今週の一冊『研修開発入門 「研修評価」の教科書――「数字」と「物語」で経営・現場を変える 』
(本日のお話 2153文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、大学院の授業。
その他、研修プログラムの作成。
また夕方は8キロのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はオススメの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
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『研修開発入門 「研修評価」の教科書――「数字」と「物語」で経営・現場を変える 』
中原 淳 (著), 関根 雅泰 (著), 島村 公俊 (著), 林 博之 (著)
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でございます。
■来ました。
「人材開発・組織開発に関わる皆様に
心よりオススメしたい」
と大声で叫びたい一冊です。
もっと言うならば、
・読まないと、もったいないし
・読まないと、時代に取り残される(本当にそう思う)
・なので必読の一冊です!
と声高にお伝えせずに入られない、
人づくり・組織づくりに関わる人にとって必要な
「研修評価」についてで網羅的に学ぶことができる一冊です。
■正直なところ、
ちょっと悔しさすら感じてしまいました。
、、、というのも、
昨年、立教大学大学院という
素晴らしき学びの場所にご縁あって参画し、
そこで、著者の関根先生を始め、
「研修評価の珠玉の知見」を教えていただきました。
それから私の「研修評価」に関する考えも、
その後の行動も大幅にアップデートされ、
人材開発・組織開発の外部支援者として、
大きく自信もつけることにも繋がりました。
■そんな、珠玉の知見を、
昨年の授業で学んだことを、
更に深く、網羅的に、
必要な論文データも余すことなく示してくれて
また洗練して凝縮して文字にすることで、
誰もが使える研修評価の”型”として提示いただきました。
ゆえに、
「大学院で入ったからこそ学べた
かくも希少な情報を、こんなにも親切に
開示してしまってよいのか・・・!」
なんてどこか思ってしまったほどです。
(はい、すいません。自分の器量の小ささを
暴露してしまっております)
■私も外部支援者として
人材開発・組織開発に関わっていると、
色々と感ずることがあります。
これまでは研修の評価は曖昧なものであり、
また企業の教育担当も外部支援者も
”あえて触れずにやり過ごしてきた
未開のフロンティア”
であったと感じます。
それは自戒を込めて語りますが
「評価はなかなか難しいですからね・・・」と
示し合わせて話をすることで、
その難しい問題に対して、
思考停止を共犯関係のようにすることで、
(乱暴な言葉で言えば)ラクをしていた側面が、
やっぱりあると思います。
■「研修って満足度高ければいいんだっけ?」
「参加者がオススメしたい(NPSが高い)からと言って
効果があった研修だって言えるんだっけ・・?」
とぼんやりとした疑問を持ちつつも、
それに変わる代替のアイデアもなければ、
学ぶ手段も知らない。
(本当はなにか必要じゃないかと思いつつ)
ゆえに前例踏襲で研修満足度を聞き続ける。
これが長らく、
研修会社で働いてきた自分にとっての、
事実であり、現実でした。
そして多くの組織、そして業界でも、
それは同じようなものでは、と思っています。
■ただ、そうしていると、
望ましくないことも起こるのです。
研修に思いがあり、
その効果に説得力をもたせたくても、
持たせることができない、となります。
人事の役員が変わる
経営など意思決定者が変わる、
今まで思いを持ってやっていた人から
データドリブンな人に変わる。
そして、
「この研修の成果はどうだったのか?」
「結局この研修意味あるの?」
と(実は最もなことを)突っ込まれ、
満足度は高かった
評価は高かった、
成果につながっているかはわからない、
としか答えることができず
結果、たとえそれが本当は意味がある施策だったとしても
その研修がなくなってしまう、
ということも、私はしばしば体験してきました。
(そして逆に、意味がなさそうな研修が
ただただ続けられている、というケースもあります)
■では、経営にとって、現場にとって
意味がある研修に投資がされ続けるために何が必要か?
その答えは、
「論理的、かつ感情的にも説得力がある
『研修評価の”型”』を活用する」
ことに他なりません。
そして、この著書では、
教育における評価に関する先行研究に基づいた
アカデミックな見地からの「研修評価の理論」を土台とし、
その上で、研究という実験場ではなく、
企業が成果を出すための「実践現場である」ことを考えて、
”経営と現場にとって資する
現実的な研修評価”
を凝縮し、結晶化させてくれています。
研修評価にまつわる
・これまでの代表的な理論
・活用するための具体的な方法
・企業での事例
をまとめています。
言葉にするとシンプルですが、
理論と実践を素晴らしき配合比率で結晶化されたこと、
そして一見とっつきづらい内容を
薄くならないようにわかりやすく言葉にされた
その技術と思いに唸らされるばかりでした。
読んでいただければ、
「人材開発に関わる人々の共通言語」として
使えることが理解できる、と感じます。
■著書のあとがきに、
このように書かれていました。
”私たちが、今、現場で行わなければならないのは
「研究」ではありません。「実践です。
しかも、研究という巨人の方に乗った確かな実践なのです”
、、、とのこと。
この分野におけるアカデミックの分野と、
実践者の分野のトップランナーが
理論と実践の融合を試みた一冊。
私自身もものすごく勉強になりました。
大学院で学んでいる深く専門的な内容を、
このような著書として読めること、
素晴らしいことだと思います。
■伝えたいことはその他ままございますが、
これからの人づくり・組織づくりに関わられる方にとって
必ずや必要になる知見である、と確信しています。
(以下、著書の紹介です)
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ニッポンの「研修評価」をアップデートせよ!
この20年間、着実な変化を遂げてきた人材開発・組織開発の世界において、
何一つ変わることのなかった「人材開発の最後のフロンティア」が、
本書のテーマである「研修評価」です。
本書はニッポンの研修評価をアップデートするために生まれました。
そのためのキーワードは「研修転移を評価せよ! 」と「評価を混合せよ! 」です。
本書で提案する研修評価が目指すのは、
アカデミックな場所で行われている評価手法を直輸入することではありません。
私たちは、アカデミックな知見にルーツを持ちつつも、
実践的(プラクティカル)であることを重視します。
どの企業でも取り入れやすく、続けやすい、
それでいて確実に経営や現場にインパクトをもたらす「混合評価」という手法を提案します。
ニッポンの研修評価を「ともに」アップデートしましょう!
※Amazon本の紹介より
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■最後に余談ですが、
私もここで学んだ評価方法で
研修を組み、評価を行うことで、
研修のクオリティが高まるとともに、
研修で何をすべきかも明確になりました。
また自信を持って
「こういう成果が出た」と胸を張って
伝えられるようにもなりました。
経営に、現場に役立てるようになった、
と自分で思えることも嬉しいですし
同時により多くの案件を
ご相談いただけるようにもなり、
本当にこの知見には助けられました。
重ね重ね、オススメの一冊です。
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<今週の一冊>
『研修開発入門 「研修評価」の教科書――「数字」と「物語」で経営・現場を変える 』
中原 淳 (著), 関根 雅泰 (著), 島村 公俊 (著), 林 博之 (著)
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