研修は「その気」がない人を助けない? ~「開発準備」という考え方~
(本日のお話 1645文字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は終日、人事の外部パートナーとして
関わらせて頂いている企業様への出社。
その後の懇親会でした。
また5キロのランニング。
*
さて、本日のお話です。
昨日の懇親会の場で、
「人事あるあるの悩み」で
盛り上がっていました。
その中の一つが、
”全員を変えたいけど
それは現実問題難しいよね問題”
でございます。
(多分、人事に関わる方やマネジャーの皆様も、
共感するものがあるのではないかと思います、、、)
今日はこのお話から思い出した
人材開発のある考え方について、
ご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【研修は「その気」がない人を助けない? ~「開発準備」という考え方~】
それでは、どうぞ。
■「100人に介入して、
100人が変わるってことは、
ありえないですよね」
大学院の授業の中で
ディスカッションの中かどこでか、
先生方から何気なく出てきた言葉です。
そして、その言葉が
妙に印象に残っています。
その理由は、
「やっぱりそうだよな・・・」という思いとともに、
少しホッとした感じがしたからかもしれません。
■というのも、私事ですが、
私は外部支援者として、
企業をサポートしている身であり、
できる限り多くの人に、
研修を通じて変化変容して欲しいし、
そうするのが果たすべき義務である、
という思いを(当然ですが)持っています。
ただ、それでも現実は厳しい。
変わる人もいれば、変わらない人もいる。
いや、そもそも
「人を変える」という発想自体が
おこがましいのかもしれない、、、
そんなことをぐるぐる考えつつ
「介入により変容をもたらすことが難しい人は難しい」
という現実を受け止めつつ、
それでも先人たちが培ってきた
「科学知」の元、人と組織に望ましい結果を
意図して引き起こそうと骨身を砕くことは、
現実問題としてこの仕事を関わる上で
大事なテーマだな、と思うのでした。
(そしてそれは、
人材開発・組織開発に関わる皆様も、
同じではなかろうか、と思います)
■そんな中、改めて先日の懇親会で
「もちろん全力を尽くすものの
やっぱり教育で変えられない人は、いる」
という話で盛り上がる中、
人材開発の本で読んだ、
とあるキーワードを思い出していました。
それが、
『開発準備』
という言葉です。
こんな内容でございます。
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*『開発準備(developmental readiness)』(Avolio and Hannah,2008)
・「リーダーシップの役割を引き受けるために、
新しく、複雑な思考方法に焦点を当て、意味づけ、発展させる能力と動機」のこと。
・開発準備の要素は「自己認識/自己調整/なりたいリーダー像の明確さ/自分を振り返る能力/変化する能力」がある。
・「開発の準備」はリーダーシップ開発を成功させるための前提条件と投げられている
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
■出典元の論文は、
「開発準備:リーダーシップ開発を促進するものはなにか?」
というタイトルです。
文脈はリーダーシップですが
「人が変化するための準備段階の要素」として、
・自分を認識する力
・自分を振り返る能力
・変化する能力
などなどが存在していると指摘しており、
それが開発に影響を与えている、
と指摘しているわけです。
■もちろん、
それらの開発準備の要素すら
トレーニングで伸ばすこともできるでしょう。
しかし一方、人はその考え方も、
育ってきた環境も、教育のレベルも、
遺伝子も違います。
またそれらの絡み合った中には
「変えることが難しい特性」もやはりあります。
■そう考えた時に、
もちろん研修やその前を含めて
最大限の力を尽くすけれども、
例えば、
「開発準備」
(本人に変化の準備があるか)
という観点のように、
”準備が整っている人と、そうではない人がいる”
と考えることは、
一つ現実的なゴールとして
どこを目指すのかを考えるための
考える指針になるのでは、とも思ったのでした。
”変えられることと変えられないことがある”。
それを事実として理解しつつ、
その上で最大限尽力するということは、
人と組織の支援者として、健全かつ長く関わる上で
大切な考えではなかろうか、とも思うのでした。
■人や組織とは
プログラミングをして変えられるような
機械のような存在ではなく、
内面や心が関わる非常に複雑な存在です。
その中で変化変容を促すことは
体力も精神力もいるものです。
そんな中
「”全員を変えたいけど
それは現実問題難しいよね問題”」
で盛り上がる中、
介入側のスタンスとして
知っておくことも大事な話ではなかろうか、
と思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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