ピア・コーチング研究からの学び(前編) ~同僚同士のコーチングって効果ある?の巻~
(本日のお話 2758文字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は4件のアポイント。
その他、大学院の論文探し、
夕方は4キロのランニングでした。
(100キロマラソンのリハビリがてら)
*
さて、本日のお話です。
大学院のプロジェクトに関連して、
論文を読み進めております。
(まだまだ全然足りておりませんが、、、汗)
その中で読んだ論文の中で、
『ピア・コーチング』
(=同僚によるコーチング)
に関するものがありました。
面白い内容でかつ、
職場にも実践出来る話かと思いましたので、
私の意見も入れつつとなりますが
簡単にご紹介させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【ピア・コーチング研究から学び(前編) ~同僚同士のコーチングって効果ある?の巻~】
それでは、どうぞ。
■「1on1」と呼ばれるように、
職場でも上司が部下に対して
対話を通じて、
傾聴・質問・フィードバック等のスキルを駆使しつつ、
振り返り(内省)を促し、
その能力向上を支援するという手法も、
組織に取り入れられ始めてきているように感じます。
■一方、同時によく聞く話が、
「部下15人いるのですが
1on1やってるだけで1日終わっちゃいます」
とか
「他にも他部署との交渉、業務外の調整、
諸々あって、やることが多すぎてもう無理です」
というプレマネバランスの中で迷い、
悩まれる管理職のお話もしばしば耳にします。
、、、とは言いつつ
じゃあ、どうすればよいの?
というジレンマだらけの状況が
職場において起こっているのも事実。
■では、どうずればよいのでしょうか。
コレ!、という
ウルトラCの必殺技はないと思いますが
その中で一つ考えたいのが、
今回テーマに挙げさせていただく、
『ピア・コーチング』
があります。
Peer=同僚、仲間、対等な人
という意味ですので、
同僚同士コーチングをする、
ということになるわけですね。
■今回、参考にさせて頂く論文
Kathy Kram, Polly Parker(2008)
”Peer Coaching: A Relational Process for Accelerating Career Learning”
(ピア・コーチング:キャリア学習を促進する関係性のプロセス)
において、
・ピア・コーチングがどのような成果につながったのか?
・ピア・コーチングが成功するための要因は何か?
・ピア・コーチングが活用され続けるための3つのプロセスとは?
等について語っており、
この内容が興味深いものでした。
■、、、ということで、
以下簡単にまとめてみたいと思います。
※ざっくり、かつ私の言葉で
意訳しているところもございますので、
ご参考程度にしていただければと思います。
(ここから)
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”Peer Coaching: A Relational Process for Accelerating Career Learning”
(ピア・コーチング:キャリア学習を促進する関係性のプロセス)のまとめ(前半)
<研究の背景 ーはじめにー>:
・個人個人がキャリア開発に責任を持つようになり、
キャリア成長の基礎となる学習に重点が置かれている。
・そのためには職場においても学習を支援されるような
プロセスが組み込まれていなければならない。
・一方、多くの労働者は、キャリア適応力や能力を維持するための
学習ニーズに対して、満足いくサポートを得られていない。
・そこで「ピア・コーチング」を紹介したい。
これはインパクトが大きく、即時性があり、低コストで、
かつ簡単に習得できるものだ。
<なぜピア・コーチングなのか?>
◯キャリア形成に”関係性”が影響するから:
・人は他者と相互作用で学習をしていく。
他者とのつながりで、目的、ビジョン、自己理解などを得る。
アイデンティティなども他者との相互作用を通じて再形成される。
◯メンタリングの欠点を補えるから:
・メンタリング(上司の個人への支援)は
個人の学習を促進して、上司との関係性を良好にし、
心理的満足感を高め(自尊心を高める、仕事の受容を高める)
組織市民行動を高め(仕事の役割以外に役立つ行動を増やす)
という。
・しかし、一部の従業員を選抜することにもなる。
(時間がない、という現実的な問題ですね)
・よって正式なピア・コーチングの関係を導入することで
その点を補うことができるようになる。
<ピア・コーチングにおいて重要なこと>
1)仲間の地位が同等であること
2)両者の個人的・職業的な成長に焦点を当てること
3)振り返りと実践をすること
4)プロセスに注目すること
5)キャリア学習を加速させること
<ピア・コーチングの研究内容>
◯対象:
・リーダーシップの大学院生クラス(MBA) 209名
◯方法:
・クラスでの活動(体験型授業や、テストや演習)において、
1)学びや反応の共有、2)お互いの自己評価のプロセスを助け合う
ようなピアコーチングを実施した。
・上記について「ピア・コーチングから得られる成果」
「ピア・コーチング体験を促進する要因」を理解するために
アンケートを実施した。
◯アンケ―ト内容
「ピアコーチを選ぶ際にどの程度意見を述べたか?」
「ピア・コーチングの経験にどの程度満足しましたか?」
「ピアラーニングプロセスは、あなたが経験した他の学習形態と比較してどうでしたか?」
「ピア・コーチングのプロセスからどのような影響を受けましたか?」
<ピア・コーチングの結果・影響>
アンケートを行った結果、
以下のような定性的データがあつまった。
◯ピア・コーチングの影響
・変化への対応に成功した
・個人的な目標や仕事上の目標をサポートした
・信頼感が向上した
・セルフイメージの精度が向上した
・スキルが開発された
・エンパワーメント(本来の能力発揮)が育成された
※Kathy Kram, Polly Parker(2008)Peer Coaching: A Relational Process for Accelerating Career Learning
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(ここまで)
とのこと。
■さて、いかがでしょうか。
実感として
”仲間と対話をすることは、
自分の学びに役立つ”
という感覚をお持ちの方は、
私だけではないと思いますし、
それを研究を通じて、
改めて言語化してくれているような気もします。
■まさに私も今大学院で授業を受けていますが
・「あの授業、どう思った?」(反応)
・「あの授業から、どんな事学んだ?」(学習)
という対話をしたり、
あるいは何かしらのアウトプットを出す時に
「これ、自分では割とできていると思うけど、
客観的に見て、どう評価されると思う?」(自己評価のプロセスの助け合い)
などがあると、
まさに
・変化に対応したり
・信頼感が向上したり、
・セルフメージが向上したり、
・エンパワーメントが育成される
という変化を感じます。
そしてそれは、もちろん
仕事上にも通ずることがある、
と思います。
■、、、といいつつ、
じゃあ、とりあえず
ピア・コーチングをやっておけばよいか?
というと、そういうわけでもありません。
やはり、
・ピア・コーチングを成功させるための要因
・ピア・コーチングを継続させるためのプロセス
などもあるわけです。
論文の後半ではこのことについて
書かれておりますので、その内容については
明日に続けたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
成功を自分一人の努力によるものだと主張することは、
浅はかで傲慢なことだ。どんな優れた業績も、多くの人と手と心と、
頭に助けてもらって、初めて可能になるのだから。
ウォルト・ディズニー(1901-1966)
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