまぜ + 共通の目標)
この様々な実践共同体(学び合いの場)で
キャリア確立の点数を比較してみたところ、
上から
1)ー0.814点
2)0.534点
3)1.644点
となったとのこと。
母集団が少ないので、
これを即理論化、一般化できる話ではないですが、
傾向として
「異質性」✕「ガチな学び合い」
という組み合わせが、
最もキャリア確立を促してくれることが
示唆されそうなのは、興味深いです。
(同時に納得でもあります)
■100年時代と言われて久しい中、
リカレント教育、とか
大人の学び直し、とか
様々な方面で「学ぶことの大切さ」が
語られています。
正直、これは面白いといえば面白いですが、
大変っちゃ大変です。
お金もかかるし時間もかかるし、
何より学ぶことにも意欲が必要です。
■ただ一つ思うのは、
こういった学びの目的は、
明日すぐにどうかなるものというよりも、
”来るべき時に対する備え”
みたいなものとも思うのです。
今すぐにはどうにかなる、というのは、
多分ならないのでしょう。
、、、でも、ある時に
転機(異動、景気の変動、組織の解体)など
ゲームが変わった時に、
準備ができているか、できていないかで
その生存確率は大いに変わってくる、
とも思うのです。
■私(紀藤)の話で恐縮ですが、
もちろん社会の中で良い影響を与えていきたい、
という意欲はあるものの、
それ以上に、来るべきときに
価値を発揮し続けられる人間でありたい、
という不安のために学んでいる、
という側面も多分にあります。
ただ「キャリア」とは
私たち一人ひとりに関わることですし、
そんな「キャリア確立」に
学び合いの場(実践共同体)が関わっている、という話は、
自らの仕事人生を考えるための
手札の一つとして一つ認識をしておくことで
自分自身にも活かしやすくなるのではなかろうか、
この論文を読みながら
そんなことも考えさせられました。
、、、と偉そうにいっておりますが、
あと1年続く学びを頑張るために、
自らを奮い立たせようとしてみた、の巻でございました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
人生を建設するには、
一つ一つの行動からやっていかなくてはならない。
マルクス・アウレリウス(古代ローマの皇帝/121-180)
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