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3005号 2022年5月14日

イケてるマネジャーは、どうやって部下の学びを促しているのか? ~学習する組織における管理者の13の行動セット~

(本日のお話 2277文字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日金曜日は、某企業様にて「コーチング研修」の実施。
また夜からは大学院の「マネジリアルコーチング論」の授業。

日中コーチングの話をし、夜はコーチングの話を聞くという、
アウトプットとインプットを高速回転させる、
大変贅沢な1日でございました。

(ちょっと疲れましたけど、、、笑)



さて、本日のお話です。

今日はそんなコーチングに関連したお話を、
皆様におすそわけさせていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【イケてるマネジャーは、どうやって部下の学びを促しているのか?
~学習する組織における管理者の13の行動セット~】

それでは、どうぞ。

■「コーチングって
聞いたことありますか?」

、、、なんて研修で聞くのですが、
以前よりも”聞いたことがある”と
お答えいただく方が増えてきている感覚がします。

少しずつビジネスの世界でも、
コーチングなるものは普及してきているようで、

きっと読者の皆様の中にも、
1on1やコーチングをされている方、
いらっしゃるのでは、と思います。

■ちなみに、

「コーチング」についてですが、
そもそも”コーチ”というと野球のコーチとか
サッカーのコーチなど連想されるかと思います。

そう、元々はスポーツの世界で始まっています。

そして、経営やマネジメントの世界で
広がってきたのは1980年頃。

日本では2000年頃から、
大企業を中心に少しずつ広がって今にいたりますが
要は、”歴史はまだまだ浅い”と言えそうです。

■、、、とはいいつつ、

市場が成熟してくると、
分野や対象などによって、
様々な流派が出来上がってきます。

CTI、コーチエイ、
銀座コーチングスクール等々、
コーチングを学ぶ場所もたくさんあり、

「ライフコーチング」
(人生先般を扱う)

と幅広いテーマを対象として
取り扱うもの学習機関もあれば、

「マネジリアルコーチング」
(管理者のためのコーチング)

といって、

プロフェッショナルのコーチになることを
目的とするのではなく、

”部下の育成を目的とし、
組織のパフォーマンスを高めること”

を目的としたコーチングの技術も
普及してきています。

■そして組織で導入されはじめている

「1on1」

とは、まさにマネジリアルコーチングの一つの形態である、
と言ってよいでしょう。

■ちなみに、対象や文脈を絞った後者の

「マネジリアルコーチング」
(管理者のためのコーチング)

については、
数々の研究者達が研究を進めてきており、
その効果も、明らかになってきています。

■その中で、ある興味深い研究を
マネジリアルコーチングの授業で取り扱ったのですが、
それが、実に役に立つなあ、と思ったのでした。

それは、

『Managerial coaching behaviors in learning organizations
-学習する組織における管理職のコーチング行動-』
Ellinger,A.D.,& Bostrom,R P.(1999).

という研究論文です。

さて、一体どんな内容なのか?

以下、簡単に概要をまとめます。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

論文『学習する組織における管理職のコーチング行動』のまとめ

●<研究の目的>

・「学習する組織において、模範的なマネジャーは
どのように従業員が学ぶのを促進しているか?」の調査をする

●<研究でわかったこと>

・マネジャーが学習促進者として成功するための
「13の行動セット」が明らかになった

●<研究の調査方法>

・専門家によって選ばれた4組織12人の
模範的マネジャーを対象に実施。

・彼/彼女らに対する観察を通じた行動の分析、
(クリティカルインシデントテクニック法)と
半構造化インタビューを行った。

・そこで行動としてコード化された322のデータより、
マネジャーが学習を促進する際に採用した
「13の行動セット」を明らかにした。

**

●<従業員の学習を促す『13の行動セット』>

{エンパワーメント・クラスター}

1)従業員の思考を促す質問フレーム化(特によく利用される)

2)リソースとなる - 障害を取り除く

3)オーナーシップを従業員に移管する

4)答えを教えない

{ファシリテーション・クラスター}

5)従業員へのフィードバック提供

6)従業員からのフィードバックの募集

7)一緒に解決する - 話し合いで解決

8)学習環境の整備と推進

9)期待値の設定と伝達 - 全体像への適合

10)視点を他者のものに変換する

11)従業員の視野を広げる - 異なる見方をさせる

12)例え話、シナリオや事例の使用

13)学習を促進するための働きかけ

※参考:Ellinger,A.D.,& Bostrom,R P.(1999).
『Managerial coaching behaviors in learning organizations
-学習する組織における管理職のコーチング行動-』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。

■さて、いかがでしょうか。

「従業員が学ばない・・・(涙)」

と嘆く管理職の方の話を、
しばしば伺いますが、

もう一度、上記の
「学びを促す13の行動セット」を
見てみてください。

これをイケてるマネジャー、
皆が学ぶ組織のマネジャーはやっているわけです。

ちょっと乱暴に言い換えれば、
これらを意識的に行えば、

「学習するチーム・組織づくりに近づく」

と言えるかと思います。

■コーチング全般に関して言えば、

「傾聴・承認・質問・フィードバック」
という基礎的な技術や、

「現状確認/目標設定/行動の促し」
という基本的な構造となりますが、

汎用性があるがゆえに、
やや抽象度が高いとも言えます。

■その中で、今回ご紹介の

”従業員の学習を促す13の行動セット”

についてはその目的も、アクションも
より具体的であるがゆえに活かしやすく
自分自身を振り返る指標になりえます。

例えば、

「はて管理職の自分は、
どれくらい上記の行動をやっているだろうか?」

と内省をしてみると、
管理職としてさらなる伸びしろを
発見することに繋がるでしょう。

皆で、こういった行動を軸に、
学び合いをしてみてもよいかもしれません。

そんな意味で、役に立つ学びだな、
と感じた次第でございます。

ご参考になれば幸いでございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

自分が感じていることは正しくないかもしれない。
だから、常に自分をオープンにしておくんだ。
あらゆる情報や、たくさんの知識を受け入れられるように。

アイルトン・セナ(ブラジルのレースドライバー/1960-1994)

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